【宅建過去問】(令和01年問30)広告に関する規制
宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア 建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。
イ 一団の宅地の売買について、数回に分けて広告する際に、最初に行った広告以外には取引態様の別を明示しなかった。
ウ 建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。
エ 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
正解:4
ア 誤り
宅地造成や建物建築に関する工事の完了前においては、開発許可や建築確認など必要な処分を受けた後でなければ、宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をすることができません(宅建業法33条)。
「その他の業務に関する広告」を含んでいますから、貸借の代理や媒介に関する広告をすることもできません。
※契約開始時期の制限(同法36条)に関しては、工事完了の前であっても、賃借の代理や媒介が可能とされています。比較して覚えましょう。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R01-30-ア | 建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。 | × |
2 | R01-30-エ | 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。 | × |
3 | 30-26-3 | 建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。 | × |
4 | 28-32-1 | 宅地の造成に当たり、工事に必要とされる許可等の処分があった宅地について、当該処分があったことを明示して、工事完了前に、当該宅地の販売に関する広告を行うことができる。 | ◯ |
5 | 28-32-2 | 新築マンションを分譲するに当たり、建築確認申請中であったため、「建築確認申請済」と明示して、広告を行い、建築確認を受けた後に売買契約を締結した。 | × |
6 | 27-37-2 | 建築確認申請中である旨を表示すれば、自ら売主として建物を販売する広告をすることができる。 | × |
7 | 27-37-3 | 建築確認を受けた後でなければ、建物の貸借の代理を行う旨の広告をしてはならない。 | ◯ |
8 | 26-30-1 | 建築確認前のマンションにつき、売買契約は締結できないが、広告をすることはできる。 | × |
9 | 25-32-ア | 建築確認前の賃貸住宅の貸主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
10 | 25-32-エ | 建築確認前の建売住宅の売主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
11 | 24-28-イ | 建築確認申請中の建物について、貸借の媒介の依頼を受けた場合、広告はできない。 | ◯ |
12 | 24-28-エ | 建築確認申請中である旨を表示すれば、広告ができる。 | × |
13 | 23-36-1 | 開発許可・建築確認を受けなければ、売買その他の業務の広告はできない。 | ◯ |
14 | 20-32-2 | 工事完了前は、開発許可・建築確認を申請した後でなければ、売買その他の業務の広告をしてはならない。 | × |
15 | 19-38-2 | 建築確認を受ける前においては、マンションの売買の広告も契約締結もできない。 | ◯ |
16 | 19-38-3 | 開発許可を受ける前においては、貸借の広告はできるが、貸借の媒介をすることはできない。 | × |
17 | 17-34-2 | 宅地造成工事の完了検査を受けるまで、広告はできない。 | × |
18 | 16-36-1 | 開発許可を受けていれば、検査済証の交付を受けていなくても、広告ができる。 | ◯ |
19 | 14-32-3 | 「建築確認申請中のため、建築確認を受けるまでは、売買契約はできません」と表示すれば広告ができる。 | × |
20 | 13-34-ウ | 「建築確認を受けることができるのは確実である」旨表示した広告は宅建業法に違反する。 | ◯ |
21 | 12-38-1 | 開発許可を必要とする宅地の分譲をする場合、許可を受ける前であっても、許可申請中である旨表示して、広告することができる。 | × |
22 | 11-40-1 | 「建築確認申請済」と表示して広告を行い、販売の契約は建築確認後に締結した場合、宅建業法に違反しない。 | × |
23 | 10-42-4 | 宅建業者が、広告開始時期の制限に違反した場合、免許権者は、必要な指示ができ、その指示に従わないとき業務停止処分ができる。 | ◯ |
24 | 09-43-2 | 「契約は、建築確認を受けた後に締結」と明記して広告を行った場合、宅建業法に違反する。 | ◯ |
25 | 08-45-1 | 国土法の事前届出をする必要がある場合、届出後でなければ、分譲の広告をしてはならない。 | × |
26 | 08-50-4 | 建築確認を受ける前にマンション分譲の広告をした場合、指示処分の対象になる。 | ◯ |
27 | 06-40-1 | 契約締結時期を建築確認後にするのであれば、「建築確認申請中」であることを表示して広告ができる。 | × |
28 | 06-44-2 | 開発許可取得後に分譲パンフレットを郵送することは宅建業法に違反する。 | × |
29 | 05-42-4 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告した場合、50万円以下の罰金に処せられることがある。 | × |
