【宅建過去問】(平成24年問39)契約不適合担保責任についての特約の制限

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宅地建物取引業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。なお、この問において「担保責任」とは、宅地建物取引業者が自ら売主となる建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任をいうものとする。

  1. 当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Bの売買を代理する宅地建物取引業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の担保責任を負う期間についての特約を定めないこと。
  2. 当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者である買主Dとの間で、「中古建物であるため、A社は、担保責任を負わない」旨の特約を定めること。
  3. 当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者でない買主Eとの間で、「Eは、A社の担保責任を追及するためには、引渡しの日から2年以内に当該不適合についてA社に通知しなければならない」旨の特約を定めること。
  4. 当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Fとの間で、「Fは、A社が担保責任を負う期間内であれば、損害賠償の請求をすることはできるが、契約の解除をすることはできない」旨の特約を定めること。

正解:4

1 違反しない

契約不適合担保責任に関する特約に限らず、そもそも特約というのは、必要に応じて定めるものです。つまり、特約を定めるか定めないかは、当事者の自由に任されています。宅建業法は、特約を定める場合の内容を規制しているに過ぎず、特約を定めることを義務付けているわけではないのです。
したがって、本肢において、「特約を定めないこと」には何らの問題がありません。

※この場合、契約不適合担保責任の内容は、民法に従うことになります。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
契約不適合担保責任に関する特約(原則=無効)(宅建業法[16]2(1)①)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
買主が知っている欠陥
1H21-38-イAは、Bとの間で建物の売買契約を締結する前に、法第35条の規定に基づく重要事項として当該建物に雨漏りがする箇所が存在することについて説明し、売買契約においてAはその雨漏りについて担保責任を負わないとする特約を定めた場合、その特約は有効である。
2H11-33-3契約に「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負うが、Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」旨定めた場合、その定めは有効である。×
「契約不適合担保責任を負わない」旨の特約
1R02-42-4Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。×
2H27-39-2AがBとの間で土地付建物の売買契約を締結するに当たって、Bが建物を短期間使用後取り壊す予定である場合には、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、その不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を定めることができる。
×
3H27-43-1宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、当該売買の契約においてその目的物の契約不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を付した。この場合、Aは、乙県知事から指示処分を受けることがある。
4H21-38-アAがBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、当該住宅を現状有姿で引き渡すとする特約と、Aが当該住宅が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であってもその不適合を担保すべき責任を負わないこととする特約とを定めた場合、その特約はいずれも有効である。
×
5H21-38-ウAがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、当該不適合を担保すべき責任を負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。×
6H20-09-1売買契約で、甲土地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であってもAがその不適合を担保すべき責任を一切負わない旨を合意したとしても、Aは、甲土地の引渡しの日から2年以内にその不適合についてBから通知を受けた場合に限っては、担保責任を負わなければならない。×
担保責任追及方法の限定
1H29-27-ウAが目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合について担保責任を負う期間内においては、損害賠償の請求をすることはできるが、契約を解除することはできないとする特約を定めた場合、その特約は有効である。
×
2H25-38-アA社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。
×
3H24-39-4当該建物が新築戸建住宅である場合、Aは、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、「Bは、A社が担保責任を負う期間内であれば、損害賠償の請求をすることはできるが、契約の解除をすることはできない」旨の特約を定めることは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。
×
4H11-33-2「契約の解除ができるのは、相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときに限る」という特約は無効。×
5H09-41-1「契約は解除できないが、損害賠償請求はできる」という特約は無効。
売主の帰責事由を要求
1H29-27-イ売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による契約不適合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。
2H19-41-3「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。
×
3H17-42-4「契約不適合保責任を負うのは、売主に帰責事由がある場合に限る」という特約は有効。
×
4H09-41-2「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は宅建業法に違反しない。×
5H05-45-1「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。×
その他
1H24-39-1当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Bの売買を代理する宅地建物取引業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の担保責任を負う期間についての特約を定めないことは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。

