【宅建過去問】(平成18年問38)8つの規制
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。
- AはBと売買契約を締結し、代金の額の10分の3の金額を手付として受領した。
- Aは、新築分譲マンションについて、建築基準法第6条第1項の建築確認を受ける前にBと売買契約を締結した。
- Aは自己の所有に属しない建物について、Bと売買契約を締結した。
- AはBと売買契約を締結する際、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約をした。
正解:2
業者間取引を前提にした問題であるから、以下の8つの規制は適用されない。
これを前提にして解いていく。
- クーリング・オフ制度
- 自己の所有に属しない不動産を売るときの規制
- 手付金等の保全措置
- 手付の額の制限等
- 損害賠償額の予定等の制限
- 契約不適合担保責任に関する特約の制限
- 割賦販売をする場合の制限
- 割賦販売契約の解除等の制限
1 違反しない
手付の額の制限等の規定は、8つの規制に含まれているから(4)、業者間取引には適用されない(宅地建物取引業法39条、78条2項)。
したがって、代金の2/10を超える手付を受領しても宅建業法には違反しない。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者である買主Cとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。 |
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1 | R02-42-3 | Aが宅地建物取引業者Cとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。 | ◯ |
2 | 26-33-1 | 【建築工事完了前の建物(代金5,000万円)】 Aは、保全措置を講じずに、Cから手付金として1,000万円を受領した。 | ◯ |
3 | 20-41-4 | Aは、Cとの間で建築工事が完了した建物を1億円で販売する契約を締結し、法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じずに、当該建物の引渡し前に2,500万円を手付金として受領することができる。 | ◯ |
4 | 18-38-1 | AはCと売買契約を締結し、代金の額の10分の3の金額を手付として受領した。 | ◯ |
5 | 16-40-3 | 宅地建物取引業者Aが自ら完成前の物件の売主となり、宅地建物取引業者Cに売却する場合、法第39条に基づく手付の額の制限等に関する規定が適用される。 | × |
6 | 13-42-1 | AがCから受け取る手付金の額が売買代金の2割を超える場合には、その手付金について宅地建物取引業法第41条又は第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じなければならない。 | × |
7 | 07-42-4 | 【造成工事完了前の宅地(代金1億円)】 Aは、Cから手付金3,000万円を受け取るときは、宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全のための措置を講ずる必要はない。 | ◯ |
8 | 01-48-2 | 【宅地(代金6,000万円)】 宅地建物取引業者である買主Cが本件物件を掘出し物と考えて、契約の拘束力を高めるため、自ら手付金を3,000万円とする申し出を行った場合、Aがこの手付金を受領しても、宅地建物取引業法違反とはならない。 | ◯ |
2 違反する
広告開始 | 契約締結 | |
売買・交換 | × | × |
貸借 | × | ◯ |
契約締結時期の制限は、業者間取引にも適用される(宅地建物取引業法36条、78条2項参照)。
したがって、建築確認を受ける前に売買契約を締結することは、宅建業法に違反する。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-38-イ | 宅地建物取引業者Aは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の代理を依頼され、代理人として借主Cとの間で当該住宅の賃貸借契約を締結した。 | ◯ |
2 | R02s-26-3 | 宅地建物取引業者は、建築工事完了前の賃貸住宅について、借主として貸借の契約を締結してはならない。 | × |
3 | R01-35-4 | 宅地建物取引業者は、宅地の貸借の媒介に際し、当該宅地が都市計画法第29条の許可の申請中であることを知りつつ、賃貸借契約を成立させた。 | ◯ |
4 | H30-28-ア | 宅地建物取引業者が、買主として、造成工事完了前の宅地の売買契約を締結しようとする場合、売主が当該造成工事に関し必要な都市計画法第29条第1項の許可を申請中であっても、当該売買契約を締結することができる。 | × |
5 | H28-32-2 | 宅地建物取引業者は、自ら売主として新築マンションを分譲するに当たり、建築基準法第6条第1項の確認の申請中であったため、「建築確認申請済」と明示して、当該建物の販売に関する広告を行い、建築確認を受けた後に売買契約を締結した。 | × |
6 | H27-37-1 | 宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前においては、建築確認を受けた後でなければ、当該建物の貸借の媒介をしてはならない。 | × |
7 | H27-37-4 | 宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前において、建築確認の申請中である場合は、建築確認を受けることを停止条件とする特約を付ければ、自ら売主として当該建物の売買契約を締結することができる。 | × |
8 | H26-30-1 | 宅地建物取引業者は、新築分譲マンションを建築工事の完了前に販売しようとする場合、建築基準法第6条第1項の確認を受ける前において、当該マンションの売買契約の締結をすることはできないが、当該販売に関する広告をすることはできる。 | × |
9 | H25-32-イ | 宅地建物取引業者は、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の代理を依頼され、代理人として借主との間で当該住宅の賃貸借契約を締結した。 | ◯ |