30 | 04-37-2 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告し、契約は建築確認後だった場合、宅建業法に違反しない。 | × |
31 | 02-47-1 | 「建築確認前」である旨を表示すれば、販売広告が可能である。 | × |
イ 誤り
取引態様の別とは、自ら売主、代理、媒介、という取引形態の区別のことです。宅建業者は、(1)広告時に取引態様の別を明示し、さらに、(2)注文を受けた際にも取引態様を明示する必要があります(宅建業法34条1項、2項)。
取引態様の明示は、広告の度に要求されます。数回に分けて広告する場合、各回ごとに取引態様を明示しなければなりません。
「最初に行った広告」についてのみ明示しても不十分です。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R01-30-イ | 一団の宅地の売買について、数回に分けて広告する際に、最初に行った広告以外には取引態様の別を明示しなかった。 | × |
2 | 28-32-3 | 中古建物の売買において、建物所有者から媒介の依頼を受け、取引態様の別を明示せずに自社ホームページに広告を掲載したが、広告を見た者からの問い合わせはなく、契約成立には至らなかった場合、宅建業法に違反しない。 | × |
3 | 26-30-4 | 数回に分けた広告→最初の広告以外は、明示不要。 | × |
4 | 23-36-2 | 数回に分けた広告→最初の広告のみ明示義務。 | × |
5 | 17-34-1 | 相手方に明らかな場合、広告時に、明示不要。 | × |
6 | 16-36-2 | 広告印刷時には未定だった場合、明示不要。 | × |
7 | 10-42-2 | 取引態様が未定の場合、広告で明示不要。 | × |
8 | 05-42-2 | 数回に分けた広告→最終回の広告では明示不要。 | × |
ウ 誤り
報酬限度額を超えて、受領することができるのは、依頼者の依頼によって行う広告料金に限られます(宅建業法46条1項、解釈・運用の考え方、報酬額告示第九①))。本肢では、依頼者の依頼に基づくことなく広告をしていますから、この料金を報酬と別に請求することはできません。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R01-30-ウ | 建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。 | × |
2 | R01-32-3 | 既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。 | ◯ |
3 | 30-30-3 | 建物が店舗用である場合、Aは、Bからの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額をBに請求することができる。 | × |
4 | 30-33-3 | [宅地建物取引業者Aは、Bから、Bが所有し居住している甲住宅の売却について媒介の依頼を受けた。]Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。 | × |
5 | 29-26-2 | 宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、依頼者の依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。 | × |
6 | 29-26-3 | 宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。 | × |
7 | 29-43-エ | 専任媒介契約に係る通常の広告費用は宅地建物取引業者Aの負担であるが、指定流通機構への情報登録及び依頼者BがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。 | × |
8 | 28-33-ア | 宅建業者が媒介する物件の売買について、売主があらかじめ受取額を定め、実際の売却額との差額を当該宅建業者が受け取る場合は、媒介に係る報酬の限度額の適用を受けない。 | × |
9 | 28-33-イ | 依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、依頼者から受け取ることができる。 | × |
10 | 26-37-1 | 居住用建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、報酬とは別に、広告料金に相当する額を請求できる。 | × |
11 | 25-37-ウ | 依頼者の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用を受領できる。 | ◯ |
12 | 24-35-エ | 依頼者の依頼の有無にかかわらず、通常の広告料金相当額を受領できる。 | × |
13 | 23-36-3 | 依頼者の依頼の有無にかかわらず、通常の広告料金相当額を受領できる。 | × |
14 | 22-42-2 | 依頼者が好意で支払う謝金は、報酬限度額とは別に受領できる。 | × |
15 | 19-42-2 | 依頼者の依頼によらない通常の広告料金相当額を受領できる。 | × |
16 | 18-43-イ | 依頼者の特別の依頼による広告に要した実費を受領できる。 | ◯ |
17 | 17-34-4 | 依頼者の依頼による広告料金を請求できない。 | × |
18 | 13-45-エ | 国交大臣の定める額をこえて報酬を受けることは宅建業法に違反しない。 | × |
19 | 12-35-2 | 依頼者から特別の依頼を受けて広告をし、契約成立した場合、報酬限度額の報酬のほかに、広告に要した実費を超える料金を受領できる。 | × |
