【宅建過去問】(平成25年問06)弁済による代位
解説動画を視聴する方法 | 受講料 | |
---|---|---|
1 | eラーニング講座[Step.3]過去問演習編を受講する。 | 980円/回 |
2 | YouTubeメンバーシップに登録する。 | 1,790円/月~ |
- CがA銀行に対して債権全額について保証債務を履行した場合、Cは、D及びEの各不動産に対する抵当権を実行して1,500万円を回収することができる。
- A銀行がDの不動産の抵当権を実行して債権全額を回収した場合、DはCに対して、1,000万円を限度として求償することができる。
- 第三者がDの所有する担保不動産を買い受けた後、CがA銀行に対して債権全額を弁済した場合、Cは、当該第三者に対してA銀行に代位することができない。
- Eの担保不動産を買い受けた第三者がA銀行に対して債権全額を弁済した場合、当該第三者は、Cに対して、弁済した額の一部を求償することができる。
正解:4
登場人物の整理
1 誤り
連帯保証人Cは、債権全額について保証債務を履行しています。この保証債務の履行は、「弁済」と同じ意味を持ちます。したがって、Cは、債権者であるA銀行に代位します(民法499条)。すなわち、Cは、Aに代位して、AのD・Eに対する抵当権を行使することができます。
保証人は、物上保証人に対し、頭数に応じて、債権者に代位します(同法501条3項4号本文)。
本問では、保証人が1人(C)、物上保証人が2人(D・E)の合計3人の代位権者が存在します。債権全額の1,500万円を頭数で割り算すると、
1,500万円÷3人=500万円/人。
したがって、CがD・Eに代位できる額は、
1,500万円-500万円=1,000万円
です。
本肢は、「1,500万円を回収」とする点が誤っています。
2 誤り
A銀行が物上保証人Dの不動産の抵当権を実行して債権全額を回収しました。この抵当権の実行は、「弁済」と同じ意味を持ちます。したがって、Dは、A銀行に代位します(民法499条)。すなわち、Dは、Aに代位して、Cに保証債務の履行を迫り、また、Eに対する抵当権を行使することができるわけです。
物上保証人Dが、連帯保証人Cに代位する場合、その代位割合は頭数割によります(同法501条3項4号本文)。具体的には、Cの負担部分である500万円の範囲で、Dは、Cに求償することができます。
本肢は、「1,000万円を限度として求償」とする点が誤っています。
3 誤り
連帯保証人Cは、主たる債務者Bに代わってBの債務を弁済する正当な利益を有しています(民法474条2項)。そして、実際に債務全額を弁済しています。したがって、Cは、A銀行に代位します(民法499条)。すなわち、Cは、Aに代位して、AのD・Eに対する抵当権を行使することができます。
物上保証人D所有の担保不動産は、Dから第三者(Fと名付ける)に譲渡されています。このFは、物上保証人とみなされます(同法501条3項5号)。そして、保証人は、物上保証人に対し、頭数に応じて、債権者に代位します(同項4号本文)。
したがって、Cは、F・Eに頭数割で代位することができます。その限度額は、FとEとを合わせて1,000万円です。
4 正しい
物上保証人Eから担保不動産を買い受けた第三者(Gと名付ける)は、物上保証人とみなします(民法501条3項5号)。
物上保証人Gは、主たる債務者Bに代わってBの債務を弁済する正当な利益を有しています(同法474条2項)。そして、実際に債務全額を弁済しています。したがって、Gは、A銀行に代位します(同法499条)。すなわち、Gは、Aに代位して、Cに保証債務の履行を迫り、また、Dに対する抵当権を行使することができるわけです。
物上保証人Gが、連帯保証人Cに代位する場合、その代位割合は頭数割によります(同法501条3項4号本文)。具体的には、Cの負担部分である500万円の範囲で、Gは、Cに求償することができます。
令和6年 宅建解答速報・解説
現在は、解説動画の収録・編集と解説文の執筆が進行中です。
これらを収めた【無料公開講座】も開講中。本試験の振り返りのため、気軽に受講しましょう。
肢1の解説部分で質問です。
したがって、BがD・Eに代位できる額は、
1,500万円-500万円=1,000万円
の部分ですが、Bが出来る代位は何に当たるのでしょうか?
