【宅建過去問】(平成15年問07)保証・連帯保証
Aは、Aの所有する土地をBに売却し、Bの売買代金の支払債務についてCがAとの間で保証契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
- Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、CはAに対して、まずBに請求するよう主張できる。
- Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、Cは、Bに弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、Aの請求を拒むことができる。
- Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、Cに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、Bに対してはその効力を生じない。
- Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、Bに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、Cに対してもその効力を生ずる。
正解:1
1 誤り
連帯保証人には催告の抗弁権がない(民法454条、民法452条)。
したがって、AがCに対して保証債務の履行を請求してきた場合、Cは「まずBに請求しろ」と主張することはできない。
■参照項目&類似過去問
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連帯保証:催告・検索の抗弁権(民法[18]3(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-02-3 | ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)及びケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約がいずれも連帯保証契約である場合、BがCに債務の履行を請求したときはCは催告の抗弁を主張することができるが、DがEに債務の履行を請求したときはEは催告の抗弁を主張することができない。 | × |
[共通の設定] BがAに対して負う1,000万円の債務について、Dが連帯保証人となっている。 |
|||
2 | 15-07-1 | Dの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、AがDに対して保証債務の履行を請求してきても、DはAに対して、まずBに請求するよう主張できる。 | × |
3 | 10-04-1 | Aは、自己の選択により、B及びDに対して、各別に又は同時に、1,000万円の請求をすることができる。 | ◯ |
4 | 10-04-2 | Dは、Aからの請求に対して、自分は保証人だから、まず主たる債務者であるBに対して請求するよう主張することができる。 | × |
5 | 05-04-1 | Aは、1,000万円の請求を、B・Dのうちのいずれに対しても、その全額について行うことができる。 | ◯ |
6 | 05-04-3 | DがAから請求を受けた場合、DがBに執行の容易な財産があることを証明すれば、Aは、まずBに請求しなければならない。 | × |
2 正しい
通常の保証債務には、検索の抗弁権が認められている(民法453条)。
したがって、Cは、Bに弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明すれば、Aの請求を拒むことができる。
■参照項目&類似過去問
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保証契約:補充性(催告・検索の抗弁権)(民法[18]2(4))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H22-08-3 | 連帯保証ではない場合の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。 ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明であるときは、この限りでない。 | ◯ |
2 | H15-07-2 | 連帯の特約がない保証人の場合、債権者が保証債務の履行を請求してきても、保証人は、主債務者に弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、債権者の請求を拒むことができる。 | ◯ |
3 正しい
連帯保証人Cに履行を請求すれば、Cの債務に関する時効が更新される(民法147条)。
この場合については、連帯債務に関するルールが準用される(民法458条)。そして、連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しては、その効力を生じない(相対効。民法441条本文)。したがって、主たる債務者Bの債務には全く影響を与えない。
■参照項目&類似過去問
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連帯保証人について生じた事由(民法[18]3(2)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] BがAに対して負う1,000万円の債務について、Dが連帯保証人となっている。 |
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免除 | |||
1 | 20-06-1 | Aが、Bに対して債務を免除した場合にはDが、Dに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。 | × |
2 | 16-06-2 | AがDに対して連帯保証債務の全額を免除すれば、Bも債務の全額を免れる。 | × |
時効の完成 | |||
1 | 20-06-3 | Bについて時効が完成した場合にはDが、Dについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。 | × |
履行の請求 | |||
1 | 20-06-2 | Aが、Bに対して履行を請求した効果はDに及ぶが、Dに対して履行を請求した効果はBに及ばない。 | ◯ |
2 | 15-07-3 | Dの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、Dに対する履行の請求による時効の完成猶予は、Bに対してはその効力を生じない。 | ◯ |
3 | 10-04-3 | AがDに対して請求の訴えを提起することにより、Bに対する関係でも消滅時効の完成が猶予されることになる。 | × |
4 | 07-03-1 | AがDに対して訴訟により弁済を求めた場合、Bの債務についても、時効の完成が猶予される。 | × |
5 | 02-07-3 | AのDに対する履行の請求は、Bに対しては効力を生じない。 | ◯ |
4 正しい
主たる債務者Bに履行を請求すれば、保証債務の付従性により、連帯保証人Cにも履行を請求したことになる。これにより、Cの消滅時効についても、完成が猶予される。
その他にも、主たる債務者に関して時効の完成猶予又は更新があれば、保証人の消滅時効も、完成猶予又は更新される(民法457条1項)。
※このことは、通常の保証でも、連帯保証でも共通である。
■参照項目&類似過去問
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主たる債務者について生じた事由(民法[18]2(2)①②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] BがAに対して負う1,000万円の債務について、Cが保証人となっている。 |
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免除 | |||
1 | 20-06-1 | Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。 | × |
時効完成 | |||
1 | 20-06-3 | Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。 | × |
履行の請求 | |||
1 | 20-06-2 | Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及ぶが、Cに対して履行を請求した効果はBに及ばない。 | ◯ |
2 | 15-07-4 | Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、Bに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、Cに対してもその効力を生ずる。 | ◯ |
3 | 07-03-3 | AがBに対して訴訟により弁済を求めた場合、Cの債務についても、時効の完成が猶予される。 | ◯ |
4 | 02-07-2 | AのBに対する履行の請求は、Cに対しては効力を生じない。 | × |
債務の承認 | |||
1 | 16-06-4 | Bが債務を承認して時効が更新された場合にはCの保証債務に対しても時効更新の効力を生ずる。 | ◯ |
主たる債務者の債権による相殺 | |||
1 | 06-09-4 | AがCに対して直接1,000万円の支払を求めて来ても、BがAに 600万円の債権を有しているときは、Cは、600万円の範囲で債務の履行を拒むことができるため、 400万円を支払えばよい。 | ◯ |
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