■講義編■宅建業法[15]自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限

民法では、他人が所有する宅地・建物であっても、それを対象とした売買契約を締結することが可能です(他人物売買)。
しかし、宅建業者は、自分が所有していない宅地や建物を買主に売却することができません。他人所有の物件を売買契約の対象とするためには、その土地の所有者と契約を締結する、などの準備をしておく必要があるのです。

解説動画を視聴する方法受講料
1eラーニング講座[Step.1]基本習得編を受講1,980円~
2YouTubeメンバーシップに登録
(「基本習得編&年度別過去問」レベル以上)
2,390円/月~
学習資料『図表集』無料ダウンロード
講義レジュメ『図表集』を見ながら受講すると効率的です(無料でダウンロード可能)。

1.民法のルール

民法上の他人物売買⇒民法[24]売買契約1(3)

(1).他人物売買の有効性

(2).他人物売買における売主の担保責任

2.宅建業法のルール

(1).対象となる物件

他人が所有している物件
未完成の物件

(2).禁止される行為

自ら売主となる売買契約(予約を含む)の締結

★過去の出題例★
売買契約の禁止(予約を含む)(宅建業法[15]2(2))
年-問-肢内容正誤
1R01-27-ア宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物についての自ら売主となる売買契約を締結してはならないが、当該売買契約の予約を行うことはできる。×
2H13-45-イ宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、宅地建物取引業法で定める一定の場合を除いて、自ら売主となる売買の予約を締結することができない。
取得契約が存在しない場合(宅建業法[15]3(1))

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1H26-31-イAは、Bに売却予定の宅地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれていることが判明したため、甲市に払下げを申請中である。この場合、Aは、重要事項説明書に払下申請書の写しを添付し、その旨をBに説明すれば、売買契約を締結することができる。
×
2H21-31-アAは、甲宅地の造成工事の完了後であれば、甲宅地の所有者Xから当該宅地を取得する契約の有無にかかわらず、Bとの間で売買契約を締結することができる。
×
3H13-34-エ競売開始決定がなされた自己の所有に属しない宅地について、裁判所による競売の公告がなされた後、入札前に、自ら売主として宅地建物取引業者でない者と当該宅地の売買契約を締結することは、宅地建物取引業法に違反しない。×
4H11-34-1当該建物の敷地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれていることが判明したため、甲市に払下げを申請中である場合、Aは、重要事項説明書に払下申請書の写しを添付し、その旨をBに説明すれば、売買契約を締結することができる。×
5H
07-47-2
Aは、自ら売主として、Xが換地処分後に取得する保留地予定地をBに販売するときには、あらかじめ、Xからその保留地予定地を取得する契約を締結しておかなければならない。

3.【例外1】他人が所有する物件のケース

(1).取得契約が存在すること

予約でも◯
停止条件付は×
★過去の出題例★

取得契約が予約段階(宅建業法[15]3(1))

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1H17-35-3Xの所有する宅地について、AはXと売買契約の予約をし、Aは当該宅地をBに転売した。
2H09-45-2宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、X所有の宅地をBに売却しようとしている。Bが宅地建物取引業者でない場合で、AがXから当該宅地を取得する契約の予約を締結しているときは、Aが予約完結権を行使するまでの間であっても、Aは、Bと売買契約を締結できる。
3H05-39-1宅地建物取引業者AがXから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Bに分譲しようとしている。XA間の契約が売買の予約である場合、Aは、予約完結権を行使するまでの間は、宅地建物取引業者でないBと、売買契約を締結してはならない。×
4H03-42-4宅地建物取引業者Aが、Yの所有地について、XがYと売買契約を締結したので、Xの売買代金完済の前に、Aが、Xとその宅地の売買の予約契約を締結し、自ら売主となって宅地建物取引業者でないBと売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法に違反する。宅地建物取引業法に違反する。×
5H01-48-4その宅地が第三者Xの所有するものである場合、AがXと売買予約を結んでいるときでも、Aは、常に宅地建物取引業者でない買主Bと売買契約を締結してはならない。×
取得契約が停止条件付(宅建業法[15]3(1))

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1R03s-38-エ宅地建物取引業者Aは、農地の所有者Xと建物の敷地に供するため農地法第5条の許可を条件とする売買契約を締結したので、自ら売主として宅地建物取引業者ではない個人BとX所有の農地の売買契約を締結した。
×
2R01-35-1Aは、宅地建物取引業者ではないXが所有する宅地について、Xとの間で確定測量図の交付を停止条件とする売買契約を締結した。その後、停止条件が成就する前に、Aは自ら売主として、Bとの間で当該宅地の売買契約を締結した。
×
3H27-34-1Xが建物の所有権を有している場合、AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。ただし、AがXとの間で、すでに当該建物を取得する契約(当該建物を取得する契約の効力の発生に一定の条件が付されている。)を締結している場合は、この限りではない。
×
4H19-41-1宅地建物取引業者Aは、自己の所有に属しない建物を売買する場合、Aが当該建物を取得する契約を締結している場合であっても、その契約が停止条件付きであるときは、当該建物の売買契約を締結してはならない。
5H17-35-4Xの所有する宅地について、AはXと停止条件付で取得する売買契約を締結し、その条件が成就する前に当該物件についてBと売買契約を締結した。
×
6H08-36-4Aは、Xから停止条件付で取得する契約を締結した宅地を、その事実を故意に告げることなく、自ら売主として宅地建物取引業者でないBに売却した。
×
7H05-39-4宅地建物取引業者AがXから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Bに分譲しようとしている。AX間の売買契約において、その効力の発生がXの代替地取得を条件とする場合、Aは、その条件が成就するまでの間は、宅地建物取引業者でないBと、売買契約を締結してはならない。
8H03-42-1宅地建物取引業者Aが、Xの所有地について、Xの代替地取得を停止条件としてXと売買契約を締結して、自ら売主となって宅地建物取引業者でないBと売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法に違反する。
(2).契約成立以外の要素

