宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1. 宅地建物取引業者Ａは、一団の宅地建物の分譲をするため設置した案内所には、契約を締結することなく、かつ、契約の申込みを受けることがないときでも、１名以上の専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
2. 宅地建物取引業者Ｂは、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅地建物取引士が退職したときは、２週間以内に、宅地建物取引業法第31条の３第１項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
3. 宅地建物取引業者Ｃが、20戸の一団の分譲建物の売買契約の申込みのみを受ける案内所甲を設置した場合、売買契約の締結は事務所乙で行うとしても、甲にも専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
4. 法人である宅地建物取引業者Ｄ社の従業者であり、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する18歳未満の宅地建物取引士Ｅは、Ｄ社の役員であるときを除き、Ｄ社の専任の宅地建物取引士となることができない。

正解：1

1 誤り

案内所等に専任宅建士を設置することが求められるのは、その場所で契約行為等を行う場合に限られます（宅建業法31条の３第１項、規則15条の５の２）。ここでいう「契約行為等」とは、「契約を締結する又は契約の申込みを受ける」ことをいいます。
本肢の案内所では、「契約を締結することなく、かつ、契約の申込みを受けることがない」とされています。つまり、この案内所は、契約行為等を行わない案内所等ということになります。この場所には、専任宅建士を設置する必要がありません。

業務場所ごとの規制

※もしも契約行為というを行う案内所等であれば、そこに必要な専任宅建士の人数は、１人以上です（宅建業法31条の３第１項、規則15条の５の３）。しかし、本肢では、そもそも専任宅建士を設置する必要がありません。人数については、知識の確認をしておくだけでOKです。

■参照項目&類似過去問

2 正しい

「唯一の専任の宅地建物取引士が退職した」というのですから、その事務所に必要な専任宅建士の数が足りなくなったことが分かります。
専任宅建士が法定数に不足した場合、宅建業者は２週間以内に必要な措置を執る必要があります（宅建業法31条の３第３項）。例えば、新規に雇う、他の事務所から異動させる、などの措置です。

■参照項目&類似過去問

3 正しい

（肢1参照。）
本肢の案内所では、「契約の申込みを受ける」のですから、契約行為等を行っていることになります。そして、契約行為等を行う案内所等には、専任宅建士（１人以上）を設置する必要があります（肢1の表の「契約行為等を行う案内所等」参照。宅建業法31条の３第１項、規則15条の５の２）。

■参照項目&類似過去問

4 正しい

宅建業者の事務所や契約行為等を行う案内所等には、「成年者である専任の宅地建物取引士」を設置する必要があります（肢1の表参照。宅建業法31条の３第１項）。
未成年者であっても、宅建業の営業に関し成年者と同一の行為能力を有していれば、宅建士となることは可能です（同法18条１項１号）。しかし、その場合でも、未成年者である間は、原則として、専任宅建士になることができません。

例外は、宅建業者自身が宅建士である場合や法人業者の役員が宅建士である場合です。この場合、未成年者であっても、「成年者である専任の宅地建物取引士」とみなされます（同法31条の３第２項）。本肢では「Ｄ社の役員であるときを除き」として、特例の適用がないことを示しています。

■参照項目&類似過去問

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