不動産の共有に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 共有物の各共有者の持分が不明な場合、持分は平等と推定される。
- 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加えることができない。
- 共有物の保存行為については、各共有者が単独ですることができる。
- 共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は国庫に帰属する。
正解:4
1 正しい
共有者の持分は、法律の規定や共有者の意思に基づいて決まります。持分が不明な場合、各共有者の持分は、相等しいもの(=平等)と推定されます(民法250条)。
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共有持分の割合の推定(民法[10]2)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-10-1 | 共有物の各共有者の持分が不明な場合、持分は平等と推定される。 | ◯ |
2 正しい
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加えることができません(民法251条1項)。
例えば、共有建物の場合、増改築が形状又は効用の著しい変更を伴う変更行為に当たります。共有者全員の一致がなければ、建物の増改築を行うことはできません。
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共有物の変更(民法[10]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-10-2 | 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。 | ◯ |
2 | 15-04-2 | 共有者の一人は、他の共有者の同意を得なければ、建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。 | ◯ |
3 | 06-03-2 | 別荘の改築は、共有者全員の合意で行うことを要し、共有者の一人が単独で行うことはできない。 | ◯ |
4 | 03-05-1 | 共有物である建物の増築は、各共有者の持分価格の過半数の同意があれば、することができる。 | × |
3 正しい
共有物の保存行為は、各共有者が単独ですることができます(民法252条5項)。
保存行為の例として頻繁に出題されるのが、不法占拠者の排除です。
A・B・Cが共有する土地に不法占拠者がいる場合、その者に明渡しを請求するのは、保存行為です。したがって、例えば、Aが単独で行うことができます。
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共有物の管理(民法[10]3(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-10-3 | 共有物の保存行為については、各共有者が単独ですることができる。 | ◯ |
4 誤り
相続人の不存在が確定した場合、共有者の持分は、まず、特別縁故者に対する財産分与の対象になります。この財産分与がされないときには、持分は他の共有者に帰属します(民法255条、民法958条の2。最判平01.11.24)。
「国庫に帰属する」わけではありません。
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共有者の死亡(民法[10]2(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-10-4 | 共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定した場合、その持分は特別縁故者に対する財産分与の対象となり、その財産分与がなされない場合は、他の共有者に帰属する。 | × |
2 | 18-04-4 | 共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定した場合、その持分は特別縁故者に対する財産分与の対象となり、その財産分与がなされない場合は、他の共有者に帰属する。 | ◯ |
3 | 04-12-3 | 共有者の一人が相続人なくして死亡し、特別縁故者に対する財産分与もなされない場合、その持分は、他の共有者に帰属する。 | ◯ |