2 違反しない

契約不適合担保責任に関する特約の制限は8つの規制の一つであり、業者間取引には適用されません(宅建業法40条、78条2項)。したがって、特約を自由に定めることが可能です。契約不適合担保責任を負わない旨の特約をしても、宅建業法には違反しません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
業者間取引と契約不適合担保責任(宅建業法[16]3)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者である買主Cとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1H29-38-4宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約を定めたが、買主が宅地建物取引業者であり、当該責任に関する特約を自由に定めることができるため、37条書面にその内容を記載しなかった。×
2H25-36-4宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者間での宅地の売買の媒介に際し、当該売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約はあったが、宅地建物取引業者間の取引であったため、当該特約の内容について37条書面への記載を省略した。
×
3H24-39-2当該建物が中古建物である場合、Aは、宅地建物取引業者である買主Cとの間で、「中古建物であるため、Aは、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、その不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を定めることは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。
4H23-39-4Aは、Cとの間で、売買契約を締結したが、当該宅地の契約不適合についてAが負う担保責任について、「契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。
5H18-38-4宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する。AはBと売買契約を締結する際、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約をした。
6H18-41-3宅地建物取引業者Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取引業者と、「Aは当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わない」旨の特約を記載した売買契約を締結した。
7H13-42-4宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者Cと建物の売買契約を締結しようとしている。AC間で、建物の譲渡価格について値引きをするかわりに、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合についてCがAに通知すべき期間については、引渡しの日から6月間とする特約を結ぶ場合、この特約は有効である。
8H08-48-2宅地建物取引業者でないAが、A所有のマンションを宅地建物取引業者Bの媒介により宅地建物取引業者Cに売却し、その後Cが宅地建物取引業者Dに転売する。AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を売主が負うべき期間を引渡しの日から1年とする」旨の特約をしても、その特約は、CD間では有効であるが、AC間では無効である。
9H02-40-1Aは、宅地建物取引業者であるCと、当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、当該マンションの引渡しの日から1年とする特約を結んだ。
10H01-44-1宅地建物取引業者相互間の宅地の売買において、売主は、売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任は一切負わないとの特約をした。

3 違反しない

宅建業者は、自ら売主となる売買契約において、契約不適合担保責任につき、民法よりも買主に不利な内容の特約をすることができません。例外は、不適合について買主が売主に通知するまでの期間引渡しから2年以上とするものに限られます(宅建業法40条1項)。
本肢は、この例外のケースです。民法と比べて買主に不利な特約ですが、有効とされます。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
契約不適合担保責任の期間制限(宅建業法[16]2(1)②・(2))

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。

年-問-肢内容正誤
1R04-43-2Aが、土地付建物の売買契約を締結する場合において、買主との間で、「売主は、売買物件の引渡しの日から1年間に限り当該物件の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保する責任を負う」とする旨の特約を設けることができる。×
2R02-42-1Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負う期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。×
3R01-27-イ宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、取引の相手方が同意した場合に限り、当該不適合について買主が売主に通知すべき期間を当該宅地又は建物の引渡しの日から1年とする特約を有効に定めることができる。×
4H30-29-4Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を売却する売買契約を締結した。Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、契約の解除又は損害賠償の請求をするために、Bは、目的物の引渡しの日から1年以内に当該不適合についてAに通知しなければならないものとする旨の特約を定めた。
×
5H29-27-ア売買契約において、目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めた場合、その特約は無効となる。
×
6H29-27-イ売買契約において、売主の責めに帰すべき事由によって目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。
7H27-34-2Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間は、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、Bが当該不適合についてAに通知すべき期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。
×
8H27-39-4AがBとの間で締結した宅地の売買契約において、当該宅地の引渡しを当該売買契約締結の日の1月後とし、当該宅地当が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間について、当該売買契約を締結した日から2年間とする特約を定めることができる。
×
9H26-31-ア本件契約の目的物である宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、その不適合についてBがAに通知しなければならない期間を売買契約に係る宅地の引渡しの日から3年間とする特約は、無効である。×
10H25-38-アA社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。
×
11H24-39-3当該建物が中古建物である場合、Aは、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、「当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間は、売買契約締結の日にかかわらず引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めることは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。
12H23-37-4当該契約において、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間として、Bが当該不適合を知った時から2年間とする旨の特約を定めることができる。
13H22-40-1Aは、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間を当該宅地の引渡しの日から3年とする特約をすることができる。
14H21-38-ウAがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、当該不適合を担保すべき責任を負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。
×
15H21-40-4Aは、自ら売主として行う中古建物の売買に際し、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、BがAに通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約をした。
16H20-40-4Aは、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間として、引渡しの日から2年で、かつ、Bが当該不適合を発見した時から30日以内とする特約を定めることができる。
×
17H17-42-3AとBは、「宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合について買主が売主に通知すべき期間は、当該宅地の売買契約を締結してから2年間とする」旨の特約を定めた。×
18H15-41-4当該物件が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合についてBがAに通知すべき期間について定める場合、「引渡しの日から1年」とする特約は無効であり、当該期間は「引渡しの日から2年」となる。×
19H14-41-1「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、引渡しから半年」という特約は有効。×
20H12-40-1「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、引渡しから1年」という特約は無効で、「不適合発見から1年」となる。
21H11-33-3契約に「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負うが、Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」旨定めた場合、その定めは有効である。×
22H10-36-4損害賠償額を予定した場合、「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は引渡しから1年」という特約は有効。×
23H09-41-1「売主が担保責任を負う期間は引渡しから2年間。買主は、契約を解除できないが、損害賠償を請求できる」旨の特約は無効。
24H09-41-3「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は契約締結から2年。買主は、その期間内に瑕疵修補請求権も行使できる」という特約は有効。×
25H09-41-4「売主が担保責任を負う期間は、引渡しから1年」という特約は無効で、売主は、引渡しから2年間担保責任を負う。×
26H08-48-2「契約不適合担保責任責任を負う期間は、引渡しから1年」という特約は業者間取引では有効だが、業者以外を売主・業者を買主とする売買契約では無効。×
27H07-43-1「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は引渡しから2年」という特約をしたときでも、不適合発見から1年は担保責任を負う。×
28H07-45-1「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、不適合発見から1年半」という特約は有効。
29H06-43-1AB間の合意で、当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合についてBがAに通知すべき期間について、Bがその不適合を知ったときから1年間と定めても、Aは、当該物件の引渡し後2年間は売主としての担保責任を負わなければならない。×

