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- Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。
- AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。
- Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。
- AB間の売買契約が、Bが意思表示の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
正解:3
設定の確認
1 誤り
A→Cの譲渡とA→Bの譲渡は、二重譲渡の関係になっています。この場合、CとBとの優劣を決定するのは、登記の有無です(民法177条)。契約締結日時の先後で判定するわけではありません。
したがって、Cは、登記を備えない限り、Bに対して甲土地の所有権を主張することはできません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R04-01-2 | 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、背信的悪意者ではないCが当該不動産をAから二重に買い受けた場合、先に買い受けたBは登記が未了であっても当該不動産の所有権取得をもってCに対抗することができる。 | × |
2 | H29-11-1 | A所有の甲土地につき、令和XX年10月1日にBとの間で賃貸借契約が締結された。Aが甲土地につき、本件契約とは別に、同年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。 | × |
3 | H28-03-1 | AがA所有の甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。 | × |
4 | H24-06-3 | Aが甲土地をBとCとに対して二重に譲渡してBが所有権移転登記を備えた場合に、AC間の売買契約の方がAB間の売買契約よりも先になされたことをCが立証できれば、Cは、登記がなくても、Bに対して自らが所有者であることを主張することができる。 | × |
5 | H22-04-1 | CもAから甲土地を購入しており、その売買契約書の日付とAB間の売買契約書の日付が同じである場合、登記がなくても、契約締結の時刻が早い方が所有権を主張することができる。 | × |
6 | H19-03-4 | Aを所有者とする甲土地につき、AがBとの間で令和XX年10月1日に、Cとの間で同年10月10日に、それぞれ売買契約を締結した場合、B、C共に登記を備えていないときには、先に売買契約を締結したBがCに対して所有権を主張することができる。 | × |
2 誤り
- 買主Bが売主Aをだます
- 売主Aが買主Bに売却
- 買主Bが第三者Dに売却
- 売主Aが詐欺を理由に取消し
というプロセスをたどっているので、売却を受けた第三者Dは、詐欺による取消し前の第三者にあたります。
この場合、売主Aは、契約の取消しを善意無過失の第三者に対抗することができません(民法96条3項)。逆にいえば、第三者が善意でも過失があったり、悪意である場合、取消しを対抗することが可能です。
本肢は、「詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、……主張することができない」とする点が誤っています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
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1 | R01-02-2 | [AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。 | ◯ |
2 | 28-03-2 | 売主Aが買主Bの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。 | × |
3 | 14-01-4 | 買主が建物を、詐欺について善意無過失の第三者に転売して所有権移転登記を済ませても、売主は詐欺による取消しをして、第三者から建物の返還を求めることができる。 | × |
4 | 08-05-1 | 第三者が移転登記を受ける際に、売買契約が買主の詐欺に基づくものであることを知らず、かつ、知ることができなかった場合で、当該登記の後に売主により売主・買主間の売買契約が、取り消されたとき、第三者は、売主に対して土地の所有権を対抗できる。 | ◯ |
5 | 01-03-1 | A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している場合、Aが、Bにだまされて土地を売ったので、その売買契約を取り消したときは、そのことを善意無過失のCに対し対抗することができる。 | × |
3 正しい
BとEとの関係は、肢1と同様、二重譲渡の関係にあるようにも見えます。
しかし、Eは、Bが登記を備えていないのに乗じ、Bに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を得たのですから、背信的悪意者に該当します(最判昭43.08.02)。つまり、Eは、Bに登記がないことを主張する正当な利益を有していないため、民法177条の「第三者」にあたりません。
したがって、Eは、登記を備えてはいるものの、Bに対して甲地の所有権を主張することができません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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単純悪意者 | |||
1 | R04-01-4 | 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け登記を完了した場合、Cが背信的悪意者に該当しなくてもBが登記未了であることにつき悪意であるときには、Cは当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができない。 | × |
1 | H15-03-1 | Aは、自己所有の甲地をBに売却し引き渡したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。Cが、AB間の売買の事実を知らずにAから甲地を買い受け、所有権移転登記を得た場合、CはBに対して甲地の所有権を主張することができる。 | ◯ |
2 | HH03-04-1 | AからBが土地を譲り受けたが、その未登記の間に、Cがその事情を知りつつ、Aからその土地を譲り受けて、C名義の所有権移転登記をした場合、Bは、その所有権をCに対抗することができない。 | ◯ |
背信的悪意者 | |||
1 | R04-01-1 | 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受けて登記を完了した場合、Cは、自らが背信的悪意者に該当するときであっても、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができる。 | × |
2 | R04-01-3 | 所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、背信的悪意者であるCが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合、DもBに対する関係で背信的悪意者に該当するときには、Dは当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができない。 | ◯ |
3 | 28-03-3 | Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Cがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、CはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。 | ◯ |
