■講義編■民法[29]委任契約


「所有する土地の売却を依頼する。」というように、法律行為を他人に委託するのが委任契約です。委託する側を委任者、される側を受任者と呼びます。
委任契約では、特約がない限り、受任者は報酬を請求することができません。また、委任契約は、委任者・受任者のどちらからでも、いつでも解除することが可能です。

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1.委任契約とは

(1).委任契約

当事者(委任者)の一方が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、
相手方がこれを承諾する


★過去の出題例★

諾成契約(民法[29]1(1))
年-問-肢内容正誤
114-10-1不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には、委任者は受任者に対して委任状を交付しないと、委任契約は成立しない。×
(2).準委任契約

・法律行為以外を委託するケース
・委任契約の規定を準用

(3).復受任者の選任
①構造

②選任できる場合
  1. 委任者の許諾を得たとき
  2. やむを得ない事由があるとき

2.受任者・委任者の関係

(1).報酬
①原則・例外

②中途で終了した場合

受任者に帰責事由がないのに、履行が中途で終了
→受任者は、既履行割合に応じて報酬請求◯

★過去の出題例★
報酬(民法[29]2(1))

[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢内容正誤
1R02-05-1Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。
2R02-05-3Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。×
3H14-10-2Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。
4H09-09-3Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bの責に帰すべからざる事由により本件管理委託契約が履行の中途で終了したときは、Bは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
5H07-09-1Bは、Aとの間で特約がなくても、Aに対して報酬の請求をすることができる。×
(2).受任者の注意義務

・善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務(善管注意義務)
・有償・無償によらない

★過去の出題例★
受任者の注意義務(民法[29]2(2))

[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢内容正誤
1R02-05-2Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。×
2H20-07-2委託の受任者は、報酬を受けて受任する場合も、報酬で受任する場合も、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。
3H14-10-3Bが当該物件の価格の調査など善良な管理者の注意義務を怠ったため、不動産売買についてAに損害が生じたとしても、報酬の合意をしていない以上、AはBに対して賠償の請求をすることができない。×
4H09-09-1Bが無償で本件管理を受託している場合は、「善良なる管理者の注意」ではなく、「自己の財産におけると同一の注意」をもって事務を処理すれば足りる。×

3.委任契約の解除・終了

(1).委任の解除
①任意解除権

・いつでも理由なしに解除可能

 

②損害賠償
  1. 相手方に不利な時期に解除したとき
  2. 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき

 

③解除の効力

将来に向かってのみ効力発生

★過去の出題例★

解除(民法[29]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R04-09-ア委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。
2H18-09-1委任契約は、委任者又は受任者のいずれからも、いつでもその解除をすることができる。ただし、相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある。
3H14-10-4委任はいつでも解除することができるから、有償の合意があり、売買契約成立寸前に委任者が理由なく解除して受任者に不利益を与えたときでも、受任者は委任者に対して損害賠償を請求することはできない。×
4H09-09-2Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが無償で本件管理を受託している場合は、Bだけでなく、Aも、いつでも本件管理委託契約を解除することができる。
5H02-08-3無償の委任契約においては、各当事者は、いつでも契約を解除することができるが、その解除が相手方のために不利な時期であった場合、その損害を賠償しなければならない。
(2).委任の終了
①終了事由

◯:終了する ×:終了しない

②終了の対抗要件

・相手方に通知したとき
・相手方が知っていたとき

③緊急処分義務

委任終了時に、急迫の事情があるとき、
委任者が委任事務を処理できるようになるまで、
受任者が必要な処分をする義務

★過去の出題例★
委任契約:終了(民法[29]3(2))
年-問-肢内容正誤
1R03-03-アAがBとの間でB所有建物の清掃に関する準委任契約を締結していた場合、Aの相続人は、Bとの間で特段の合意をしなくても、当該準委任契約に基づく清掃業務を行う義務を負う。×
2R02-05-4AとBとの間で締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた。Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。
×
318-09-2委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。
418-09-3委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで、委任事務を処理する義務を負う。×
518-09-4委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。
613-06-1委任契約において、委任者又は受任者が死亡した場合、委任契約は終了する。
709-09-4有償の準委任契約は、受託者の死亡によって終了し、受託者の相続人はその地位を相続しない。
807-09-3委任者が死亡したとき、委託契約は終了するが、急迫の事情がある場合においては、受任者は、その管理業務を行う必要がある。

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実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。

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