都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
- 市街化区域内において、市街地再開発事業の施行として行う1haの開発行為を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 区域区分が定められていない都市計画区域内において、博物館法に規定する博物館の建築を目的とした8,000㎡の開発行為を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。
- 自己の業務の用に供する施設の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては、開発区域内に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に規定する土砂災害警戒区域内の土地を含んではならない。
- 市街化調整区域内における開発行為について、当該開発行為が開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがあるかどうかにかかわらず、都道府県知事は、開発審査会の議を経て開発許可をすることができる。
正解:2
開発許可の要否
開発許可の要否が問われた場合、以下のフローチャートの手順で考えましょう。手間を減らし、正解の確実性を高めることができます。
1 誤り
【参考】面積要件
練習のために、「市街地再開発事業の施行」ではなく、「商業施設の建築」を目的とする開発行為だった場合について考えてみましょう。
市街化区域内で開発許可の対象となるのは、その面積が1,000㎡以上の場合です(都市計画法29条1項1号、令19条1項)。本肢では、開発行為の規模が1ha(=10,000㎡)で1,000㎡以上ですから、開発許可を受ける必要があります。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-16-1 | 市街化区域内において、市街地再開発事業の施行として行う1haの開発行為を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
2 | R03-16-4 | 市街化区域において、都市公園法に規定する公園施設である建築物の建築を目的とした5,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
3 | H17-18-2 | 首都圏整備法に規定する既成市街地内にある市街化区域において、住宅の建築を目的とした800㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
4 | H15-18-2 | 市街化区域において、社会教育法に規定する公民館の建築の用に供する目的で行われる1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | ◯ |
5 | H14-19-3 | 市街化区域において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とした1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | ◯ |
6 | H14-19-4 | 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
7 | H13-18-3 | 市街化区域において、農林漁業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行われる1,200㎡の開発行為については開発許可が必要である。 | × |
8 | H10-18-2 | 市街化区域において行う開発行為で、市町村が設置する医療法に規定する診療所の建築の用に供する目的で行うものであって、当該開発行為の規模が1,500㎡であるものについては開発許可は必要である。 | × |
9 | H07-20-2 | 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行われる1,500㎡の開発行為は、開発許可を受ける必要がある。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-16-1 | 市街化区域内において、市街地再開発事業の施行として行う1haの開発行為を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
2 | R03-16-1 | 市街化区域において、都市公園法に規定する公園施設である建築物の建築を目的とした5,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
3 | R03-16-2 | 首都圏整備法に規定する既成市街地内にある市街化区域において、住宅の建築を目的とした800㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | ◯ |
4 | R02s-16-2 | 市街化区域において、社会教育法に規定する公民館の建築の用に供する目的で行われる1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | ◯ |
5 | R01-16-2 | 市街化区域において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とした1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | × |
6 | H29-17-2 | 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | ◯ |
7 | H26-16-イ | 市街化区域において、農林漁業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行われる1,200㎡の開発行為については開発許可が必要である。 | ◯ |
8 | H25-16-3 | 市街化区域において行う開発行為で、市町村が設置する医療法に規定する診療所の建築の用に供する目的で行うものであって、当該開発行為の規模が1,500㎡であるものについては開発許可は必要である。 | ◯ |
9 | H24-17-ウ | 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行われる1,500㎡の開発行為は、開発許可を受ける必要がある。 | ◯ |
10 | H21-17-2 | 市街化区域内の土地において、700㎡の開発行為を行おうとする場合に、都道府県知事の許可が必要となる場合がある。 | ◯ |
11 | H19-20-ウ | 市街化区域内における農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う1,500㎡の土地の区画形質の変更については、都市計画法による開発許可を受ける必要がない。 | × |
