民法[02]意思と表示の不一致

「土地を買う意思がないのに、『買う』と表示(発言)した。」というように、意思と表示が一致していないケースについて勉強します。
具体的には、心裡留保、虚偽表示、錯誤という3パターンがあります。それぞれについて、有効か無効か、原則と例外を押さえていきましょう。
また、意思表示の無効を第三者に対して主張(対抗)できるか、というのも、重要テーマです。

1.意思と表示の関係

(1).意思と表示の一致

(2).意思と表示の不一致

2.心裡留保

(1).心裡留保とは

表意者がその真意ではないことを知ってした意思表示

(2).効果
①原則

有効

②例外

無効
相手方が、表意者の真意を知り、又は知ることができたとき
(悪意or善意有過失)
★過去の出題例★

民法[02]2
心裡留保
 年-問-肢内容正誤
119-01-1表意者の意思表示が真意でないことを相手方が知っていても、契約は有効に成立する。×
216-01-1表意者の意思表示が真意でないことを相手方が知っていても、契約は有効である。×
310-07-3表意者が真意でないと認識しながら意思表示を行い、相手方がその真意を知っていた場合、表意者は意思表示の無効を主張できる。

3.虚偽表示

(1).虚偽表示とは

相手方と通じてした虚偽の意思表示

(2).当事者間の効果

無効
★過去の出題例★

民法[02]3(2)
虚偽表示:当事者間の効果
 年-問-肢内容正誤
119-01-2仮装の売買契約でも、売主の動機が債権者の差押えを逃れることにあると買主が知っていた場合、契約は有効に成立する。×
216-01-2強制執行を逃れるため、売り渡す意思がないのに売買契約を装った場合、契約は無効である。
312-04-1通謀虚偽表示の買主が登記を受けていても、売主は、買主に対し、契約の無効を主張できる。
409-07-4税金逃れのために土地の所有名義を移転することは、不法原因給付に当たるので、売主は、買主に対し、登記抹消と土地返還を求めることはできない。×
502-04-4通謀虚偽表示は当事者間では無効だが、善意無過失の転得者には所有権を主張できない。
(3).第三者に対する効果


★過去の出題例★

民法[02]3(3)
虚偽表示:第三者に対する効果

 年-問-肢内容正誤
127-02-1善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない 。
227-02-2善意のCが、Bとの間で、Bが甲土地上に建てた乙建物の賃貸借契約(貸主B、借主C)を締結した場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない 。×
327-02-3Bの債権者である善意のCが、甲土地を差し押さえた場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない 。
427-02-4甲土地がBから悪意のCへ、Cから善意のDへと譲渡された場合、AはAB間の売買契約の無効をDに主張することができない 。
524-01-1Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、B名義の甲土地を差し押さえたBの債権者Cは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。
624-01-2Aが所有する甲土地につき、AとBの間には債権債務関係がないにもかかわらず、両者が通謀の上でBのために抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に、Bに対する貸付債権を担保するためにBから転抵当権の設定を受けた債権者Cは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。
724-01-3Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲土地の所有権を有しているものと信じてBに対して金銭を貸し付けたCは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。×
824-01-4AとBが通謀の上で、Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約を仮装した場合に、当該仮装債権をAから譲り受けたCは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。
922-04-4第三者は、善意悪意によらず、所有権を主張できない。×
1020-02-2仮装売買の売主→虚偽表示に善意無過失だが登記を備えていない第三者|対抗できる。×
1115-03-4土地の買主B(未登記)→Bと二重譲渡の関係に立ち登記を有する仮想譲渡の買主F|土地所有権を主張できる。
1212-04-2善意無過失で未登記の第三者→売主|対抗できる。
1312-04-3(Aが、債権者の差押えを免れるため、Bと通謀して、A所有地をBに仮装譲渡)
DがAからこの土地の譲渡を受けた場合には、所有権移転登記を受けていないときでも、Dは、Bに対して、その所有権を主張することができる。
1412-04-4(Aが、債権者の差押えを免れるため、Bと通謀して、A所有地をBに仮装譲渡)
Eが、AB間の契約の事情につき善意無過失で、Bからこの土地の譲渡を受け、所有権移転登記を受けていない場合で、Aがこの土地をFに譲渡したとき、Eは、Fに対して、その所有権を主張することができる。
×
1507-02-1土地の買主B→Bと二重譲渡の関係に立ち登記を有する仮想譲渡の買主C|登記がなければ土地所有権を主張できない。×
1607-04-1仮想譲渡の売主→悪意の抵当権設定者|抵当権設定の無効を主張できる。
1707-04-2仮想譲渡の売主→善意有過失の転得者|所有権を主張できる。×
1807-04-4仮想譲渡の売主→悪意の転得者|対抗可、
仮想譲渡の売主→悪意の転得者から取得した善意の転得者|対抗不可。
1905-03-1売主→善意の第三者に対抗可。×
2005-03-2売主の善意の債権者→善意の転得者に対抗可。×
2105-03-3売主→善意で未登記の第三者に対抗可。×
2205-03-4善意の転得者→売主に対抗可。
2303-04-3Aの所有地にFがAに無断でF名義の所有権移転登記をし、Aがこれを知りながら放置していたところ、FがF所有地として善意無過失のGに売り渡し、GがG名義の所有権移転登記をした場合、Aは、その所有権をGに対抗することができない。
2402-04-4通謀虚偽表示は当事者間では無効だが、善意無過失の転得者には所有権を主張できない。

