■講義編■民法[03]代理制度
「自分の所有する土地の売却権限を他人に与える。」というようなケースが代理制度です。
売主(本人)と買主(相手方)だけでなく、代理人という登場人物が追加されます。そのため、人物関係を図に描いて整理することが必要です。
代理は、代理権が授与された事情によって、法定代理と任意代理に区別されます。また、代理人がさらに代理人を選任するという、復代理が認められる場合もあります。
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Contents
1.代理の仕組み
(1).代理人が存在しない場合
(2).代理人が存在する場合
2.代理権
(1).法定代理と任意代理
(2).代理権の消滅事由
代理権の消滅事由(民法[03]2(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-02-4 | [Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した。]AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。 | ◯ |
2 | 26-02-ウ | 代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。 | ◯ |
3 | 22-02-1 | 本人の死亡につき代理人が善意無過失の場合、代理権は継続。 | × |
4 | 22-02-2 | 代理人死亡の場合、相続人が代理人となる。 | × |
5 | 12-01-4 | 本人が死亡しても代理権は継続。 | × |
6 | 08-02-4 | 代理人が破産手続開始を受けた後に契約締結した場合、相手方が破産手続につき悪意であっても、契約は有効となる。 | × |
7 | 06-04-4 | 代理人の破産後も、相手方が代理権消滅につき善意無過失の場合、契約は有効。 | ◯ |
3.代理行為
(1).顕名
①顕名とは
②顕名がなかった場合
顕名がなかった場合(民法[03]3(1)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 21-02-1 | 代理人が顕名を怠り自らの名を本人として表示した場合、相手方がこのことを知っていても、契約は代理人・相手方間に成立する。 | × |
2 | 17-03-ア | 顕名がなくても、相手方が知っていれば、代理による契約が成立する。 | ◯ |
3 | 13-08-1 | 代理人が顕名せずに契約を締結した場合、相手方が真の売主を知っていても、契約は代理人・相手方間に成立する。 | × |
(2).代理行為の瑕疵
①原則
代理人が基準
(a).代理人の相手方に対する意思表示
- 意思の不存在(心裡留保、虚偽表示)
- 錯誤、詐欺、強迫
- ある事情に関する善意・悪意や過失の有無
(b).相手方の代理人に対する意思表示
- ある事情に関する善意・悪意や過失の有無
②例外
本人が基準
本人が代理人に特定の法律行為を委託した場合
→本人が知っていた事情について、代理人が知らなかったことを主張できない
代理行為の瑕疵(民法[03]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 26-02-エ | 代理人の意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。 | × |
2 | 24-02-2 | 法人が代理人により取引を行った場合、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、代理人を基準に判断される。 | ◯ |
3 | 14-02-1 | Aは、Bに対してCとの間の売買契約を委任したが、Bが、DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合、Bに重過失がなければ、Aは、この契約を取り消すことができる。 | ◯ |
4 | 13-08-2 | 代理人が、買主から虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも、売主本人がその事情を知りつつ代理人に対して買主との契約を委託したものであるときには、売主本人から買主に対する詐欺による取消しはできない。 | ◯ |
5 | 04-02-2 | 未成年者である代理人が、相手方にだまされて契約を締結した場合、詐欺につき善意無過失の本人は、契約を取り消すことができない。 | × |
6 | 03-03-2 | 代理人が相手方にだまされて契約を締結した場合、本人が詐欺の事実を知っていたときは、契約を取り消すことができない。 | ◯ |
7 | 02-05-3 | 相手方が代理人をだまして売買契約を締結させた場合は、代理人は当該売買契約を取り消すことができるが、本人は取り消すことができない。 | × |
代理人による詐欺 | |||
1 | 08-02-3 | 代理人が相手方をだまして契約を締結した場合、本人が詐欺の事実を知っていたと否とにかかわらず、相手方は契約を取り消すことができる。 | ◯ |
(3).代理人の行為能力
①原則
不要。制限行為能力者(⇒[01])でもOK
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由に取消し×
②例外
制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為
→取消し◯
代理人の行為能力(民法[03]3(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-02-2 | [Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した。]AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。 | × |
2 | 26-02-ウ | 代理人は、行為能力者であることを要しない。 | ◯ |
3 | 24-02-1 | 未成年者が代理人となる契約には法定代理人の同意が必要。 | × |
4 | 22-02-3 | 代理人が未成年であることを理由に、相手方から取消しが可能。 | × |
