【宅建過去問】(平成25年問19)宅地造成等規制法

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宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

  1. 宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さ4mの擁壁の設置に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
  2. 宅地造成工事規制区域内において行われる切土であって、当該切土をする土地の面積が600㎡で、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。
  3. 宅地造成工事規制区域内において行われる盛土であって、当該盛土をする土地の面積が300㎡で、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。
  4. 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その宅地の所有者、管理者、占有者、造成主又は工事施行者に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。

正解:1

1 誤り

有資格者による設計が必要になるのは、以下のケースです(宅地造成等規制法9条2項、令16条)。
本肢で設置するのは「高さ4mの擁壁」ですから、有資格者に設計させる必要はありません。

■参照項目&類似過去問
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工事の技術的基準(有資格者による設計)(宅造法[02]2(2)②)
年-問-肢内容正誤
1R03s-19-3宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さ5mを超える擁壁に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
2R02s-19-2宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さが5mを超える擁壁の設置に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
3H28-20-2宅地造成工事規制区域内において、切土又は盛土をする土地の面積が600㎡である場合、その土地における排水施設は、政令で定める資格を有する者によって設計される必要はない。
4H25-19-1宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さ4mの擁壁の設置に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。×
5H06-25-2宅地造成工事規制区域内で宅地造成を行う場合において、高さ3mの擁壁の設置をするときは、一定の資格を有する者の設計によらなければならない。×

2 正しい

知事の許可を要する宅地造成工事は、以下の規模のものに限られます(宅地造成等規制法2条2号、令3条)。

本肢の切土は、「高さ1.5mの崖を生ずる」というのですから、1に該当しません。しかし、「切土をする土地の面積が600㎡」ですから、4に該当します。したがって、本肢の切土は、「宅地造成」です。この工事を行うに当たり、知事の許可を受けなければなりません。

■参照項目&類似過去問
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切土(宅造法[01]2(2)③)
年-問-肢内容正誤
1R04-19-2宅地造成工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、造成主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2R03-19-1宅地造成工事規制区域内において、宅地を造成するために切土をする土地の面積が500㎡であって盛土を生じない場合、切土をした部分に生じる崖の高さが1.5mであれば、都道府県知事の法第8条第1項本文の工事の許可は不要である。
3H30-20-4宅地造成工事規制区域内において、切土であって、当該切土をする土地の面積が400㎡で、かつ、高さ1mの崖を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。×
4H27-19-4宅地造成工事規制区域内において、宅地を造成するために切土をする土地の面積が500㎡であって盛土が生じない場合、切土をした部分に生じる崖の高さが1.5mであれば、都道府県知事の許可は必要ない。
5H25-19-2宅地造成工事規制区域内において行われる切土であって、当該切土をする土地の面積が600㎡で、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。
6H21-20-2宅地造成工事規制区域内において、切土であって、当該切土をする土地の面積が400㎡で、かつ、高さ1mの崖を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。×
7H20-22-1宅地造成工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mのがけを生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、造成主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。
8H16-23-3宅地以外の土地を宅地にするための切土であって、当該切土を行う土地の面積が400㎡であり、かつ、高さが1mのがけを生ずることとなる土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。
9
H15-24-2宅地造成工事規制区域内の宅地において行われる切土による土地の形質の変更に関する工事で、当該宅地に高さ1.5mの崖が生じ、かつ、その面積が600㎡のときには、造成主は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならない。

3 正しい

(肢2参照。)
本肢の「盛土で1.5mの崖、面積300㎡」というケースは、2.に当てはまります(4.には該当しない)。したがって、宅地造成工事には、知事の許可が要求されます。

■参照項目&類似過去問
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盛土(宅造法[01]2(2)③)
年-問-肢内容正誤
1H25-19-3宅地造成工事規制区域内において行われる盛土であって、当該盛土をする土地の面積が300㎡で、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。
2H16-23-4宅地以外の土地を宅地にするための盛土であって、当該盛土を行う土地の面積が1,000㎡であり、かつ、高さが80cmのがけを生ずることとなる土地の形質の変更は、宅地造成に該当する。
3H09-20-2宅地造成工事規制区域内の宅地において、500㎡を超える面積について盛土に関する工事をする場合でも、当該宅地を引き続き宅地として利用するときは、都道府県知事の許可を受ける必要はない。×
4H06-25-1宅地造成工事規制区域内の農地に盛土をして高さ2mのがけを生じる場合、引き続き農地として利用するときは、都道府県知事の許可を受ける必要はないが、宅地に転用するときは、その旨届け出なければならない。×
5H02-25-2宅地造成等規制法にいう宅地造成には、宅地において行う盛土で、盛土をする土地の面積が500㎡を超えるものが含まれる。