4 違反する

民法は、契約不適合について買主が売主に追及することができる担保責任として、①損害賠償請求、②契約解除、③追完請求権、④代金減額請求権を認めています(同法562 条、563 条、564 条、415 条、541 条、542 条)。そして、宅建業法は、これよりも買主に不利な特約を禁止しています(同法40 条1項)。したがって、「損害賠償の請求をすることはできるが、契約の解除をすることはできない」とする特約は、無効です。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
契約不適合担保責任に関する特約(原則=無効)(宅建業法[16]2(1)①)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
買主が知っている欠陥
1H21-38-イAは、Bとの間で建物の売買契約を締結する前に、法第35条の規定に基づく重要事項として当該建物に雨漏りがする箇所が存在することについて説明し、売買契約においてAはその雨漏りについて担保責任を負わないとする特約を定めた場合、その特約は有効である。
2H11-33-3契約に「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負うが、Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」旨定めた場合、その定めは有効である。×
「契約不適合担保責任を負わない」旨の特約
1R02-42-4Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。×
2H27-39-2AがBとの間で土地付建物の売買契約を締結するに当たって、Bが建物を短期間使用後取り壊す予定である場合には、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、その不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を定めることができる。
×
3H27-43-1宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、当該売買の契約においてその目的物の契約不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を付した。この場合、Aは、乙県知事から指示処分を受けることがある。
4H21-38-アAがBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、当該住宅を現状有姿で引き渡すとする特約と、Aが当該住宅が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であってもその不適合を担保すべき責任を負わないこととする特約とを定めた場合、その特約はいずれも有効である。
×
5H21-38-ウAがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、当該不適合を担保すべき責任を負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、BがAの担保責任を追及するに当たり当該不適合についてAに通知すべき期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。×
6H20-09-1売買契約で、甲土地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であってもAがその不適合を担保すべき責任を一切負わない旨を合意したとしても、Aは、甲土地の引渡しの日から2年以内にその不適合についてBから通知を受けた場合に限っては、担保責任を負わなければならない。×
担保責任追及方法の限定
1H29-27-ウAが目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合について担保責任を負う期間内においては、損害賠償の請求をすることはできるが、契約を解除することはできないとする特約を定めた場合、その特約は有効である。
×
2H25-38-アA社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。
×
3H24-39-4当該建物が新築戸建住宅である場合、Aは、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、「Bは、A社が担保責任を負う期間内であれば、損害賠償の請求をすることはできるが、契約の解除をすることはできない」旨の特約を定めることは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。
×
4H11-33-2「契約の解除ができるのは、相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときに限る」という特約は無効。×
5H09-41-1「契約は解除できないが、損害賠償請求はできる」という特約は無効。
売主の帰責事由を要求
1H29-27-イ売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による契約不適合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。
2H19-41-3「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。
×
3H17-42-4「契約不適合保責任を負うのは、売主に帰責事由がある場合に限る」という特約は有効。
×
4H09-41-2「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は宅建業法に違反しない。×
5H05-45-1「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。×
その他
1H24-39-1当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Bの売買を代理する宅地建物取引業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の担保責任を負う期間についての特約を定めないことは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。

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令和6年 宅建解答速報・解説

毎年好評の「解答速報」。
最速の解答・解説を目指し、今年も実施

本試験終了直後から開始し、18時までには全問の正解番号をお知らせする予定です。
(家坂講師には、本試験会場からスマホでの正解発表を依頼済み10問分‼️)

【宅建過去問】(平成24年問39)契約不適合担保責任についての特約の制限” に対して12件のコメントがあります。

  1. 関根さやか より:

    いつもお世話になっております。
    肢3に「引渡しの日から2年以内」とありますが、2年「以上」ではないのでしょうか?
    それとも、2年以内も2年以上も「2年」は含まれているので同じことという解釈になりますか?