5 | 21-02-2 | 代理人が未成年であることを理由に、本人からの取消しは不可。 | ◯ |
6 | 12-01-1 | 未成年者は代理人になることができない。 | × |
7 | 06-04-1 | 代理人が未成年であることを理由に、本人からの取消しが可能。 | × |
8 | 04-02-1 | 代理人が未成年であることを理由に、本人からの取消しが可能。 | × |
9 | 03-03-1 | 代理人が未成年であり親権者の同意がないことを理由に、本人からの取消しが可能。 | × |
4.復代理
(1).復代理とは
(2).法定代理人の復代理人
①選任できる場合
いつでも◯
②代理人の責任
【原則】
無過失の全責任
【例外】
やむを得ない事由があるとき
→選任・監督責任のみ
(3).任意代理人の復代理人
①選任できる場合
- 本人の許諾を得たとき
- やむを得ない事由があるとき
②代理人の責任
債務不履行責任を負う
★過去の出題例★
復代理(民法[03]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 29-01-2 | 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。 | ◯ |
2 | 29-01-3 | 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。 | × |
3 | 24-02-4 | 法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。 | ◯ |
4 | 21-02-3 | 任意代理人は、自ら選任・監督すれば、本人の意向にかかわらず復代理人を選任できる。 | × |
5 | 19-02-1 | 任意代理人は、やむを得ない事由があれば、本人の許諾を得なくても復代理人を選任できる。 | ◯ |
6 | 19-02-2 | 任意代理人が、復代理人の選任につき本人の許諾を得たときは、選任に過失があったとしても責任を負わない。 | × |
7 | 19-02-4 | 任意代理人が復代理人を適法に選任したときは、復代理人は本人に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、代理人の代理権は消滅する。 | × |
8 | 13-08-4 | 任意代理人は、やむを得ない事情があっても、本人の承諾がなければ、復代理人を選任できない。 | × |
9 | 12-01-2 | 任意代理人は、自己の責任により、自由に復代理人の選任ができる。 | × |
5.自己契約・双方代理の禁止
(1).自己契約
(2).双方代理
(3).取扱い
①原則
無権代理行為(⇒[04])とみなす
②例外
- 本人があらかじめ許諾した行為
- 債務の履行
双方代理(民法[03]5(2)(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-02-2 | AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。BがCの代理人も引き受け、AC双方の代理人として甲土地に係るAC間の売買契約を締結した場合、Aに損害が発生しなければ、Bの代理行為は無権代理とはみなされない。 | × |
2 | 30-02-3 | [Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した。]BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。 | × |
3 | 24-02-3 | 売主・買主の承諾があれば、双方代理は有効。 | ◯ |
4 | 22-02-4 | 売主・買主の承諾があれば、双方代理は有効。 | ◯ |
5 | 21-02-4 | 売主に損失が発生しなければ、売主・買主双方の代理が可能。 | × |
6 | 20-03-2 | 売主から書面で代理権を与えられていれば、売主・買主双方の代理が可能。 | × |
7 | 08-02-1 | 登記申請について、買主の同意があれば、売主の代理人が、売主・買主双方を代理できる。 | ◯ |
8 | 03-03-4 | 本人・相手方の同意があれば、双方代理が可能。 | ◯ |
9 | 02-05-2 | 売主の代理人が売主に隠れて当該土地の売買について買主からも代理権を与えられていた場合は、当該契約は効力を生じない。 | ◯ |
6.代理権の濫用
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合
相手方がその目的について悪意or善意有過失
→無権代理行為(⇒[04])とみなす
★過去の出題例★
代理権の濫用(民法[03]6)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] 甲土地の所有者Aの代理人Bが、買主Cとの間で甲土地の売買契約を締結する。 |
|||
1 | R03s-05-1 | BがAの代理人として第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方Cがその目的を知っていたとしても、BC間の法律行為の効果はAに帰属する。 | × |
2 | R02s-02-1 | Bが自己又は第三者の利益を図る目的で、Aの代理人としてA所有の甲土地をCに売却した場合、Cがその目的を知り、又は知ることができたときは、Bの代理行為は無権代理とみなされる。 | ◯ |
3 | 30-02-1 | Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果は当然にAに帰属する。 | × |
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実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。
解説動画を視聴する方法 | 受講料 | |
---|---|---|
1 | eラーニング講座[Step.2]実戦応用編を受講 | 1,980円~ |
2 | YouTubeメンバーシップ(「スリー・ステップ オールインワン」レベル)に登録 | 3,590円/月 |
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