宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
- ア 破産者であった個人Aは、復権を得てから5年を経過しなければ、免許を受けることができない。
- イ 宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた取締役がいる法人Bは、その刑の執行が終わった日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。
- ウ 宅地建物取引業者Cは、業務停止処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に、相当の理由なく廃業の届出を行った。この場合、Cは、当該届出の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。
- エ 宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者Dは、その法定代理人が禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
正解:1
ア 誤り
免許の欠格要件に該当するのは、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」です(宅建業法5条1項1号)。逆にいえば、復権を得たときからは免許を受けることができます。5年の経過を待つ必要はありません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03-27-2 | 免許を受けようとする個人Aが破産手続開始の決定を受けた後に復権を得た場合においても、Aは免許を受けることができない。 | × |
2 | R02s-31-2 | 免許を受けようとしている法人の政令で定める使用人が、破産手続開始の決定を受け、復権を得てから5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。 | × |
3 | R02-43-4 | 免許を受けようとするA社の取締役について、破産手続開始の決定があった場合、復権を得た日から5年を経過しなければ、A社は免許を受けることができない。 | × |
4 | H22-27-1 | 法人Aの役員のうちに、破産手続開始の決定がなされた後、復権を得てから5年を経過しない者がいる場合、Aは、免許を受けることができない。 | × |
5 | H21-27-ア | 破産者であった個人Aは、復権を得てから5年を経過しなければ、免許を受けることができない。 | × |
6 | H20-31-2 | 宅地建物取引業者A社に、かつて破産手続開始の決定を受け、既に復権を得ている者が役員として就任する場合、その就任をもって、A社の免許が取り消されることはない。 | ◯ |
7 | H19-33-4 | A社の取締役が、かつて破産手続開始の決定を受けたことがある場合で、復権を得てから5年を経過しないとき、A社は免許を受けることができない。 | × |
8 | H16-31-4 | 個人Aは、かつて破産手続開始の決定を受け、現在は復権を得ているが、復権を得た日から5年を経過していないので、Aは免許を受けることができない。 | × |
9 | H12-30-3 | A社の取締役が、かつて破産手続開始の決定を受けたことがある場合で、復権を得てから5年を経過していないとき、A社は、免許を受けることができない。 | × |
10 | H04-46-4 | クレジットカードを使い過ぎて破産したAは、復権を得ない限り、宅地建物取引業の免許を受けることができず、また、Aが他の宅地建物取引業者B社の役員になったときは、B社は、免許を取り消される。 | ◯ |
イ 正しい
■欠格要件チェックの対象者
法人業者の免許について欠格要件を考える場合、法人自体だけでなく、その役員や政令で定める使用人も欠格要件を判断する際の対象者になります(宅建業法5条1項12号)。
本肢に出てくる法人の取締役は、もちろん「役員」に該当します。
■罰金刑と欠格要件
罰金刑を受けた場合は、その原因となった犯罪の種類により、欠格要件になるかどうか、が異なります。そして、宅建業法違反は、そのリストに含まれています(同項6号)。
以上より、宅建業法違反で罰金に処せられた者を取締役とする法人Bは、免許を受けることができません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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宅建業法違反 | |||
1 | R05-29-3 | 宅地建物取引業者である個人Aが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、Aの免許は取り消されることはない。 | × |
2 | R03-27-4 | 免許を受けようとするA社の役員に、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた者がいる場合、その刑の執行が終わって5年を経過しなければ、A社は免許を受けることができない。 | ◯ |
3 | H22-27-2 | 法人Aの役員のうちに、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、Aは、免許を受けることができない。 | ◯ |
4 | H21-27-イ | 宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた取締役がいる法人は、その刑の執行が終わった日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。 | ◯ |
5 | H15-31-3 | 法人の役員のうちに宅地建物取引業法の規定に違反して、懲役の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、罰金の刑であれば、直ちに免許を受けることができる。 | × |
6 | H06-50-1 | 甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aの役員の1人が宅地建物取引業法の規定に違反して罰金の刑に処せられたときは、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 | ◯ |
傷害罪 | |||
1 | H15-31-4 | 法人の役員のうちに刑法第204条(傷害)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、刑の執行後5年を経過すれば、免許を受けることができる。 | ◯ |
2 | H02-44-ア | 宅地建物取引業者A社の取締役Bが、団地造成の用地交渉で土地所有者に傷害を与え、刑法第204条の罪(傷害罪)を犯したとして、罰金の刑に処せられた場合、A社は、宅地建物取引業法に基づく監督処分の対象となることがある。 | ◯ |
傷害現場助勢罪 | |||
1 | H24-26-2 | 免許を受けようとするA社に、刑法第206条(現場助勢)の罪により罰金の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなくとも、A社は免許を受けることができる。 | × |
暴行罪 | |||
1 | H17-31-4 | 甲県知事の免許を受けているA社の取締役Bが、刑法第208条(暴行)の罪により罰金の刑に処せられた場合、A社の免許は取り消される。 | ◯ |
2 | H08-37-2 | A社の代表取締役が、刑法の暴行罪で罰金の略式命令を受け罰金を納付したが、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。A社は、免許を受けることができる。 | × |
凶器準備集合・結集罪 | |||
1 | H25-26-3 | 宅地建物取引業者A社の非常勤役員が、刑法第208条の2(凶器準備集合及び結集)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | × |
脅迫罪 | |||
1 | R05-29-4 | 宅地建物取引業者A社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | × |
2 | H25-26-2 | 宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う支店の代表者が、刑法第222条(脅迫)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | × |
3 | H08-37-4 | A社の取締役の1人で非常勤である者が、宅地建物取引業以外の業務に関し刑法の脅迫罪で罰金の判決を受け罰金を納付したが、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない場合、A社は、免許を受けることができる。 | × |
背任罪 | |||
