■講義編■宅建業法[15]自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限
民法では、他人が所有する宅地・建物であっても、それを対象とした売買契約を締結することが可能です(他人物売買)。
しかし、宅建業者は、自分が所有していない宅地や建物を買主に売却することができません。他人所有の物件を売買契約の対象とするためには、その土地の所有者と契約を締結する、などの準備をしておく必要があるのです。
Contents
1.民法のルール
民法上の他人物売買⇒民法[24]売買契約1(3)
(1).他人物売買の有効性
(2).他人物売買における売主の担保責任
2.宅建業法のルール
(1).対象となる物件
他人が所有している物件
未完成の物件
(2).禁止される行為
自ら売主となる売買契約(予約を含む)の締結
★過去の出題例★
売買契約の禁止(予約を含む)(宅建業法[15]2(2))
取得契約が存在しない場合(宅建業法[15]3(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] 宅地建物取引業者Aは、自ら売主としてC所有の宅地又は建物をB又はDに売却しようとしている。Bは宅地建物取引業者ではないが、Dは宅地建物取引業者である。 |
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1 | R03s-38-ウ | 宅地建物取引業者Aは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Dと売買契約の予約を締結した。 | ◯ |
2 | R01-27-ア | 宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物についての自ら売主となる売買契約を締結してはならないが、当該売買契約の予約を行うことはできる。 | × |
3 | 13-45-イ | 宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、宅地建物取引業法で定める一定の場合を除いて、自ら売主となる売買の予約を締結することができない。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 26-31-イ | 売却予定の宅地の一部に市所有の土地が含まれていた場合でも、払下を申請済であり、その旨を重要事項説明書に払下申請書の写しを添付して説明したときは、売買契約を締結できる。 | × |
2 | 21-31-ア | 造成完了後の土地については、取得契約締結の有無に関わらず、売買契約を締結できる。 | × |
3 | 13-34-エ | 競売開始が決定した物件であれば、入札前であっても、売買契約が可能である。 | × |
4 | 11-34-1 | 払下げ申請中の場合、重要事項説明書に払下げ申請書の写しを添付し説明すれば、売買契約が可能である。 | × |
5 | 07-47-2 | 宅建業者Aは、自ら売主として、Bが換地処分後に取得する保留地予定地をCに販売するときには、あらかじめ、Bからその保留地予定地を取得する契約を締結しておかなければならない。 | ◯ |
3.【例外1】他人が所有する物件のケース
(1).取得契約が存在すること
予約でも◯
停止条件付は×
★過去の出題例★
取得契約が予約段階(宅建業法[15]3(1))
取得契約が停止条件付(宅建業法[15]3(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 17-35-3 | AはCと売買契約の予約をし、Aは当該宅地をBに転売した。 | ◯ |
2 | 09-45-2 | 取得予約済みの土地であれば、予約完結権未行使の間であっても、転売契約を締結できる。 | ◯ |
3 | 05-39-1 | 取得予約済みの土地であっても、予約完結権未行使の間は、転売契約を締結してはならない。 | × |
4 | 03-42-4 | 取得予約済みの土地を、転売すると、宅建業法に違反する。 | × |
5 | 01-48-4 | 取得予約済みの土地を、転売してはならない。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-38-エ | 宅地建物取引業者Aは、農地の所有者Cと建物の敷地に供するため農地法第5条の許可を条件とする売買契約を締結したので、自ら売主として宅地建物取引業者ではない個人BとC所有の農地の売買契約を締結した。 | × |
2 | R01-35-1 | 宅地建物取引業者Aは、宅地建物取引業者ではないBが所有する宅地について、Bとの間で確定測量図の交付を停止条件とする売買契約を締結した。その後、停止条件が成就する前に、Aは自ら売主として、宅地建物取引業者ではないCとの間で当該宅地の売買契約を締結した。 | × |
3 | 27-34-1 | 取得契約が停止条件付きであっても、転売契約を締結できる。 | × |
4 | 19-41-1 | 取得契約が停止条件付きであるときは、転売契約を締結してはならない。 | ◯ |
5 | 17-35-4 | 取得契約が停止条件付きであっても、転売契約を締結できる。 | × |
6 | 11-40-3 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却したとしても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
7 | 08-36-4 | 停止条件付で取得する宅地を、転売しても、宅建業法に違反しない。 | × |
8 | 06-44-1 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却したとしても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