20 | 12-38-3 | 依頼者からの依頼に基づくことなく広告した場合でも、広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、報酬とは別に、その広告料金を請求できる。 | × |
21 | 11-36-3 | 宅建業者が報酬限度額の報酬を受けた場合でも、宅建士は、別途報酬を受けることができる。 | × |
22 | 09-43-1 | 依頼者の依頼により特別の広告を行った場合、売買が不成立に終わったときでも、広告料金を受領できる。 | ◯ |
23 | 07-42-2 | 業者間取引であれば、報酬限度額を超える報酬を受領できる。 | × |
エ 誤り
(肢ア参照。)
宅地造成や建物建築に関する工事の完了前においては、開発許可や建築確認など必要な処分を受けた後でなければ、宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をすることができません(宅建業法33条)。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-30-ア | 建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。 | × |
2 | R01-30-エ | 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。 | × |
3 | 30-26-3 | 建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。 | × |
4 | 28-32-1 | 宅地の造成に当たり、工事に必要とされる許可等の処分があった宅地について、当該処分があったことを明示して、工事完了前に、当該宅地の販売に関する広告を行うことができる。 | ◯ |
5 | 28-32-2 | 新築マンションを分譲するに当たり、建築確認申請中であったため、「建築確認申請済」と明示して、広告を行い、建築確認を受けた後に売買契約を締結した。 | × |
6 | 27-37-2 | 建築確認申請中である旨を表示すれば、自ら売主として建物を販売する広告をすることができる。 | × |
7 | 27-37-3 | 建築確認を受けた後でなければ、建物の貸借の代理を行う旨の広告をしてはならない。 | ◯ |
8 | 26-30-1 | 建築確認前のマンションにつき、売買契約は締結できないが、広告をすることはできる。 | × |
9 | 25-32-ア | 建築確認前の賃貸住宅の貸主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
10 | 25-32-エ | 建築確認前の建売住宅の売主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
11 | 24-28-イ | 建築確認申請中の建物について、貸借の媒介の依頼を受けた場合、広告はできない。 | ◯ |
12 | 24-28-エ | 建築確認申請中である旨を表示すれば、広告ができる。 | × |
13 | 23-36-1 | 開発許可・建築確認を受けなければ、売買その他の業務の広告はできない。 | ◯ |
14 | 20-32-2 | 工事完了前は、開発許可・建築確認を申請した後でなければ、売買その他の業務の広告をしてはならない。 | × |
15 | 19-38-2 | 建築確認を受ける前においては、マンションの売買の広告も契約締結もできない。 | ◯ |
16 | 19-38-3 | 開発許可を受ける前においては、貸借の広告はできるが、貸借の媒介をすることはできない。 | × |
17 | 17-34-2 | 宅地造成工事の完了検査を受けるまで、広告はできない。 | × |
18 | 16-36-1 | 開発許可を受けていれば、検査済証の交付を受けていなくても、広告ができる。 | ◯ |
19 | 14-32-3 | 「建築確認申請中のため、建築確認を受けるまでは、売買契約はできません」と表示すれば広告ができる。 | × |
20 | 13-34-ウ | 「建築確認を受けることができるのは確実である」旨表示した広告は宅建業法に違反する。 | ◯ |
21 | 12-38-1 | 開発許可を必要とする宅地の分譲をする場合、許可を受ける前であっても、許可申請中である旨表示して、広告することができる。 | × |
22 | 11-40-1 | 「建築確認申請済」と表示して広告を行い、販売の契約は建築確認後に締結した場合、宅建業法に違反しない。 | × |
23 | 10-42-4 | 宅建業者が、広告開始時期の制限に違反した場合、免許権者は、必要な指示ができ、その指示に従わないとき業務停止処分ができる。 | ◯ |
24 | 09-43-2 | 「契約は、建築確認を受けた後に締結」と明記して広告を行った場合、宅建業法に違反する。 | ◯ |
25 | 08-45-1 | 国土法の事前届出をする必要がある場合、届出後でなければ、分譲の広告をしてはならない。 | × |
26 | 08-50-4 | 建築確認を受ける前にマンション分譲の広告をした場合、指示処分の対象になる。 | ◯ |
27 | 06-40-1 | 契約締結時期を建築確認後にするのであれば、「建築確認申請中」であることを表示して広告ができる。 | × |
28 | 06-44-2 | 開発許可取得後に分譲パンフレットを郵送することは宅建業法に違反する。 | × |
29 | 05-42-4 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告した場合、50万円以下の罰金に処せられることがある。 | × |
30 | 04-37-2 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告し、契約は建築確認後だった場合、宅建業法に違反しない。 | × |
31 | 02-47-1 | 「建築確認前」である旨を表示すれば、販売広告が可能である。 | × |
まとめ
ア・イ・ウ・エの四つとも宅建業法に違反します。正解は、肢4。