【宅建過去問】(令和03年12月問03)成年被後見人

成年後見人が、成年被後見人を代理して行う次に掲げる法律行為のうち、民法の規定によれば、家庭裁判所の許可を得なければ代理して行うことができないものはどれか。

  1. 成年被後見人が所有する乗用車の第三者への売却
  2. 成年被後見人が所有する成年被後見人の居住の用に供する建物への第三者の抵当権の設定
  3. 成年被後見人が所有するオフィスビルへの第三者の抵当権の設定
  4. 成年被後見人が所有する倉庫についての第三者との賃貸借契約の解除

正解:2

成年後見人について

「正しいもの・誤っているもの」ではなく、「成年後見人が、…家庭裁判所の許可を得なければ代理して行うことができないもの」を選ばせる珍しい出題形式です。
いい機会なので、ここで成年被後見人についてまとめておきましょう。

成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者として、家庭裁判所から、後見開始の審判を受けたものをいいます。成年被後見人には、保護者として、成年後見人が付けられます(民法7条、8条)。

■成年被後見人の法律行為

成年被後見人の法律行為は、取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為は、例外です(民法9条)。この行為に関しては、成年被後見人が単独で有効に行うことができ、逆から言えば、一度した行為を取り消すことができません。

成年被後見人が単独でできる法律行為

日常生活に関する行為以外については、成年後見人に代理してもらうことになります(同法859条)。
例えば、肢1の行為(成年被後見人が所有する乗用車の売却)は、成年被後見人が単独で行うことはできません。しかし、成年後見人が代理して行えば、それで有効な契約になります。

成年後見人による代理

■居住用不動産の処分に関する家庭裁判所の許可

以上のルールに例外があります。それが、居住用不動産を処分する場合です。
具体的にいうと、成年被後見人の居住の用に供する建物やその敷地について、売却・賃貸・賃貸借の解除・抵当権の設定などの処分をする場合には、成年後見人が代理するだけでなく、さらに家庭裁判所の許可を受けることが必要とされています。
これは、成年被後見人が居住する建物やその敷地を失うことが重大なダメージであることを考慮したものです。そのため、成年後見人が代理するだけでなく、さらに家庭裁判所の許可を要求しています。

正解発表

選択肢を検討すると、居住用不動産の処分に該当し、家庭裁判所の許可が要求されるのは、肢2(成年被後見人の居住の用に供する建物への第三者の抵当権の設定)です。
これ以外の法律行為は、成年後見人が代理すれば十分で、家庭裁判所の許可までは必要ありません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可(民法[01]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R03s-03-1成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有する乗用車の第三者への売却を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。×
2R03s-03-2成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有する成年被後見人の居住の用に供する建物への第三者の抵当権の設定を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。
3R03s-03-3成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有するオフィスビルへの第三者の抵当権の設定を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。×
4R03s-03-4成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有する倉庫についての第三者との賃貸借契約の解除を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。×
5H28-02-3成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。×
6H26-09-2成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可を要しない。×
7H22-01-2成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには、家庭裁判所の許可が必要である。

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