9 | 05-39-4 | 取得契約が代替地取得を条件とする場合、転売契約を締結してはならない。 | ◯ |
10 | 04-37-4 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却したとしても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
11 | 03-42-1 | 代替地取得を停止条件として取得する土地につき、転売契約を締結した場合、宅建業法に違反する。 | ◯ |
(2).契約成立以外の要素
無関係
★過去の出題例★
契約成立以外の要素(宅建業法[15]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 22-40-4 | 取得契約後であっても、引渡しを受けるまでは、転売契約を締結できない。 | × |
2 | 21-31-イ | 取得契約後であっても、代金支払完了前は、転売契約を締結できない。 | × |
3 | 17-35-1 | 取得契約締結後であれば、登記移転を受ける前であっても、転売契約を締結できる。 | ◯ |
4 | 05-39-3 | 取得契約が締結されていても、物件の引渡しがすむまでの間は、転売契約を締結してはならない。 | × |
5 | 03-42-2 | 取得契約の代金支払完済前に転売契約をするのは、宅建業法に違反する。 | × |
4.【例外2】未完成物件のケース
★過去の出題例★
未完成物件につき保全措置を講じた場合(宅建業法[15]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 21-31-ウ | 宅建業法41条1項に規定する手付金等の保全措置を講じておけば、売買契約を締結できる。 | ◯ |
2 | 09-45-4 | 宅建業法41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは、取得契約の有無にかかわらず、売買契約が可能である。 | × |
5.業者間取引
★過去の出題例★
業者間取引と他人物売買(宅建業法[15]5)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-38-ウ | 宅地建物取引業者Aは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者と売買契約の予約を締結した。 | ◯ |
2 | 28-41-3 | 宅建業者Aは、宅建業者でないCが所有する宅地について、自らを売主、宅建業者Dを買主とする売買契約を締結することができる。 | ◯ |
3 | 18-38-3 | 業者間取引で自己の所有に属しない建物の売買契約を締結することは、宅建業法に違反する。 | × |
4 | 17-35-1 | 売買契約済だが未登記の土地を、宅建業者に売却した。 | ◯ |
5 | 15-35-4 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却した。 | ◯ |
6 | 11-40-3 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却したとしても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
7 | 09-45-1 | 売買契約済だが代金を完済していない土地を、宅建業者に売却することができる。 | ◯ |
8 | 09-45-3 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却することができる。 | ◯ |
9 | 06-44-1 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却したとしても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
10 | 05-39-2 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却してはならない。 | × |
11 | 04-37-4 | 停止条件付きで取得する予定の宅地を、宅建業者に売却したとしても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
12 | 03-42-3 | 取得契約も予約もしていない土地を、宅建業者に売却したとしても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
[Step.1]基本習得編講義
ご視聴方法 ((1)(2)(3)は同内容、価格は税込です。) |
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(1)eラーニング版講座 | 9,800円 |
(2)DVD版講座(全16巻) | 20,800円 |
(3)ニコニコチャンネル | 1講義150円 or 月額4,800円 |
『図表集』 | 無料ダウンロード |
[Step.2]実戦応用編講義
ご視聴方法 ((1)(2)(3)は同内容、価格は税込です。) |
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(1)eラーニング版講座 | 12,000円 |
(2)DVD版講座(全16巻) | 20,800円 |
(3)ニコニコチャンネル | 1講義150円 or 月額4,800円 |
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