【宅建過去問】(平成14年問10)委任契約
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、A及びBは宅地建物取引業者ではないものとする。
- 不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には、AはBに対して委任状を交付しないと、委任契約は成立しない。
- Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。
- Bが当該物件の価格の調査など善良な管理者の注意義務を怠ったため、不動産売買についてAに損害が生じたとしても、報酬の合意をしていない以上、AはBに対して賠償の請求をすることができない。
- 委任はいつでも解除することができるから、有償の合意があり、売買契約成立寸前にAが理由なく解除してBに不利益を与えたときでも、BはAに対して損害賠償を請求することはできない。
正解:2
1 誤り
委任契約は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる(諾成契約。民法643条)。
高額な財産の売買であっても、委任状は要求されていない。
■参照項目&類似過去問
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委任契約とは(民法[29]1(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R06-02-1 | 売主が、売買契約の付随義務として、買主に対して、マンション専有部分内の防火戸の操作方法につき説明義務を負う場合、業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。 | ◯ |
2 | R06-02-4 | 委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。 | × |
3 | H23-08-2 | Aは、B所有の甲不動産の売却について、売買契約が締結されるに至った場合には売買代金の2%の報酬の支払いを受けるとして、Bから買主のあっせんの依頼を受けた。Aがあっせんした買主Cとの間で1,000万円の売買契約が成立したのでAがBに対して報酬として20万円の支払いを求める場合、AのBに対する債権は、契約に基づいて発生する。 | × |
4 | H14-10-1 | 不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には、委任者は受任者に対して委任状を交付しないと、委任契約は成立しない。 | × |
2 正しい
委任契約は、原則として無償契約であり、特約がない限り、報酬の請求をすることはできない(民法648条1項)。
しかし、費用の償還請求はこれとは別問題である。
無償の委任契約であっても、受任者が委任事務の処理に必要な費用を負担した場合には、利息と合わせて、委任者に償還を請求することができる(民法650条1項)。
■参照項目&類似過去問
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委任契約の報酬(民法[29]2(1))
[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R06-02-4 | 委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。 | × |
2 | R02-05-1 | Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。 | ◯ |
3 | R02-05-3 | Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。 | × |
4 | H14-10-2 | Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。 | ◯ |
5 | H09-09-3 | Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bの責に帰すべからざる事由により本件管理委託契約が履行の中途で終了したときは、Bは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 | ◯ |
6 | H07-09-1 | Bは、Aとの間で特約がなくても、Aに対して報酬の請求をすることができる。 | × |
3 誤り
報酬の合意がなくても、受任者Bは善良な管理者の注意義務をもって事務を処理しなければならない(民法644条)。
これを怠り、Aに損害が生じた場合には、AはBに損害賠償の請求をすることができる(民法415条)。
■参照項目&類似過去問)
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受任者の注意義務(民法[29]2(2))
[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-05-2 | Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。 | × |
2 | H20-07-2 | 委託の受任者は、報酬を受けて受任する場合も、報酬で受任する場合も、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。 | ◯ |
3 | H14-10-3 | Bが当該物件の価格の調査など善良な管理者の注意義務を怠ったため、不動産売買についてAに損害が生じたとしても、報酬の合意をしていない以上、AはBに対して賠償の請求をすることができない。 | × |
4 | H09-09-1 | Bが無償で本件管理を受託している場合は、「善良なる管理者の注意」ではなく、「自己の財産におけると同一の注意」をもって事務を処理すれば足りる。 | × |
4 誤り
委任契約を当事者はいつでも解除できるが、これによりAがBに不利益を与えたときには、BはAに対して損害賠償を請求することができる(民法651条2項)。
■参照項目&類似過去問
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解除(民法[29]3(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-09-ア | 委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。 | ◯ |
2 | H18-09-1 | 委任契約は、委任者又は受任者のいずれからも、いつでもその解除をすることができる。ただし、相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある。 | ◯ |
3 | H14-10-4 | 委任はいつでも解除することができるから、有償の合意があり、売買契約成立寸前に委任者が理由なく解除して受任者に不利益を与えたときでも、受任者は委任者に対して損害賠償を請求することはできない。 | × |
4 | H09-09-2 | Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが無償で本件管理を受託している場合は、Bだけでなく、Aも、いつでも本件管理委託契約を解除することができる。 | ◯ |
5 | H02-08-3 | 無償の委任契約においては、各当事者は、いつでも契約を解除することができるが、その解除が相手方のために不利な時期であった場合、その損害を賠償しなければならない。 | ◯ |
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