10 | H25-32-ウ | 宅地建物取引業者A社は、建築確認の済んだ建築工事完了前の建売住宅の売主B社(宅地建物取引業者)との間で当該住宅の売却の専任媒介契約を締結し、媒介業務を行った。 | ◯ |
11 | H24-28-イ | 宅地建物取引業者は、居住用賃貸マンションとする予定の建築確認申請中の建物については、当該建物の貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、広告をすることができない。 | ◯ |
12 | H19-38-2 | 宅地建物取引業者は、新築分譲マンションを建築工事の完了前に売却する場合、建築基準法第6条第1項の確認を受ける前において、当該マンションの売買の広告及び売買契約の締結のいずれもすることはできない。 | ◯ |
13 | H19-38-3 | 都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地について、Bが開発行為を行い貸主として貸借をしようとする場合、宅地建物取引業者Aは、Bがその許可を受ける前であっても、Bの依頼により当該宅地の貸借の広告をすることができるが、当該宅地の貸借の媒介をすることはできない。 | × |
14 | H19-38-4 | 宅地建物取引業者Aは、都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地について開発行為を行いBに売却する場合、Bが宅地建物取引業者であれば、その許可を受ける前であっても当該宅地の売買の予約を締結することができる。 | × |
15 | H19-43-1 | 宅地建物取引業者Aは、都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地の造成工事着手前において、当該許可を受けていない場合であっても、当該許可を受けることを停止条件とする特約を付ければ、当該宅地の売買契約を締結することができる。 | × |
16 | H18-38-2 | 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する。Aは、新築分譲マンションについて、建築基準法第6条第1項の建築確認を受ける前にBと売買契約を締結することができる。 | × |
17 | H13-42-3 | 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者Bと建物の売買契約を締結しようとしている。売買予定の建物が、建築工事完了前の建物である場合には、Aは、建築基準法第6条第1項の確認の申請をすれば、Bと売買契約を締結することができる。 | × |
18 | H11-40-2 | 宅地建物取引業者Aが、建物を新築するため建築確認の申請中であったので、自ら売主として、宅地建物取引業者Bに対し、その建物を販売する契約の予約を締結した。 | × |
19 | H07-41-3 | 宅地建物取引業者は、建物の建築工事着手前において、建築基準法第6条第1項の確認を受けていない場合であっても、当該確認を受けることを停止条件とする特約付きで建物の売買契約を締結することができる。 | × |
20 | H05-39-2 | 宅地建物取引業者AがXから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲しようとしている。AX間の売買契約において、開発許可を受けることを停止条件とする特約がある場合、Aは、その条件が成就するまでの間は、宅地建物取引業者であるCと、売買契約を締結してはならない。 | ◯ |
21 | H04-37-1 | 宅地建物取引業者Aは、建売住宅の分譲を行うこととし、昨年10月1日開発許可を受けて、同年12月1日宅地造成工事を完了し、本年2月1日建築確認を受けたが、同年4月1日現在工事は完了していない。Aが、宅地建物取引業者Bの強い希望に基づき、開発許可が下りた後の昨年11月1日、建築確認の取得を条件として土地付住宅の売買契約をBと締結した場合、宅地建物取引業法に違反する。 | ◯ |
22 | H04-37-2 | 宅地建物取引業者Aは、建売住宅の分譲を行うこととし、昨年10月1日開発許可を受けて、同年12月1日宅地造成工事を完了し、本年2月1日建築確認を受けたが、同年4月1日現在工事は完了していない。Aが、本年1月1日、「宅地造成完了、建築確認申請済」と表示した広告を出して、その広告を見た宅地建物取引業者でないBと、建築確認後の同年3月1日土地付住宅の売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法に違反しない。 | × |
3 違反しない
自己の所有に属しない不動産を売るときの規制は、8つの規制に含まれているから(2)、業者間取引には適用されない(宅地建物取引業法33条の2、78条2項)。
したがって、自己の所有に属しない建物について売買契約を締結しても、宅建業法には違反しない。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] 宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者である買主Cとの間で売買契約を締結した。 |
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1 | R03s-38-ウ | 宅地建物取引業者Aは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Cと売買契約の予約を締結した。 | ◯ |
2 | 28-41-3 | Aは、宅地建物取引業者でないXが所有する宅地について、自らを売主、宅地建物取引業者Cを買主とする売買契約を締結することができる。 | ◯ |
3 | 18-38-3 | Aは自己の所有に属しない建物について、Cと売買契約を締結した。 | ◯ |
4 | 17-35-1 | Xの所有する宅地について、XとAが売買契約を締結し、所有権の移転登記がなされる前に、AはCに転売し、Cは更に宅地建物取引業者でないYに転売した。 | ◯ |
5 | 15-35-4 | 宅地建物取引業者Aは、Xの所有する宅地を取得することを停止条件として、宅地建物取引業者Cとの間で自ら売主として当該宅地の売買契約を締結した。 | ◯ |
6 | 11-40-3 | Aは、中古の建物を、その所有者Xから停止条件付きで取得する契約を締結し、当該条件の未成就のまま、その建物を宅地建物取引業者Cに対し販売する契約を締結した。 | ◯ |
7 | 09-45-1 | Cが宅地建物取引業者である場合で、X所有の当該宅地はXがYから売買により取得したものであるが、XがYにまだその売買代金を完済していないとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。 | ◯ |