    1. 家坂 圭一 より:

      宅建業法のルールと特約の内容をしっかり比較しましょう。

      (1)宅建業法のルール
      宅建業法は、通知期間を「引渡しから2年以上」とする特約を許容しています。

      (2)特約の有効・無効
      (a)通知期間が2年を超える場合

      「2年以上」であればよいのですから、例えば、通知期間を「3年以内」とか「5年以内」と定めるのは、もちろん有効です。

      (b)通知期間が2年ジャストの場合
      通知期間をギリギリまで短くしたのが、今回の問題にある「通知期間は2年以内」とする特約です。
      「2年以内」というのは、ギリギリですが「2年以上」です。したがって、この特約は、宅建業法に違反しません。

      (c)通知期間が2年未満の場合
      通知期間を2年よりも短くした場合、例えば、「1年以内」とか「1年11か月以内」と定めたとすれば、その特約は、宅建業法違反です。

      1. 関根さやか より:

        詳しい回答ありがとうございます。
        2年ジャストのところが自分の中で不明瞭でしたので混乱していました。
        大変クリアになりました。
        ありがとうございます。

        1. 家坂 圭一 より:

          関根さん

          ご返信ありがとうございます。
          「宅建業法」というよりは、用語の使い分けの問題ですね。
          ご存知のこととは思いますが、一応、整理しておきましょう。

          (1)以上・以下
          その数字ジャストを含む場合に使われます。
          例えば、
          「1,000㎡以上」は、1,000㎡ジャストを含みます。
          また、「2階建て以上」は、「2階建て」を含みます。

          (2)未満・超える
          ジャストの数字を排除したいのであれば、「未満」や「~を超える」を使います。
          例えば、
          「20歳未満」は、20歳ジャストを含みません。
          また、「床面積が500㎡を超える場合」は、500㎡ジャストを含みません。

  2. ロヒモト より:

    いつも本サイトを活用させて頂いております。
    さて、問1に関し、直接問題自体の質問ではなく恐縮ですが、
    このように、売買を代理する宅建業者CがAとBとの間に入る場合、Aに対しては8種制限は適用されるのでしたでしょうか?
    お手すきのときにでもお教え頂けると幸いです。

    1. 家坂 圭一 より:

      ロヒモト様

      ご質問ありがとうございます。

      売買を代理する宅建業者CがAとBとの間に入る場合、Aに対しては8種制限は適用されるのでしたでしょうか?

      「売主が宅建業者」で「買主が宅建業者以外」というケースですから、8種制限が適用されます。
      他の宅建業者が代理や媒介で関与したとしても、このことに違いはありません。

      そうでないとすると、
      他の宅建業者を絡ませてさえおけば、簡単に8種制限を免れることができます。
      このような抜け道は、認められません。

      1. ロヒモト より:

        家坂様

        =======================================================
        そうでないとすると、
        他の宅建業者を絡ませてさえおけば、簡単に8種制限を免れることができます。
        このような抜け道は、認められません。
        =======================================================

        こちらのご説明で大変理解が深まりました。
        お忙しいところご回答いただき誠にありがとうございます。
        引き続きよろしくお願い申し上げます。

        1. 家坂 圭一 より:

          疑問を解消することができたようで幸いです。
          引き続き頑張っていきましょう!

  3. 宅建絶対合格します! より:

    問い三番の所で引き渡しから2年以上じゃないのですか?

    1. 家坂 圭一 より:

      宅建絶対合格します!様

      御質問ありがとうございます。
      問題文・解説にある通りで、「不適合について買主が売主に通知するまでの期間引渡しから2年以上とする特約」は、有効です。

  4. おっとっと より:

    家坂様

    本問の1に関してですが
    仮に宅地建物取引業者A社が宅地建物取引業者でない買主Bの代理人の宅地建物取引業者のC社と取引を行う場合はクーリングオフなどの8種規制は適用されるのでしょうか?

    1. 家坂 圭一 より:

      おっとっと様

      講師の家坂です。
      御質問ありがとうございます。

      8つの規制の適用除外について定めた宅建業法78条2項には、
      「宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。」
      あります。
      ここでいう「宅地建物取引業者相互間の取引」とは、「売主が宅建業者で、買主も宅建業者」という場合に限られると考えます。
      逆にいえば、「買主が宅建業者以外」の場合には、8つの規制が適用されます。これは、買主に代理人の宅建業者がいる場合でも異なりません。

      以上より、御質問の場合の買主B(宅建業者ではない)には、8つの規制が適用されます。例えば、クーリング・オフによる解除を主張することが可能です。

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