令和4年「宅建」法改正点情報

今年は早い時期に法改正点が見えていたので、「令和4年受験用」教材・講義の制作時に全ての法改正について対応を完了しています。
この教材を利用していただければ、法改正点対応も十分です!
しかし、直前になって質問が増えています。
そこで、改正点のみを抜き出して、改めてまとめておくことにしました。

文章中の青い文字は「今年から出題される改正点」を意味します。
一方、赤い文字は「今年は出ません」「改正前の旧ルールです」など出たらむしろヒッカケになる知識です(混乱するので、あまり触れないようにしています)。

各項目に付けた「講義編(無料版)」や「eラーニング講座 [Step.1]基本習得編(受講生限定)」をクリックすれば、より詳細な情報にリンクしています。
eラーニング講座 [Step.1]基本習得編(受講生限定)」は、講義動画に直接リンクしていますので、とても便利です(eラーニング講座にログインした上で、リンクをクリックしてください)。

1.令和4年宅建本試験の法令基準日

令和4年宅建試験に出題される法令の基準日は「令和4年4月1日」です。
本試験が実施される「令和4年10月16日」ではありません。

そのため、現実世界では既に法令が改正されていたとしても、その施行日が「令和4年4月2日」以降である場合、今年の本試験の出題対象にはなりません。
今年の場合、この基準日に重大な注意が必要です。
具体的には、宅建業法(問26~44)と景品表示法(問47)に影響します。

2.具体的な改正点

A.民法[01]制限行為能力者

成人年齢18歳に変わりました。また、婚姻できる年齢(婚姻適齢)も、男女ともに18歳になりました。
この結果、「婚姻している未成年者」について、考える必要がなくなったわけです(去年までは混乱する人も多かった論点)。
これはラッキー。スッキリしました。
具体的には、宅建業法の以下の論点に影響します。

論点 講義編(無料版) eラーニング講座
[Step.1]基本習得編
未成年者が宅建業者の免許を受けることができるか。 ■宅建業法[03]免許の基準(欠格要件)
2.欠格要件のチェック範囲
(4).未成年者のケース
■宅建業法[03]免許の基準(欠格要件)
2.欠格要件のチェック範囲
(4).未成年者のケース
未成年者が宅建士の登録を受けることができるか。 ■宅建業法[05]宅地建物取引士
4.登録の欠格要件
(2).未成年者
■宅建業法[05]宅地建物取引士
4.登録の欠格要件
(2).未成年者
未成年者が専任宅建士になることができるか。 ■宅建業法[08]業務場所ごとの規制
1.専任宅建士の設置義務
(1).成年者である専任宅建士
■宅建業法[08]業務場所ごとの規制
1.専任宅建士の設置義務
(1).成年者である専任宅建士

B.税・鑑定[04] 登録免許税

「4(2).住宅用家屋の軽減税率」の適用要件が変わりました。

一定の耐震基準(新耐震基準)をみたしていることが要件となったのです(表の4)。
また、登記簿上の建築日付が昭和57年以降であれば、新耐震基準をみたしているものとみなされます。

この改正により、「×築年数」や「×耐火建築物かどうか」は、問われないことになりました。

C.税・鑑定[06] 所得税

「7.住宅ローン控除」について多くの改正がありました。

(1).仕組み

「住宅ローン控除」というのは、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、借入金の年末残高(上限あり)のうち一定割合(控除率)を、入居年から一定期間(控除期間)に渡って、所得税から控除するという制度です。


この表について、過去問では、「控除率」と「控除期間」が問われています。改正点でもあるので、しっかり覚えておきましょう。

(2).適用要件

適用要件にも改正がありました。
①対象者、②住宅、の2面から整理しておきましょう。

①対象者
  1. 年間所得が2,000万円以下
  2. 償還期間10年以上のローン
②住宅

要件3が今年の改正点。「登録免許税の軽減措置」で勉強したのと同じ改正です。

D.税・鑑定[07] 贈与税

「1.相続時精算課税制度」と「2.住宅取得等資金の贈与税の非課税」の両方に改正がありました。

1.相続時精算課税制度

(3)適用要件に改正がありました。

①贈与者・受贈者

成人年齢の改正に合わせて、受贈者の要件が「18歳以上」に変わりました。

②住宅

要件3が今年の改正点。「登録免許税の軽減措置」や「所得税の住宅ローン控除」で勉強したのと同じ改正です。

※相続時精算課税制度は、課税のタイミングを贈与時又は相続時のどちらかから選べる、という制度です。「住宅取得等資金の贈与税の非課税」と違って、税金が免除されるわけではありません。そのため、×年収要件は問われないわけです。両者を比較し、正確に覚えておきましょう。

2.住宅取得等資金の贈与税の非課税

住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定範囲で非課税になるという制度です。
(2)適用要件に改正がありました。

①贈与者・受贈者

成人年齢の改正に合わせて、受贈者の要件が「18歳以上」に変わりました。
また、年間所得が2,000万円以下でないと、非課税の恩恵を受けることができません。

②住宅

要件3が今年の改正点。「登録免許税の軽減措置」、「所得税の住宅ローン控除」、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」で勉強したのと同じ改正です。