4 正しい

宅地造成に伴う災害防止のため必要がある場合、知事は、宅地の所有者、管理者、占有者、造成主又は工事施行者に対して、擁壁等の設置や改造など宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置を勧告することができます(宅地造成等規制法16条2項)。

■参照項目&類似過去問
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勧告(宅造法[02]4(2)①)
年-問-肢内容正誤
1H27-19-1都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害を防止するために必要があると認める場合には、その宅地の所有者に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。
2H25-19-4都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その宅地の所有者、管理者、占有者、造成主又は工事施行者に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。
3H18-23-4都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、宅地の所有者に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。
4H06-25-4宅地造成工事規制区域内の宅地を購入した者は、宅地造成に伴う災害の防止のため、都道府県知事から、必要な措置をとるよう勧告を受けることがあるほか、擁壁の改善等の工事を行うことを命ぜられることがある。
5H02-25-4都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害の防止のため必要があると認めるときは、その宅地の占有者に対し、災害防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。

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【宅建過去問】(平成25年問19)宅地造成等規制法” に対して2件のコメントがあります。

  1. S.N より:

    選択肢4についての質問です。

    先日某予備校で受験した模試で下記の問題が出ました。
    「都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、災害の防止のため必要があると認める場合は、当該造成宅地の工事施工者に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。」
    答えは×で、理由は「工事施工者は勧告の対象者ではない」からとのこと。

    普段利用している参考書でも工事施工者は勧告対象であると記載されているのですが、
    どうなのでしょうか?

    お手数ですが、ご教授頂ければ幸いです。

    1. 家坂 圭一 より:

      S.N様

      講師の家坂です。
      御質問ありがとうございます。

      さて、御質問の件ですが、残念ながら、ヒッカケ問題にハマってしまったようですね。

      【1】平成25年問19肢4(このページ)
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      この問題は、「宅地造成工事規制区域内の宅地」に関するものです。
      「宅地造成工事規制区域内の宅地」について、知事は、「その宅地の所有者、管理者、占有者、造成主又は工事施行者」に対し、災害防止措置を勧告することができます(宅地造成等規制法16条2項)。

      宅地造成工事規制区域においては、宅地造成工事について許可制がとられています。そして、許可を受けて工事を行う造成主や工事施行者に対しても、災害の防止に配慮させる必要があります。

      同様の出題として、平成27年問19肢1があります(「所有者」に関するもの)。
      https://e-takken.tv/27-19/

      【2】受験された模擬試験の問題
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      この問題は、「造成宅地防災区域内の造成宅地」に関するものです。
      そして、「造成宅地防災区域内の造成宅地」について、知事が災害防止措置を勧告できるのは、「造成宅地の所有者、管理者又は占有者」に限られます(同法21条2項)。造成主や工事施行者は、含まれていません。したがって、某模試の選択肢は、「誤り」ということになります。

      造成宅地防災区域というのは、すでに造成済みの宅地について指定されます。造成工事が行われたのは過去の話ですから、造成主や工事施行者は、勧告の対象にならないのです。

      つまり、「造成宅地防止区域には、そもそも造成主や工事施工者が存在しない」から、「勧告の対象になっていない」わけです。そういう意味では、単純ではあるものの、細かいヒッカケだと思います。

      【3】過去問分析と出題予想
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      過去の出題の中で、
      「造成宅地防災区域において、造成主や工事施工者が勧告の対象者に含まれるか?」
      をテーマにしたものは、ありません。

      (1)例えば、平成20年問22肢4では、「所有者のみならず、管理者や占有者」が対象になるか、をきいています。
      https://e-takken.tv/20-22/
      (2)また、平成19年問23肢4では、「造成宅地の所有者等」についてきいていますが、「所有者等」とは、「所有者、管理者又は占有者」のことをいいます。
      https://e-takken.tv/19-23/

      このように、過去の出題には、「工事施行者」を論点にしたものはありません。
      某予備校さんの出題予想なのでしょうか。

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