また、Cが全額払ったことについてを
「CがD・Eに代位して1,000万円払った」という書き方は、表現の仕方が違いますか?
連帯債務の辺りが自信なく、さらにわからなくなってきてしまいました。
よろしくお願いします。
申し訳ありません。
「BがD・Eに代位できる額」ではなく「CがD・Eに代位できる額」の誤りです。
先ほど、解説文を訂正しました。ご指摘いただき、ありがとうございました。
なお、解説動画では、正しく「CがDとEに」と説明しています。
こちらについては、ご安心ください。
回答ありがとうございました。
誤りという言うことにも気が付かず情けないです。
引き続き頑張ります。
とんでもないです。
解説の不備でご不便をお掛けして申し訳ありません。
これに懲りず、引き続き当社の教材をご利用いただければ幸いです。
引き続きよろしくお願いします。
こんにちは
肢1について、「CがA銀行に対して債権全額について保証債務を履行した場合」とあります。
これは、「債務の全額を弁済した=抵当権もその瞬間に消滅する」という意味にはならないのでしょうか?
関根様
ご質問ありがとうございます。
「主たる債務者であるBが債権全額を弁済した。」というケースであれば、「抵当権もその瞬間に消滅」します。
これは、抵当権の持つ付従性という性質によるものです。
しかし、肢1は、「(連帯保証人である)CがA銀行に対して債権全額について保証債務を履行した場合」に関するものです。
保証債務の履行により、Cは、Bに対する求償権を獲得しています。
そして、物上保証人D及びEの負担する抵当権は、Cの求償権の効力を確保するために存続することになります。
家坂先生
お世話になっております。
ご解説ありがとうございました!
関係性がとてもクリアになりました。
返信ありがとうございます。
「弁済による代位」は、宅建試験では重要な論点ではありません。
この問題以外に出題されたのは、平成11年以前に6回(選択肢単位)にとどまります。また、それらの出題も、「代位することができるか。」「債権者の承諾が必要か。」という簡単なレベルです。
この問題だけが異常に複雑なのです。これに囚われないようにしましょう。
宅建過去問平成6年問5の選択肢4とこの問題の選択肢4との違いが分かりません。
平成6年の問題では債権者に弁済した第三者は連帯保証人に代位できないと解説してますが、今回の問題は連帯保証人に代位できると解説されているので困惑しております。
お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。
伊藤様
ご質問ありがとうございます。
(1)平成06年問05肢4のDは、「第三取得者」です。
これに対して、(2)平成25年問06肢4のEは、「物上保証人」です。
この違いにより、代位ができない・できるの差が生じています。
以下で、もう少し詳しく説明します。
(1)平成06年問05肢4
Dは、第三取得者(債務者であるAから担保の目的物を譲り受けた者)です。
第三取得者は、保証人Cに対して、債権者に代位することができません(民法501条3項1号)。
(2)平成25年問06肢4
第三者(図中のG)は、物上保証人Eから担保の目的物を譲り受けています。このGは、物上保証人とみなされます(同項5号)。
物上保証人は、保証人に代位することができます。
代位したときは債務者に対してしか対抗戦できないのではないでしょうか?この場合物上保証人も債務者になるのですが?
また代位分野と保証の分野がこんがらがってしまって保証の単元だと分別の利益がないから求償できないなど全く別に代位の分野と保証の分野を別に考えてもいいのでしょうか?
わたわま様
御質問ありがとうございます。
申し訳ないのですが、御質問の趣旨が分かりません。詳しく御説明いただけませんでしょうか?
[Q1]これは選択肢のどれに対する御質問でしょうか?
[Q2]「代位したとき」というのは、誰が誰に代位したときのことでしょうか?
[Q3]「対抗できない」とありますが、「何を」対抗するのでしょうか?
(問題文中に「対抗」という言葉は存在しません。)
本問に出てくる保証人はC1人です。「分別の利益」とは関係がないように思います。