無関係
★過去の出題例★

契約成立以外の要素(宅建業法[15]3(2))

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1H22-40-4当該宅地が、Aの所有に属しない場合、Aは、当該宅地を取得する契約を締結し、その効力が発生している場合においても、当該宅地の引渡しを受けるまでは、Bとの間で売買契約を締結することができない。
×
2H21-31-イAは、甲宅地の所有者Xから甲宅地を取得する契約が締結されているときであっても、その取得する契約に係る代金の一部を支払う前であれば、Bとの間で売買契約を締結することができない。
×
3H17-35-1取得契約締結後であれば、登記移転を受ける前であっても、転売契約を締結できる。
4H05-39-3取得契約が締結されていても、物件の引渡しがすむまでの間は、転売契約を締結してはならない。×
5H03-42-2取得契約の代金支払完済前に転売契約をするのは、宅建業法に違反する。×

4.【例外2】未完成物件のケース

★過去の出題例★
未完成物件につき保全措置を講じた場合(宅建業法[15]4)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1H21-31-ウAは、甲宅地の売買が宅地建物取引業法第41条第1項に規定する手付金等の保全措置が必要な売買に該当するとき、Bから受け取る手付金について当該保全措置を講じておけば、Bとの間で売買契約を締結することができる。
2H09-45-4AがBから受け取る手付金について宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは、Aと宅地の所有者Xとの間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず、Aは、Bと売買契約を締結できる。×

5.業者間取引

適用除外

★過去の出題例★
業者間取引と他人物売買(宅建業法[15]5)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者である買主Cとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1R03s-38-ウ
宅地建物取引業者Aは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Cと売買契約の予約を締結した。
2H28-41-3
Aは、宅地建物取引業者でないXが所有する宅地について、自らを売主、宅地建物取引業者Cを買主とする売買契約を締結することができる。
3H18-38-3Aは自己の所有に属しない建物について、Cと売買契約を締結した。
4H17-35-1Xの所有する宅地について、XとAが売買契約を締結し、所有権の移転登記がなされる前に、AはCに転売し、Cは更に宅地建物取引業者でないYに転売した。
5H15-35-4宅地建物取引業者Aは、Xの所有する宅地を取得することを停止条件として、宅地建物取引業者Cとの間で自ら売主として当該宅地の売買契約を締結した。
6H11-40-3Aは、中古の建物を、その所有者Xから停止条件付きで取得する契約を締結し、当該条件の未成就のまま、その建物を宅地建物取引業者Cに対し販売する契約を締結した。
7H09-45-1Cが宅地建物取引業者である場合で、X所有の当該宅地はXがYから売買により取得したものであるが、XがYにまだその売買代金を完済していないとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。
8H09-45-3Cが宅地建物取引業者である場合で、AがXと「代替地の提供があれば、Xは、Aに当該宅地を譲渡する」旨の契約を締結しているとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。
9H06-44-1宅地建物取引業者Aが自ら売主となって造成工事完了前の宅地を買主Cに分譲する契約を令和X年10月1日締結した。Aが当該宅地の所有権を所有者Xから停止条件付きで取得する契約を同年5月1日締結したが、同年10月1日現在その条件が未だ成就されていない場合において、Cが宅地建物取引業者であるとき、宅地建物取引業法の規定に違反しない。
10H05-39-2宅地建物取引業者AがXから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲しようとしている。AX間の売買契約において、開発許可を受けることを停止条件とする特約がある場合、Aは、その条件が成就するまでの間は、宅地建物取引業者であるCと、売買契約を締結してはならない。
×
11H04-37-4その土地がXの所有地であったので、Aが、Xと令和X年9月1日停止条件付き売買契約を結び、条件未成就のまま翌年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者Cと締結した場合、宅地建物取引業法に違反しない。
12H03-42-3宅地建物取引業者Aが、Xの所有地について、Xと売買契約又は予約契約を締結しないで、自ら売主となって宅地建物取引業者Cと売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法に違反する。
×

[Step.2]一問一答式実戦応用編講座

実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。

解説動画を視聴する方法受講料
1eラーニング講座[Step.2]実戦応用編を受講1,980円~
2YouTubeメンバーシップ(「スリー・ステップ オールインワン」レベル)に登録3,590円/月
学習資料『一問一答式過去問集』無料ダウンロード
必須資料『一問一答式過去問集』を解き、自己採点をしたうえで、解説講義を視聴してください。

LINEアカウントで質問・相談

家坂講師に気軽に受験相談や質問ができるLINEアカウントを運営しています。
お気軽に「友だち追加」してください。
友だち追加
PCの場合は、「友だち検索」でID"@e-takken"を検索してください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です