【宅建過去問】(令和01年問03)売主の契約不適合担保責任

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事業者ではないAが所有し居住している建物につきAB間で売買契約を締結するに当たり、Aは建物引渡しから3か月に限り当該建物が契約の内容に適合しない場合の担保責任を負う旨の特約を付けたが、売買契約締結時点において当該建物の構造耐力上主要な部分に契約の内容との不適合(以下この問において「本件不適合」という。)が存在しており、Aはそのことを知っていたがBに告げず、Bはそのことを知らなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Bが本件不適合を建物引渡しから1年が経過した時に知ったとしても、本件不適合を知った時から5年以内であれば、BはAに対して担保責任を追及することができる。
  2. 建物の構造耐力上主要な部分の不適合については、契約の目的を達成することができない場合でなければ、Bは本件不適合を理由に売買契約を解除することができない。
  3. Bが本件不適合を理由にAに対して損害賠償請求をすることができるのは、本件不適合を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる。
  4. AB間の売買をBと媒介契約を締結した宅地建物取引業者Cが媒介していた場合には、BはCに対して担保責任を追及することができる。

正解:1

設定の確認

■特約の有効性

宅建業法の問題ではないので、契約不適合担保責任に関する特約について、限界はありません。「一切の担保責任を負わない。」という特約すら可能です。売主が担保責任を負う期間を引渡しから3か月間に限定する本問の特約も、もちろん有効です。

■本件不適合について

売主Aは、不適合を知っていながら、Bには告げていません。一方、買主Bは、不適合を知りません。

1 正しい

契約不適合担保責任を限定する特約をした場合でも、売主は、「知りながら告げなかった事実」についての責任を免れることはできません(民法572条)。この場合、売主は、民法の規定通りの担保責任を負います。
買主が売主の担保責任を追及するためには、原則として、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知する必要があります(同法566条本文)。しかし、本問の売主Aは、本件不適合について知っています。この場合、「1年以内に通知」という期間制限は、適用されません(同条ただし書き)。
したがって、買主Bは、消滅時効が完成するまでの間であれば、Aの担保責任を追及することができます。具体的には、以下の期間です(同法166条1項)。

不適合を知ってから5年以内に責任を追及すれば、主観的基準と客観的基準の両方をみたしていることになります。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
契約不適合担保責任:知っているのに告げなかった事実(民法[24]3(5)②)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した。甲土地には、品質に関して契約の内容に適合しない箇所(本件不適合)があった。
1R01-03-1Aは甲土地引渡しから3か月に限り担保責任を負う旨の特約を付けたが、売買契約締結時点において本件不適合が存在しており、Aはそのことを知っていたがBに告げず、Bはそのことを知らなかった。Bが本件不適合を建物引渡しから1年が経過した時に知ったとしても、本件不適合を知った時から2年後にその旨をAに通知すれば、BはAに対して担保責任を追及することができる。
220-09-4売買契約で、甲土地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、Aは甲土地の引渡しの日から2年以内にその不適合についてBから通知を受けた場合に限って担保責任を負う旨を合意したとしても、Aがその不適合を知っていたのにBに告げなかったときは、担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消減するまで、Bは当該損害賠償を請求できる。
319-11-1売買契約に、不動産が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であってもAがその不適合を担保すべき責任を全部免責する旨の特約が規定されていても、Aがその不適合を知りながらBに告げなかったときは、Aは担保責任を負わなければならない。
契約不適合担保責任:担保責任の期間の制限(民法[24]3(4))
年-問-肢内容正誤
1R03s-04-4売主Aと買主Bとの間で締結した売買契約に関し、目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。
2R02s-07-1Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結された。甲土地の実際の面積が本件契約の売買代金の基礎とした面積より少なかった場合、Bはそのことを知った時から2年以内にその旨をAに通知しなければ、代金の減額を請求することができない。×
[共通の設定]
Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約を締結した。甲建物には、品質に関して契約の内容に適合しない箇所(本件不適合)があった。
3R01-03-1Aは本件不適合を知っていたがBに告げず、Bはそのことを知らなかった。Bが本件不適合を建物引渡しから1年が経過した時に知ったとしても、本件不適合を知った時から2年後にその旨をAに通知すれば、BはAに対して担保責任を追及することができる。
420-09-3甲建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に、BがAの担保責任を追及するときには、Bは、その不適合を知った時から1年以内にその不適合をAに通知すればよく、1年以内に担保責任を追及するまでの必要はない。
519-11-4売買契約に、目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を追及できる期間について特約を設けていない場合、BがAの担保責任を追及するときは、その不適合を知った時から1年以内に当該不適合についてAに通知しなければならない。
615-10-3Bが、本件不適合の存在を知らないまま契約を締結した場合、契約締結から1年以内に担保責任の追及を行わなければ、BはAに対して担保責任を追及することができなくなる。
×
714-09-3Bが、Aに対し、本件不適合に基づき行使できる権利を行使するためには、Bが欠陥を知った時から1年以内にその旨をAに通知しなければならない。
消滅時効との関係
826-03-3売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の買主の売主に対する担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。

