【宅建過去問】(令和03年12月問15)都市計画法(地域地区)

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 近隣商業地域は、主として商業その他の業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。
  2. 準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。
  3. 第一種低層住居専用地域については、都市計画に特定用途制限地域を定めることができる場合がある。
  4. 第一種住居地域については、都市計画に高層住居誘導地区を定めることができる場合がある。

正解:4

1 誤り

近隣商業地域とは、「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」をいいます(都市計画法9条9項)。
本肢では、「主として商業その他の業務の利便の増進」は商業地域(同条10項)、「これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」は準住居地域(同条7項)、とアチコチから適当につないだだけ。これでは、どの用途地域の定義にもなりません。

用途地域の種類

■参照項目&類似過去問
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用途地域の定義(都市計画法[02]3(1)②)
年-問-肢内容正誤
1R04-15-4工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とされている。
2R03s-15-1近隣商業地域は、主として商業その他の業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。×
3R03s-15-2準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。×
4R02-15-3第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とされている。×
5R01-15-3準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とされている。
6H27-16-3工業専用地域は、工業の利便を増進するため定める地域であり、風致地区に隣接してはならない。×
7H15-17-2第一種住居地域は、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域であり、第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域である。×
8H04-18-4第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域で、その都市計画には、種類、位置等のほか、容積率及び建蔽率を定めることとされている。
9H03-18-4第一種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域である。×

2 誤り

(肢1の表参照。)
準工業地域とは、「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域」をいいます(都市計画法9条11項)。
本肢の前半は正しいのですが、後半が超適当。「これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」は準住居地域(同条7項)の定義の一部で、準工業地域とは無関係です。

■参照項目&類似過去問
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用途地域の定義(都市計画法[02]3(1)②)
年-問-肢内容正誤
1R04-15-4工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とされている。
2R03s-15-1近隣商業地域は、主として商業その他の業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。×
3R03s-15-2準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。×
4R02-15-3第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とされている。×
5R01-15-3準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とされている。
6H27-16-3工業専用地域は、工業の利便を増進するため定める地域であり、風致地区に隣接してはならない。×
7H15-17-2第一種住居地域は、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域であり、第二種住居地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域である。×
8H04-18-4第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域で、その都市計画には、種類、位置等のほか、容積率及び建蔽率を定めることとされている。
9H03-18-4第一種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域である。×

3 誤り

特定用途制限地域とは、用途地域が定められていない区域で、制限すべき建築物等の用途を定める地域をいいます(都市計画法9条15項)。
特定用途制限地域を定めることができるのは、「用途地域が定められていない区域」に限られます。しかし、本肢では、用途地域(第一種低層住居専用地域)が定められています。ここに重ねて、特定用途制限地域を定めることはできません。

※特別用途地区と特定用途制限地域をゴチャゴチャにする問題が頻出です。比較・整理しておきましょう。

■参照項目&類似過去問
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特別用途地区・特定用途制限地域(都市計画法[02]3(2)建築基準法[04]4
年-問-肢内容正誤
特別用途地区
1R05-15-3
特定用途制限地域は、用途地域が定められている土地の区域内において、都市計画に、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とされている。×
2R02s-18-2
準都市計画区域については、都市計画に、特別用途地区を定めることができる。
3R02s-18-2
特別用途地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条第1項から第13項までの規定による用途制限を緩和することができる。
4R01-15-4
特別用途地区は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地区とされている。×
5H26-18-3
特別用途地区内においては、地方公共団体は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条の規定による建築物の用途制限を緩和することができる。
6H22-16-4特定用途制限地域は、用途地域内の一定の区域における当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定めるものとされている。×
7H21-19-4特別用途地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条の規定による建築物の用途制限を緩和することができる。
8H18-18-4特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区である。
9H14-18-3特別用途地区は、文教地区、観光地区などの11類型の総称であり、主として用途地域による用途規制を強化したり、緩和することにより当該地区の特性にふさわしい特別の目的の実現を図るものである。×
10H11-17-3特別用途地区は、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るために定める地区であり、用途地域内においてのみ定めることができる。
11H10-17-2特別用途地区は、土地の利用の増進、環境の保護等を図るため定める地区であることから、その区域内においては、用途地域で定める建築物の用途に関する制限を強化することができるが、制限を緩和することはできない。×
12H07-18-1特別用途地区とは、一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため定める地区であり、用途地域が定められていない区域において定められるものである。×
13H03-18-2特別用途地区は、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区で、用途地域外であっても、定めることができる。×
特定用途制限地域
1R05-15-3
特定用途制限地域は、用途地域が定められている土地の区域内において、都市計画に、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とされている。×
2R03s-15-3
第一種低層住居専用地域については、都市計画に特定用途制限地域を定めることができる場合がある。×
3R01-15-4
特別用途地区は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地区とされている。
×
4H25-15-2用途地域の一つである特定用途制限地域は、良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。×
5H22-16-4特定用途制限地域は、用途地域内の一定の区域における当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定めるものとされている。×

4 正しい

高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導する地区です。これを定めることができるのは、一定の用途地域に限られます(都市計画法9条17項)。
本肢の第一種住居地域は、高層住居誘導地区を定めることができる用途地域の一種です。

■参照項目&類似過去問
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高層住居誘導地区(都市計画法[02]3(4))
年-問-肢内容正誤
1R03s-15-4第一種住居地域については、都市計画に高層住居誘導地区を定めることができる場合がある。
2H26-15-4高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するために定められる地区であり、近隣商業地域及び準工業地域においても定めることができる。
3H17-19-4高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途を適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域等において定められる地区をいう。×
4H15-17-1高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため定める地区である。

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