【宅建過去問】(令和03年10月問04)配偶者居住権
被相続人Aの配偶者Bが、A所有の建物に相続開始の時に居住していたため、遺産分割協議によって配偶者居住権を取得した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。
- Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。
- 配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。
- Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。
正解:1
配偶者居住権
配偶者居住権とは、配偶者が居住建物の全部について無償で使用・収益する権利をいいます。配偶者が相続開始時に被相続人の遺産たる建物に居住していた場合、以下のいずれかの方法で配偶者居住権を取得することができます(民法1028条1項、554条)。
- 遺産分割
- 遺贈
- 死因贈与
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被相続人Aの配偶者Bが、A所有の建物に相続開始の時に居住していたため、遺産分割協議によって配偶者居住権を取得した。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
①配偶者居住権とは | |||
1 | R05-07-2 | Bが高齢となり、バリアフリーのマンションに転居するための資金が必要になった場合、Bは、Cの承諾を得ずに甲建物を第三者Dに賃貸することができる。 | × |
2 | R03-04-2 | Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。 | × |
③存続期間 | |||
1 | R05-07-1 | 遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は20年となる。 | × |
2 | R03-04-1 | 遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。 | ◯ |
3 | R03-04-3 | 配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。 | × |
④対抗要件 | |||
1 | R05-07-3 | Cには、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務がある。 | ◯ |
2 | R03-04-4 | Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。 | × |
3 | R02-14-4 | 配偶者居住権は、登記することができる権利に含まれない。 | × |
⑤費用負担 | |||
1 | R05-07-4 | Cは、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。 | × |
1 正しい
配偶者居住権は、原則として、配偶者の終身の間存続します(民法1030条本文)。ただし、遺産分割協議や遺言又は家庭裁判所による遺産分割審判において、別段の定めをした場合は、その定めに従います(同条ただし書き)。
本肢では、「遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた」のですから、その定めに従います。すなわち、20年の存続期間が満了した時点で、配偶者居住権は消滅します(同法1036条、597条1項)。配偶者居住権を延長や更新することはできません。
2 誤り
配偶者居住権は、居住建物の全部について無償で使用・収益をする権利です(民法1028条1項)。つまり、居住建物を使用(居住)するだけでなく、収益(賃貸など)することも可能です。ただし、居住建物を第三者に使用させる場合には、所有者の承諾が必要です(同法1032条3項)。
本肢は、「居住している建物の所有者の承諾を得ることなく」とする点が誤りです。
3 誤り
配偶者居住権は、たとえ存続期間中であっても、配偶者が死亡した場合には、その時点で消滅します(民法1036条、597条3項)。つまり、使用貸借契約の借主と同じ扱いがされています。相続の対象にはなりません。
4 誤り
配偶者居住権は、登記可能な権利です(不動産登記法3条9号)。そして、配偶者居住権を登記すれば、配偶者は、その権利を第三者に対抗することができます(民法1031条2項、605条)。つまり、賃借権と同じ扱いがされています。
逆にいえば、配偶者居住権を取得したとしても、登記しない限り、その権利を第三者に対抗することができません。本肢は、「配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる」とする点が誤りです。
※建物の所有者Aは、配偶者Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います(民法1031条1項)。
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1、一覧表から正解欄を除いて欲しい。(問題を解いてから講義を聴きたい。)
2、contents(正解)を消して欲しい。
小川様
ご要望ありがとうございます。
小川さんと同じように「問題を解いてから講義を聴きたい」というご要望が多数寄せられました。
そのために、当社では、『年度別過去問集』を制作したわけです。
この教材は「問題文のみ」掲載した問題集ですので、小川さんのご要望にお応えすることができます。
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