宅地建物取引業者Aが自ら売主として、B所有の宅地(以下この問において「甲宅地」という。)を、宅地建物取引業者でない買主Cに売却する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものの組合せはどれか。
- ア Aは、甲宅地の造成工事の完了後であれば、Bから甲宅地を取得する契約の有無にかかわらず、Cとの間で売買契約を締結することができる。
- イ Aは、Bから甲宅地を取得する契約が締結されているときであっても、その取得する契約に係る代金の一部を支払う前であれば、Cとの間で売買契約を締結することができない。
- ウ Aは、甲宅地の売買が宅地建物取引業法第41条第1項に規定する手付金等の保全措置が必要な売買に該当するとき、Cから受け取る手付金について当該保全措置を講じておけば、Cとの間で売買契約を締結することができる。
- ア、イ
- ア、ウ
- イ、ウ
- ア、イ、ウ
正解:1
はじめに
宅建業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む)を締結することができません(宅建業法33条の2)。
例外は、表の2つの場合です。
【例外1】 | 宅地・建物を取得する契約を締結 ○予約 ×条件付 |
【例外2】 | 未完成物件で手付金等の保全措置あり |
以下では、区別のため、BA間の契約を「取得契約」、AC間の契約を「転売契約」と呼ぶことにします。
※この規制は、いわゆる8つの規制の一種です。したがって、業者間取引には適用されません(同法78条2項)。
ア 誤り
工事完了後の物件ですから、BA間に甲宅地に関する取得契約が存在しない限り(【例外1】)、Cとの間で転売契約を締結することはできません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
取得契約が存在しない場合(宅建業法[15]3(1))
[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H26-31-イ | Aは、Bに売却予定の宅地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれていることが判明したため、甲市に払下げを申請中である。この場合、Aは、重要事項説明書に払下申請書の写しを添付し、その旨をBに説明すれば、売買契約を締結することができる。 | × |
2 | H21-31-ア | Aは、甲宅地の造成工事の完了後であれば、甲宅地の所有者Xから当該宅地を取得する契約の有無にかかわらず、Bとの間で売買契約を締結することができる。 | × |
3 | H13-34-エ | 競売開始決定がなされた自己の所有に属しない宅地について、裁判所による競売の公告がなされた後、入札前に、自ら売主として宅地建物取引業者でない者と当該宅地の売買契約を締結することは、宅地建物取引業法に違反しない。 | × |
4 | H11-34-1 | 当該建物の敷地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれていることが判明したため、甲市に払下げを申請中である場合、Aは、重要事項説明書に払下申請書の写しを添付し、その旨をBに説明すれば、売買契約を締結することができる。 | × |
5 | H 07-47-2 | Aは、自ら売主として、Xが換地処分後に取得する保留地予定地をBに販売するときには、あらかじめ、Xからその保留地予定地を取得する契約を締結しておかなければならない。 | ◯ |
イ 誤り
BA間に甲宅地の取得契約が締結されている場合には、AC間の転売契約を締結することができます(【例外1】)。
代金の全部を支払っていなかったとしても、問題はありません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
契約成立以外の要素(宅建業法[15]3(2))
[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H22-40-4 | 当該宅地が、Aの所有に属しない場合、Aは、当該宅地を取得する契約を締結し、その効力が発生している場合においても、当該宅地の引渡しを受けるまでは、Bとの間で売買契約を締結することができない。 | × |
2 | H21-31-イ | Aは、甲宅地の所有者Xから甲宅地を取得する契約が締結されているときであっても、その取得する契約に係る代金の一部を支払う前であれば、Bとの間で売買契約を締結することができない。 | × |
3 | H17-35-1 | 取得契約締結後であれば、登記移転を受ける前であっても、転売契約を締結できる。 | ◯ |
4 | H05-39-3 | 取得契約が締結されていても、物件の引渡しがすむまでの間は、転売契約を締結してはならない。 | × |
5 | H03-42-2 | 取得契約の代金支払完済前に転売契約をするのは、宅建業法に違反する。 | × |
ウ 正しい
宅建業法41条1項に規定する手付金等の保全措置とは、未完成物件に関する保全措置のことです。したがって、本肢に関しては、甲宅地は未完成物件(造成中の土地)であることが分かります。
だとすれば、手付金等の保全措置を講じることにより、転売契約の締結が可能になります(【例外2】)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
未完成物件につき保全措置を講じた場合(宅建業法[15]4)
[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で売買契約を締結した。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H21-31-ウ | Aは、甲宅地の売買が宅地建物取引業法第41条第1項に規定する手付金等の保全措置が必要な売買に該当するとき、Bから受け取る手付金について当該保全措置を講じておけば、Bとの間で売買契約を締結することができる。 | ◯ |
2 | H09-45-4 | AがBから受け取る手付金について宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは、Aと宅地の所有者Xとの間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず、Aは、Bと売買契約を締結できる。 | × |
まとめ
以上より、アとイが誤っています。正解は、肢1。
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