 

E.税法のまとめ

「耐震基準」「床面積」など、似ている要件がアチコチで出現しました。混乱しますね。
ここで一覧にまとめておきましょう。

耐震基準」は、4つの制度に共通です。バラバラに覚える必要はありません。

所得要件」は、所得税が「控除」されたり(住宅ローン控除)、贈与税が「非課税」になる場合(住宅取得等資金の非課税)にのみ要求されます。2,000万円を超える年収がある人に、さらに税に関する優遇を与える必要はない、と考えられているのでしょう。
「年間所得1,000万円以下」の場合に、「床面積」の要件が軽減されるのも、この2つの制度です。

3.今年は出題されません。宅建業法の押印廃止・ペーパーレス化

宅建業者で働いているかたを混乱させているのがこの点です。
宅建士の押印を廃止したり、書面に代えて電磁的記録の提供を認める宅建業法は、令和4年5月18日に施行されました。
出題の基準日である令和4年4月1日時点では、宅建業法は改正されていないのです。

そのため、令和4年の本試験では、

  1. 34条の2書面(媒介契約書)には、宅建業者の記名押印が必要です。
  2. 35条書面(重要事項説明書)・37条書面(契約書面)には、宅建士の記名押印が必要です。
  3. 3大書面のいずれも、書面(ペーパー)で交付する必要があります。

本試験の時間中だけでも構いません。
最新の宅建業法知識を忘れて、「記名と押印、書面で交付」の念仏を唱え続けてください。

これも一覧にまとめておきましょう。
(いちばん右の列については、次の項目で説明します。)

4.落とし穴!先に押印廃止・ペーパーレス化されたもの

宅建業法の三大書面は「記名と押印」「書面で交付」で済みます。
しかし、何とも複雑なことに、先に押印の廃止やペーパーレス化が進んでいている分野もあるのです。
具体的には、住宅瑕疵担保履行法区分所有法に注意してください。

A.宅建業法[23]住宅瑕疵担保履行法

「3(4).供託所の所在地等に関する説明」と「5.免許権者への届出」に改正がありました。

3(4).供託所の所在地等に関する説明

自ら売主となって新築住宅を販売する宅建業者が、資力確保措置として「供託」の方法を利用する場合、「供託所の所在地等に関する説明」をしなければなりません。
これについては、

  1. もともと記名や押印の義務がなく
  2. さらに、改正によりペーパーレス処理(電磁的記録による提供)が可能になりました。

三大書面の表に、この「供託所の所在地等に関する説明」を加えると、以下のようになります。大きく分けて3つの違いがありますので、しっかり区別・記憶しておきましょう。

5.免許権者への届出

「基準日が年1回3月31日だけになった。」を強調している書籍等も多いようです。
しかし、もともと、「基準日が年何回あるか?」や「それは何月何日か?」が問われたことはありません。さほど重要な改正ではないように思います。
それよりも、従来通り、以下の2点をしっかり押さえておくべきでしょう。

  1. 免許権者への届出がいつまでに必要か(期限
  2. 期限内に届出をしないとどうなるか(制裁

重要論点なので、表と図の両方でまとめておきます。好きなほうを使って覚えてください。

B.区分所有法[04]集会

「2(2).集会の議事録」について改正がありました。

議事録を書面で作成した場合、議長と集会に出席した区分所有者の2人が署名する必要があります。署名さえすれば、×押印する必要はありません。

5.今年は出題されません。景品表示法の新ルール

景品表示法に基づく不動産業界の自主規制ルールである以下の2つが改正されました。

  1. 不動産の表示に関する公正競争規約
  2. 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則

しかし、改正ルールの施行日は「令和4年9月1日」でした。
令和4年試験の出題基準日である「令和4年4月1日」時点で施行されていなかったので、今年の本試験では、去年のままのルールで出題されます。

実務で「広告」に携わっている人は、何とかアタマを切り替えましょう。
(「5問免除を持っているから関係ないよ。」という人が多いでしょうが。)

6.まとめ

以上が令和4年の法改正点です。
しっかり押さえておくと、選択肢3~4個に対応できるのではないでしょうか。
また、講義編やeラーニング講座へのリンクを活用すれば、今まであいまいだった知識を正確に固めるためにも役立つはずです。

今年の場合、「出題される改正点」と「実務では改正済みだが本試験では出題されない点」を区別するのがポイントです。
正確に区別して、混乱せず、効率よく点数を稼ぎましょう。

宅建試験は、本試験の前日、いや当日まで得点を伸ばすことのできる試験です。
あきらめず、最後の最後まで頑張りましょう。
もちろん、私も、最後の最後まで応援します!

LINEアカウントで質問・相談

家坂講師に気軽に受験相談や質問ができるLINEアカウントを運営しています。
お気軽に「友だち追加」してください。
友だち追加
PCの場合は、「友だち検索」でID"@e-takken"を検索してください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です