【宅建過去問】(平成13年問03)公道に至るための他の土地の通行権
A所有の甲地は袋地で、Aが所有していない回りの土地(囲繞地)を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
- Aは、囲繞地の所有者に代償を支払えば、自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め、囲繞地に通路を開設することができる。
- Bが、Aから甲地を譲り受けた場合には、Bは、所有権移転の登記を完了しないと、囲繞地に通路を開設することができない。
- 甲地が、A及びCの共有地の分割によって袋地となったときには、Aは、Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。
- 甲地が、D所有の土地を分筆してAに売却した結果、袋地になった場合で、Dが、甲地の譲渡後、その残余地である乙地をEに売却したときには、Aは乙地に通路を開設することができない。
正解:3
現在の民法の言葉でいうと以下のようになります。
旧来の表記 | 現在の表記 |
袋地 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地 |
囲繞地 (いにょうち) |
その土地を囲んでいる他の土地 |
囲繞地通行権 | 公道に至るための他の土地の通行権 |
■参照項目&類似過去問
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公道に至るための他の土地の通行権(民法[09]3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-02-4 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に出るためにその土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。 | × |
2 | R02-01-1 | Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった。甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。 | ◯ |
3 | R02-01-2 | Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった。Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。 | × |
4 | R02-01-4 | Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった。Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、AはCが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。 | × |
5 | H29-04-2 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。 | × |
6 | H25-03-1 | 囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。 | ◯ |
7 | H25-03-2 | 共有物分割によって袋地が生じた場合、償金を支払わずに、他の分割者の土地を通行できる。 | ◯ |
8 | H21-04-2 | 囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できる。 | × |
9 | H13-03-1 | 償金を支払えば、自己の意思のみによって通行の場所・方法を定め通路を開設できる。 | × |
10 | H13-03-2 | 囲繞地通行権の対象となる土地を譲り受けた場合、所有権移転の登記を完了しないと、囲繞地に通路を開設することができない。 | × |
11 | H13-03-3 | 共有地の分割によって袋地となったときには、分割後の残余地にしか通路を開設できない。 | ◯ |
12 | H13-03-4 | 甲地が、D所有の土地を分筆してAに売却した結果、袋地になった場合で、Dが、甲地の譲渡後、その残余地である乙地をEに売却したときには、Aは乙地に通路を開設できない。 | × |
1 誤り
通行の場所及び方法は、Aのために必要で、囲繞地のために最も損害の少ないものを選ばなければならない(民法211条1項)。代償(償金)を支払った(民法212条)からといって、自己の意思で決められるわけではない。
必要に応じて囲繞地に通路を開設することができる点は正しい(民法211条2項)。
2 誤り
袋地の所有権を取得した者(B)は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者に対して、囲繞地通行権を主張することができる(最判昭47.04.14)。
したがって、Bは必要ならば通路を開設することができる。
3 正しい
分割によって袋地が生じたときであるから、その土地の所有者Aは他の分割者であるCの所有地のみを通行することができる(民法213条1項)。
4 誤り
Dが土地の一部を譲渡したことにより袋地が生じた場合であるから、AはDの所有地のみを通行することができる(民法213条2項)。
この通行権は、Dが第三者Eにその土地を譲渡した場合も消滅しない(最判平02.11.20)。
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