4.錯誤

(1).錯誤とは

表意者の意思と表示が違っており、そのことにつき表意者が知らないケース

(2).効果
①原則

無効

②例外

有効

★過去の出題例★

民法[02]4(2)①
錯誤:効果
 年-問-肢内容正誤
128-03-4
売主Aと買主Bとの間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
×
225-01-1意思表示に要素の錯誤があった場合、表意者は取り消すことができる旨は、民法の条文に規定されている。×
323-01-1動機の錯誤を理由に契約を取り消すことができる。×
民法[02]4(2)②
錯誤:要素の錯誤
 年-問-肢内容正誤
117-02-1要素の錯誤を理由に、意思表示が無効となることはない。×
213-02-1要素の錯誤に該当し、重過失がない場合、無効の主張ができる。
310-07-4要素の錯誤があれば無効主張できるが、重過失ある場合には主張できない。
402-04-3売主Aが要素の錯誤により契約をした場合、Aは、重大な過失がないときは、Aと買主B間の契約の無効を主張し、転得者Cに対して所有権を主張することができる。
民法[02]4(2)②
錯誤:重過失がある場合

 年-問-肢内容正誤
121-01-1表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
217-02-3表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
313-02-1要素の錯誤に該当し、重過失がない場合、無効の主張ができる。
413-02-4表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
510-07-4要素の錯誤があれば無効主張できるが、重過失ある場合には主張できない。
606-02-2無過失のときに限り、錯誤無効を主張できる。×
702-04-3売主Aが要素の錯誤により契約をした場合、Aは、重大な過失がないときは、Aと買主B間の契約の無効を主張し、転得者Cに対して所有権を主張することができる。
(3).動機の錯誤


★過去の出題例★

民法[02]4(3)
錯誤:動機の錯誤

 年-問-肢内容正誤
128-03-4
売主Aと買主Bとの間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
×
223-01-1動機が表示されない場合でも、動機の錯誤を主張できる。×
321-01-3動機は、明示的に表示された場合、法律行為の要素となる。
421-01-4動機は、黙示的に表示された場合、法律行為の要素とならない。×
517-02-2動機が表示された場合でも、意思表示が無効となることはない。×
613-02-3動機が表示されない場合、錯誤無効を主張できない。
(4).表意者以外による無効主張

①表意者が錯誤を認めていない
②表意者に無効主張の意思がない
→表意者以外による主張×
★過去の出題例★

民法[02]4(2)
錯誤:表意者以外による無効主張

 年-問-肢内容正誤
128-03-4
売主Aと買主Bとの間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
×
221-01-2表意者に無効主張の意思がない場合、第三者が無効主張できない。
317-02-4表意者が錯誤を認めていない場合でも、相手方が無効主張できる。×
413-02-2表意者が錯誤を認めず、無効主張の意思がない場合、表意者の債権者が債権者代位権を行使できる。×

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【動画講義を御覧になる方法】
【必須資料】『一問一答式問題』(権利関係)
DVD通信講座「実戦応用編講座」(全22巻)22,000円(税別)
ニコニコチャンネル1講義100円or月額1,500円(税別)

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