2 誤り

契約不適合を理由に売買契約を解除することができるのは、「契約をした目的を達成することができないとき」に限られません(民法564条、541条)。

※令和2年の民法改正により大きく変わった点です。注意しましょう。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
契約不適合担保責任:契約解除(民法[24]3(1)②)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約を締結した。甲建物には、品質に関して契約の内容に適合しない箇所(本件不適合)があった。
1R03-07-3Bが引渡しを受けた甲建物に契約の内容に適合しない欠陥があることが判明したときは、修理が可能か否かにかかわらず、BはAに対して、修理を請求することなく、本件契約の解除をすることができる。×
2R01-03-2建物の構造耐力上主要な部分の不適合については、契約の目的を達成することができない場合でなければ、Bは本件不適合を理由に売買契約を解除することができない。×
3R01-03-3Bが本件不適合を理由にAに対して損害賠償請求をすることができるのは、本件不適合を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる。×
419-11-2Bが本件不適合を知った場合でも、その不適合により売買契約をした目的を達成することができないとまではいえないときは、Aはその不適合を担保すべき責任を負わない。×
515-10-2Bが、本件不適合を知らないまま契約を締結した場合、この欠陥が存在するために契約を行った目的を達成することができるか否かにかかわらず、Bは、Aの担保責任を追及して契約の解除を行うことができる。
614-09-2Bは、本件不適合がこの売買契約及び取引上の社会通念に照らして軽微である場合は、この売買契約を解除できないが、この欠陥により受けた損害につき、Aに対し賠償請求できる。
714-09-4Bは、本件不適合が存在するために、この売買契約を締結した目的を達することができるか否かにかかわらず、この売買契約を解除できる。
808-08-4売買契約の目的物である土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあったため、買主がそのことを知らなかった場合は、このため契約の目的を達することができるか否かにかかわらず、買主は、売主に対して契約を解除することができる。
904-08-1購入した建物の引渡し後に欠陥が発見された場合、その欠陥が軽微であり居住の用に支障がなくても、買主は、当該契約を解除することができる。×
1003-11-3売買の目的物に物理的な欠陥があり、契約目的を達成できない場合、買主の善意悪意に関係なく、契約を解除することができる。×
1101-04-2売買の目的物である土地に欠陥があって、買主がそのことを知らなかったときは、買主は、その事実を知ったとき、欠陥の程度に関係なく、契約を解除することができる。×

3 誤り

売買契約を解除することができる場合であっても、それに加えて損害賠償を請求することも可能です(民法541条、415条)。損害賠償を請求することができるのは、「不適合を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる」わけではありません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
契約不適合担保責任:損害賠償請求(民法[24]3(1)②)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約を締結した。甲建物には、品質に関して契約の内容に適合しない箇所(本件不適合)があった。
1R01-03-3Bが本件不適合を理由にAに対して損害賠償請求をすることができるのは、本件不適合を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる。×
契約不適合担保責任:契約解除(民法[24]3(1)②)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約を締結した。甲建物には、品質に関して契約の内容に適合しない箇所(本件不適合)があった。
1R03-07-3Bが引渡しを受けた甲建物に契約の内容に適合しない欠陥があることが判明したときは、修理が可能か否かにかかわらず、BはAに対して、修理を請求することなく、本件契約の解除をすることができる。×
2R01-03-2建物の構造耐力上主要な部分の不適合については、契約の目的を達成することができない場合でなければ、Bは本件不適合を理由に売買契約を解除することができない。×
3R01-03-3Bが本件不適合を理由にAに対して損害賠償請求をすることができるのは、本件不適合を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる。×
419-11-2Bが本件不適合を知った場合でも、その不適合により売買契約をした目的を達成することができないとまではいえないときは、Aはその不適合を担保すべき責任を負わない。×
515-10-2Bが、本件不適合を知らないまま契約を締結した場合、この欠陥が存在するために契約を行った目的を達成することができるか否かにかかわらず、Bは、Aの担保責任を追及して契約の解除を行うことができる。
614-09-2Bは、本件不適合がこの売買契約及び取引上の社会通念に照らして軽微である場合は、この売買契約を解除できないが、この欠陥により受けた損害につき、Aに対し賠償請求できる。
714-09-4Bは、本件不適合が存在するために、この売買契約を締結した目的を達することができるか否かにかかわらず、この売買契約を解除できる。
808-08-4売買契約の目的物である土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあったため、買主がそのことを知らなかった場合は、このため契約の目的を達することができるか否かにかかわらず、買主は、売主に対して契約を解除することができる。
904-08-1購入した建物の引渡し後に欠陥が発見された場合、その欠陥が軽微であり居住の用に支障がなくても、買主は、当該契約を解除することができる。×
1003-11-3売買の目的物に物理的な欠陥があり、契約目的を達成できない場合、買主の善意悪意に関係なく、契約を解除することができる。×
1101-04-2売買の目的物である土地に欠陥があって、買主がそのことを知らなかったときは、買主は、その事実を知ったとき、欠陥の程度に関係なく、契約を解除することができる。×

4 誤り

契約不適合担保責任を負うのは、あくまで売主です(民法570条本文、566条1項)。宅建業者が契約を媒介した場合であっても、その宅建業者に対して担保責任を追及することはできません。

■参照項目&類似過去問
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契約不適合担保責任:追及の相手方(民法[24]3(1)①)
年-問-肢内容正誤
1R01-03-4Aを売主、Bを買主とする建物の売買契約をBと媒介契約を締結した宅地建物取引業者Cが媒介していた場合、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときには、BはCに対して担保責任を追及することができる。
×
229-05-2Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の媒介を依頼し、報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。当該白動車が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合には、CはAに対しても、Bに対しても、担保責任を追及することができる。
×
315-10-4土地付中古建物の売買契約が、宅建業者の媒介により契約締結に至ったものである場合、売主に対して担保責任が追及できるのであれば、買主は宅建業者に対しても担保責任を追及できる。×

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