12 | H18-19-1 | 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う1,000㎡の開発行為は、開発許可を受けなければならない。 | ◯ |
13 | H15-18-2 | 市街化区域における市街地再開発事業の施行として行う3,000㎡の土地の区画形質の変更には、常に開発許可が不要である。 | ◯ |
14 | H13-25-1 | A所有の市街化区域内の宅地甲地(面積250㎡)を、Bが取得した。Bが甲地を盛土したうえで住宅を建築しようとするときには、都市計画法第29条の許可(開発許可)を受けなければならない。 | × |
15 | H10-18-1 | 市街化区域内の既に造成された宅地において、敷地面積が1,500㎡の共同住宅を建築する場合は、当該宅地の区画形質の変更を行わないときでも、原則として開発許可を受けなければならない。 | × |
16 | H10-18-2 | 市街化区域内の山林において、土地区画整理事業(規模5ヘクタール)の施行として開発行為を行う場合は、原則として開発許可を受けなければならない。 | × |
17 | H09-18-1 | 市街化区域内において行う開発行為で、変電所の建築の用に供する目的で行うもの(1,000㎡以上)については、開発許可が常に不要である。 | ◯ |
18 | H09-18-2 | 市街化区域内において行う開発行為で、農業者の居住用住宅の建築の用に供する目的で行うもの(1,000㎡以上)については、開発許可が常に不要である。 | × |
19 | H05-18-3 | 市街化区域内で行われる開発区域の面積が1,100㎡の畜舎の建設のための開発行為は、開発許可が必要である。 | ◯ |
2 正しい
(肢1の表の①参照。)
公益上必要な一定の建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為については、区域・面積を問わず、開発許可は不要です(都市計画法29条1項)。
そして、博物館は、この一定の建築物に含まれています。そのため、知事の許可は不要です。
【参考】面積要件
練習のために、「博物館」ではなく、「病院」を建築するための開発行為だった場合について考えてみましょう。
非線引区域内で開発許可の対象となるのは、その面積が3,000㎡以上の場合です(肢1の表参照。都市計画法29条1項1号、令19条1項)。本肢では、開発行為の規模が8,000㎡で3,000㎡以上ですから、開発許可を受ける必要があります。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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該当するもの | |||
図書館 | |||
1 | H24-17-ア | 市街化調整区域において、図書館法に規定する図書館の建築の用に供する目的で行われる3,000㎡の開発行為は、開発許可を受ける必要がある。 | × |
2 | H19-20-イ | 市街化調整区域内における図書館の建築の用に供する目的で行う3,000㎡の土地の区画形質の変更については、都市計画法による開発許可を受ける必要がない。 | ◯ |
3 | H18-19-2 | 市街化調整区域内において、図書館法に規定する図書館の建築の用に供する目的で行う1,000㎡の開発行為は、開発許可を受けなければならない。 | × |
4 | H13-18-1 | 図書館の建築を目的として行う開発行為は、開発許可を常に受ける必要がない。 | ◯ |
5 | H12-20-1 | 図書館又は公民館の建築の用に供する目的で行う開発行為は、市街化調整区域内におけるものであっても、その規模の大小を問わず、開発許可を受けることなく、行うことができる。 | ◯ |
博物館 | |||
1 | R04-16-2 | 区域区分が定められていない都市計画区域内において、博物館法に規定する博物館の建築を目的とした8,000㎡の開発行為を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | ◯ |
公民館 | |||
1 | R02s-16-2 | 市街化区域において、社会教育法に規定する公民館の建築の用に供する目的で行われる1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | ◯ |
2 | H26-16-ウ | 区域区分が定められていない都市計画区域において、社会教育法に規定する公民館の用に供する施設である建築物の建築の用に供する目的で行われる4,000㎡の開発行為については開発許可が必要である。 | × |
3 | H15-18-4 | 準都市計画区域における公民館の建築を目的とした5,000㎡の土地の区画形質の変更には、常に開発許可が不要である。 | ◯ |
4 | H12-20-1 | 図書館又は公民館の建築の用に供する目的で行う開発行為は、市街化調整区域内におけるものであっても、その規模の大小を問わず、開発許可を受けることなく、行うことができる。 | ◯ |
変電所 | |||
1 | H29-17-3 | 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、変電所の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
2 | H09-18-1 | 市街化区域内において行う開発行為で、変電所の建築の用に供する目的で行うもの(1,000㎡以上)については、開発許可が常に不要である。 | ◯ |
公園施設 | |||
1 | R03-16-1 | 市街化区域において、都市公園法に規定する公園施設である建築物の建築を目的とした5,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
該当しないもの | |||
診療所 | |||
1 | H25-16-3 | 市街化区域において行う開発行為で、市町村が設置する医療法に規定する診療所の建築の用に供する目的で行うものであって、当該開発行為の規模が1,500㎡であるものについては開発許可は必要である。 | ◯ |
病院 | |||
1 | R01-16-4 | 市街化調整区域において、医療法に規定する病院の建築を目的とした1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | × |
2 | H26-16-ア | 市街化調整区域において、国が設置する医療法に規定する病院の用に供する施設である建築物の建築の用に供する目的で行われる1,500㎡の開発行為については、都市計画法第34条の2の規定に基づき協議する必要がある。 | ◯ |
3 | H24-17-イ | 準都市計画区域において、医療法に規定する病院の建築の用に供する目的で行われる4,000㎡の開発行為は、開発許可を受ける必要がある。 | ◯ |
学校 | |||
1 | H18-19-3 | 準都市計画区域内において、専修学校の建築の用に供する目的で行う1,000㎡の開発行為は、開発許可を受けなければならない。 | × |