1 | H27-27-3 | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるAの法定代理人であるBが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Aは免許を受けることができない。 | ◯ |
2 | H16-31-1 | A社の政令で定める使用人は、刑法第247条(背任)の罪を犯し、罰金の刑に処せられたが、その執行を終えてから3年を経過しているので、A社は免許を受けることができる。 | × |
3 | H10-31-2 | 宅地建物取引業者A(法人)の非常勤の顧問であり、Aに対し取締役と同等の支配力を有するものと認められるBが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられたとき、このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。 | × |
4 | H01-39-1 | 未成年者Aは、営業に関し、成年者と同一の能力がなく、かつ、その法定代理人Bが、刑法第247条の罪(背任罪)を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。Aは、免許を受けることができる。 | × |
欠格要件でないもの | |||
刑法犯 | |||
1 | R01-43-3 | 免許を受けようとする法人の事務所に置く専任の宅地建物取引士が、刑法第261条(器物損壊等)の罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。 | × |
2 | H23-27-2 | A社の役員のうちに、刑法第246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、A社は免許を受けることができない。 | × |
3 | H19-33-2 | 宅地建物取引業者A社の取締役が、刑法第209条(過失傷害)の罪により罰金の刑に処せられた場合、A社の免許は取り消される。 | × |
4 | H17-31-2 | A社の取締役が刑法第198条(贈賄)の罪により罰金の刑に処せられ、その執行を終えてから3年を経過した場合であっても、A社は免許を受けることができない。 | × |
5 | H15-31-1 | 法人の役員のうちに刑法第159条(私文書偽造等)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、刑の執行後5年を経過すれば、免許を受けることができる。 | × |
6 | H09-33-4 | 甲県知事から免許を受けている宅地建物取引業者A(法人)の役員の1人が、刑法第209条(過失傷害)の罪により3年前に罰金の刑に処せられ、罰金を納付していることが判明した場合、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 | × |
7 | H05-36-1 | A社の取締役Bが、3年前に、刑法第233条(業務妨害)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終えた場合、A社は、免許を受けることができる。 | ◯ |
8 | H03-39-イ | A社の代表取締役Bが、1年前に業務上過失致傷の罪により罰金10万円の刑に処せられた場合、A社は、免許を受けることができる。 | ◯ |
刑法以外 | |||
1 | R05-29-2 | 宅地建物取引業者A社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | ◯ |
2 | H25-26-1 | 宅地建物取引業者A社の代表取締役が、道路交通法違反により罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | ◯ |
3 | H06-35-4 | A社の免許申請の直前に、A社の代表取締役が道路交通法に違反して罰金の刑に処せられた場合、A社は、免許を受けることができない。 | × |
ウ 誤り
一定の事由による免許取消処分を受けようとしている宅建業者が、聴聞の期日・場所の公示日から処分決定日までの間に宅建業廃止の届出をした場合、届出の日から5年を経過しなければ免許を受けることができません(宅建業法5条1項3号、66条1項8号、9号)。
したがって、宅建業廃止の届出の日から5年を経過していなくとも、Cは免許を受けることができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H21-27-ウ | 宅地建物取引業者Aは、業務停止処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に、相当の理由なく廃業の届出を行った。この場合、Aは、当該届出の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。 | × |
2 | H18-30-4 | A社は乙県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが、その公示後聴聞が行われる前に、相当の理由なく宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした。その届出の日から5年を経過していない場合、A社は免許を受けることができない。 | × |
3 | H08-37-3 | A社は、不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとして免許の取消処分の聴聞を受けた後で、処分に係る決定前に、相当の理由なく宅地建物取引業を廃止した旨の届出をしたが、その届出の日から5年を経過していない。この場合、A社は、免許を受けることができる。 | × |
4 | H01-39-2 | Aは、かつて宅地建物取引業者であったとき、業務停止処分事由に該当するとして、甲県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが、その公示後聴聞が行われる前に相当の理由なく宅地建物取引業の廃止の届出をし、その届出の日から5年を経過していない。Aは、免許を受けることができる。 | ◯ |
関連過去問(免許取消処分の前に合併した法人の役員) | |||
1 | H27-27-1 | A社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、合併により消滅したが、合併に相当の理由がなかった。この場合においては、当該公示の日の50日前にA社の取締役を退任したBは、当該消滅の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。 | ◯ |
エ 誤り
本肢のDは未成年者ですが、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しています。
したがって、欠格要件の検討にあたり、法定代理人の事情を考慮する必要はありません(宅建業法5条1項11号参照)。法定代理人にいかなる事情があろうが、Dは、免許を受けることができます。
※「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」であれば、その法定代理人が欠格要件審査の対象になります(肢イの表参照)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H27-27-3 | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるAの法定代理人であるBが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Aは免許を受けることができない。 | ◯ |
2 | H21-27-エ | 宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者Aは、その法定代理人が禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。 | × |
3 | H01-39-1 | 未成年者Aは、営業に関し、成年者と同一の能力がなく、かつ、その法定代理人Bが、刑法第247条の罪(背任罪)を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。Aは、免許を受けることができる。 | × |
まとめ
以上より、正しい記述はイのみです。正解は、肢1。
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- [Step.1]基本習得編で宅建合格に必要な基礎知識を学ぶ。
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- [Step.3]過去演習編で「四択問題」の解決法を学ぶ。
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