8 | 09-45-3 | Cが宅地建物取引業者である場合で、AがXと「代替地の提供があれば、Xは、Aに当該宅地を譲渡する」旨の契約を締結しているとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。 | ◯ |
9 | 06-44-1 | 宅地建物取引業者Aが自ら売主となって造成工事完了前の宅地を買主Cに分譲する契約を令和X年10月1日締結した。Aが当該宅地の所有権を所有者Xから停止条件付きで取得する契約を同年5月1日締結したが、同年10月1日現在その条件が未だ成就されていない場合において、Cが宅地建物取引業者であるとき、宅地建物取引業法の規定に違反しない。 | ◯ |
10 | 05-39-2 | 宅地建物取引業者AがXから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲しようとしている。AX間の売買契約において、開発許可を受けることを停止条件とする特約がある場合、Aは、その条件が成就するまでの間は、宅地建物取引業者であるCと、売買契約を締結してはならない。 | × |
11 | 04-37-4 | その土地がXの所有地であったので、Aが、Xと令和X年9月1日停止条件付き売買契約を結び、条件未成就のまま翌年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者Cと締結した場合、宅地建物取引業法に違反しない。 | ◯ |
12 | 03-42-3 | 宅地建物取引業者Aが、Xの所有地について、Xと売買契約又は予約契約を締結しないで、自ら売主となって宅地建物取引業者Cと売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法に違反する。 | × |
4 違反しない
契約不適合担保責任に関する特約の制限は、8つの規制に含まれているから(6)、業者間取引には適用されない(宅地建物取引業法40条、78条2項)。
したがって、契約不適合担保責任を負わない旨の特約をしても、宅建業法には違反しない。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者である買主Cとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。 |
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1 | 29-38-4 | 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約を定めたが、買主が宅地建物取引業者であり、当該責任に関する特約を自由に定めることができるため、37条書面にその内容を記載しなかった。 | × |
2 | 25-36-4 | 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者間での宅地の売買の媒介に際し、当該売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約はあったが、宅地建物取引業者間の取引であったため、当該特約の内容について37条書面への記載を省略した。 | × |
3 | 24-39-2 | 当該建物が中古建物である場合、Aは、宅地建物取引業者である買主Cとの間で、「中古建物であるため、Aは、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、その不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を定めることは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。 | ◯ |
4 | 23-39-4 | Aは、Cとの間で、売買契約を締結したが、当該宅地の契約不適合についてAが負う担保責任について、「契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。 | ◯ |
5 | 18-38-4 | 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する。AはBと売買契約を締結する際、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約をした。 | ◯ |
6 | 18-41-3 | 宅地建物取引業者Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取引業者と、「Aは当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わない」旨の特約を記載した売買契約を締結した。 | ◯ |
7 | 13-42-4 | 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者Cと建物の売買契約を締結しようとしている。AC間で、建物の譲渡価格について値引きをするかわりに、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合についてCがAに通知すべき期間については、引渡しの日から6月間とする特約を結ぶ場合、この特約は有効である。 | ◯ |
8 | 08-48-2 | 宅地建物取引業者でないAが、A所有のマンションを宅地建物取引業者Bの媒介により宅地建物取引業者Cに売却し、その後Cが宅地建物取引業者Dに転売する。AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を売主が負うべき期間を引渡しの日から1年とする」旨の特約をしても、その特約は、CD間では有効であるが、AC間では無効である。 | ◯ |
9 | 02-40-1 | Aは、宅地建物取引業者であるCと、当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、当該マンションの引渡しの日から1年とする特約を結んだ。 | ◯ |
10 | 01-44-1 | 宅地建物取引業者相互間の宅地の売買において、売主は、売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任は一切負わないとの特約をした。 | ◯ |
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