4 | H24-06-4 | Aが甲土地をBとCとに対して二重に譲渡した場合において、Bが所有権移転登記を備えない間にCが甲土地を善意のDに譲渡してDが所有権移転登記を備えたときは、Cがいわゆる背信的悪意者であっても、Bは、Dに対して自らが所有者であることを主張することができない。 | ◯ |
5 | H15-03-2 | Aは、自己所有の甲地をBに売却し引き渡したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。Cが、Bを欺き著しく高く売りつける目的で、Bが所有権移転登記を行っていないことに乗じて、Aから甲地を買い受け所有権移転登記を得た場合、CはBに対して甲地の所有権を主張することができない。 | ◯ |
6 | H10-01-2 | Aの所有する土地をBが取得したが、Bはまだ所有権移転登記を受けていない。Bが移転登記を受けていないことに乗じ、Bに高値で売りつけ不当な利益を得る目的でAをそそのかし、Aから当該土地を購入して移転登記を受けた者に対して、Bは、当該土地の所有権を主張することができる。 | ◯ |
7 | H07-02-2 | Aの所有する土地をBが取得した後、Bが移転登記をする前に、CがAから登記を移転した。BがAから甲土地を購入した後、CがBを強迫して登記の申請を妨げ、CがAから購入して登記をC名義に移転した場合、Bは、Cに対して甲土地の所有権を主張できる。 | ◯ |
8 | H07-02-3 | Aの所有する土地をBが取得した後、Bが移転登記をする前に、CがAから登記を移転した。BがAから甲土地を購入し、登記手続きをCに委任したところ、Cが登記をC名義に移転した場合、Bは、Cに対して甲土地の所有権を主張できる。 | ◯ |
4 誤り
■動機の錯誤
表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤を動機の錯誤といいます(民法95条1項2号)。動機の錯誤は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限って、取消しの対象になります(同条2項)。
(本肢では、表示の有無が明らかになっていません。)
■表意者以外による取消し主張
錯誤による取消しの制度は、錯誤に陥った表意者Bを保護する制度です。したがって、取消権を有するのも表意者側に限られます。相手方であるAのほうから取り消すことはできません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02-06-2 | Aは、自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み、Bに対し「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言ったところ、BはAの言葉を信じ「それなら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合 | × |
2 | R02-06-3 | Aは、自己所有の時価100万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と言ったところ、Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合 | ◯ |
3 | H28-03-4 | AB間の売買契約が、Bが意思表示の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。 | × |
4 | H23-01-1 | A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された。Bは、甲土地は将来地価が高騰すると勝手に思い込んで売買契約を締結したところ、実際には高騰しなかった場合、意思表示の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤を理由に本件売買契約を取り消すことができる。 | × |
5 | H21-01-3 | 意思表示をなすについての動機を表意者が当該意思表示の基礎とし、かつ、その旨を相手方に明示的に表示した場合は、表意者は、意思表示を取り消すことができる。 | ◯ |
6 | H21-01-4 | 意思表示をなすについての動機を表意者が当該意思表示の基礎としたが、その旨を相手方に黙示的に表示したにとどまる場合は、表意者は、意思表示を取り消すことができない。 | × |
7 | H17-02-2 | AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった。錯誤が、法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤であり、その事情をAがBに対して法律行為の基礎として表示した場合であっても、Aは、この売却の意思表示を取り消すことができない。 | × |
8 | H13-02-3 | Aが、Bに住宅用地を売却した。Aが、今なら課税されないと信じていたが、これをBに話さないで売却した場合、後に課税されたとしても、Aは、錯誤を理由に売買契約を取り消すことはできない。 | ◯ |
[共通の前提]
AがBにAの所有する甲土地を売却した。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02s-07-4 | 本件契約が、Aの重大な過失による錯誤に基づくものであり、その錯誤が重要なものであるときは、Aは本件契約の無効を主張することができる。 | × |
2 | H28-03-4 | AB間の売買契約が、Bが意思表示の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。 | × |
3 | H25-01-1 | 意思表示に法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があった場合、表意者は取り消すことができる。 | ◯ |
4 | H23-01-1 | Bは、甲土地は将来地価が高騰すると勝手に思い込んで売買契約を締結したところ、実際には高騰しなかった場合、意思表示の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤を理由に本件売買契約を取り消すことができる。 | × |
[共通の前提]
Aが、Bに甲土地を売却した。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H30-01-2 | AがBに甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって取消しを主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として取消しを主張することはできない。 | ◯ |
2 | H28-03-4 | AB間の売買契約が、Bが意思表示の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。 | × |
3 | H21-01-2 | 表意者自身において、その意思表示に瑕疵を認めず、民法第95条に基づく意思表示の取消しを主張する意思がない場合は、第三者がその意思表示の取消しを主張することはできない。 | ◯ |
4 | H17-02-4 | AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった。錯誤を理由としてこの売却の意思表示を取り消すことができる場合、意思表示者であるAがその錯誤を認めていないときは、Bはこの売却の意思表示を取り消すことができる。 | × |
5 | H13-02-2 | 売買契約に重要な錯誤があった場合は、Bに代金を貸し付けたCは、Bがその錯誤を認めず、売買契約を取り消す意思がないときでも、Aに対し、Bに代位して、売買契約を取り消すことができる。 | × |
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