2 | H13-18-4 | 学校教育法による大学の建築を目的として行う開発行為は、開発許可を常に受ける必要がない。 | × |
3 | H09-18-4 | 市街化調整区域内において行う開発行為で、私立大学である建築物の建築の用に供する目的で行うもの(1,000㎡以上)については、開発許可が常に不要である。 | × |
4 | H05-18-2 | 市街化調整区域内で行われる開発区域の面積が1ヘクタール以上の私立大学の野球場の建設のための開発行為は、開発許可が不要である。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-16-2 | 区域区分が定められていない都市計画区域内において、博物館法に規定する博物館の建築を目的とした8,000㎡の開発行為を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。 | ◯ |
2 | R03-16-4 | 区域区分が定められていない都市計画区域において、土地区画整理事業の施行として行う8,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
3 | R02s-16-3 | 区域区分が定められていない都市計画区域において、店舗の建築の用に供する目的で行われる2,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
4 | H29-17-4 | 区域区分の定めのない都市計画区域内において、遊園地の建設の用に供する目的で3,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
5 | H26-16-ウ | 区域区分が定められていない都市計画区域において、社会教育法に規定する公民館の用に供する施設である建築物の建築の用に供する目的で行われる4,000㎡の開発行為については開発許可が必要である。 | × |
6 | H22-17-1 | 区域区分が定められていない都市計画区域内において、20戸の分譲住宅の新築を目的として5,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする場合は、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | ◯ |
7 | H21-17-1 | 区域区分の定められていない都市計画区域内の土地において、10,000㎡のゴルフコースの建設を目的とする土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | ◯ |
8 | H11-18-4 | 区域区分が定められていない都市計画区域において、農業を営む者がその居住用の住宅を建築するために行う開発行為については、開発許可を受ける必要はない。 | ◯ |
9 | H10-18-3 | 区域区分が定められていない都市計画区域内の農地において、野球場を建設するため2ヘクタールの規模の開発行為を行う場合は、原則として開発許可を受けなければならない。 | ◯ |
10 | H05-18-4 | 区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(「非線引都市計画区域」)200㎡と都市計画区域及び準都市計画区域外の区域2,800㎡にまたがる、開発区域の面積が3,000㎡の住宅団地建設のための開発行為は、開発許可が必要である。 | × |
3 誤り
開発区域内に災害危険区域等(いわゆるレッドゾーン)が含まれている場合、開発許可をすることはできません。災害危険区域等とは、具体的には以下のものです(都市計画法33条1項8号)。
- 災害危険区域
- 地すべり防止区域
- 土砂災害特別警戒区域
- 浸水被害防止区域
しかし、本肢で問われているのは「土砂災害警戒区域」です。これは、イエローゾーンにとどまり、レッドゾーンには該当しません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-16-3 | 自己の業務の用に供する施設の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては、開発区域内に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に規定する土砂災害警戒区域内の土地を含んではならない。 | × |
2 | H12-19-4 | 開発行為で、主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行うものについて、開発許可を受けようとする場合、開発区域内に建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域が含まれているときは、開発許可を受けることができない。 | × |
4 誤り
市街化調整区域において許可できる開発行為は、原則として、都市計画法34条1号~13号の14つのパターンに限定されています。
それ以外の開発行為を許可する場合、以下の要件をみたす必要があります(同条14号)。
- 開発審査会の議を経る。
- 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがない。
- 市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当。
本肢は、要件2を無視して、「開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがあるかどうかにかかわらず」とする点が誤っています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-16-4 | 市街化調整区域内における開発行為について、当該開発行為が開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがあるかどうかにかかわらず、都道府県知事は、開発審査会の議を経て開発許可をすることができる。 | × |
2 | H09-19-1 | 都道府県知事は、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが著しく困難と認められる開発行為について開発許可をした場合は、すみやかに開発審査会の議を経なければならない。 | × |
3 | H04-20-3 | 市街化調整区域におけるゴルフコース等の第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為については、都道府県知事は、開発許可の際、あらかじめ開発審査会の議を経なければならない。 | × |
3 | H01-21-3 | 都道府県知事は、市街化調整区域における開発行為について許可をしようとするときは、必ず許可をする前に開発審査会の議を経ておかなければならない。 | × |
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