相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。
- 家庭裁判所への相続放棄の申述は、被相続人の生前には行うことができない。
- 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。
- 相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。
正解:3
1 正しい
被相続人の生前(=相続開始前)でも、家庭裁判所の許可を受ければ、遺留分を放棄することができます(民法1049条1項)。
遺留分の放棄(民法[33]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-02-1 | 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。 | ◯ |
2 | R04-02-3 | 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。 | × |
3 | H20-12-2 | 相続開始前でも、書面で意思表示すれば、遺留分を放棄できる。 | × |
4 | H09-10-4 | 相続開始前に、家裁の許可を得て遺留分を放棄した場合でも、遺産を相続する権利を失わない。 | ◯ |
5 | H02-11-4 | 被相続人の生前に相続人Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。 | ◯ |
2 正しい
相続の放棄をする者は、その旨を家庭裁判所に申述する必要があります(民法938条)。相続の放棄(又は単純承認や限定承認)ができるのは、相続人が相続開始を知った時から3か月の熟慮期間内です(同法915条1項)。逆にいうと、被相続人の生前(=相続開始前)に相続放棄の申述を行うことはできません。
☆「相続の放棄」というテーマは、問03肢2でも出題されています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
相続の放棄(民法[31]4(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-02-2 | 家庭裁判所への相続放棄の申述は、被相続人の生前には行うことができない。 | ◯ |
2 | R04-03-2 | 相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。 | ◯ |
3 | H14-12-1 | 相続の放棄をする場合、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。 | ◯ |
4 | H14-12-4 | 被相続人の子が、相続の開始後に相続放棄をした場合、その者の子がこれを代襲して相続人となる。 | × |
[共通の設定] Aが、5,000万円相当の土地と5,500万円の負債を残して死亡した。Aには、弟B、母C、配偶者D及びDとの間の子E・F・G並びにEの子Hがいる。 | |||
5 | h05-13-2 | Eが相続放棄をしたときは、Hが、代襲して相続人となる。 | × |
6 | h05-13-3 | E・F及びGが相続放棄をしたときは、B及びCが、Dとともに相続人となる。 | × |
7 | h05-13-4 | E・F及びGが相続放棄をしたときは、Cは、相続開始のときから3ヵ月以内に単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。 | × |
3 誤り
(肢1参照。)
被相続人の生前であっても、家庭裁判所の許可を受ければ、遺留分を放棄することができます(民法1049条1項)。しかし、遺留分を放棄したからといって、相続を放棄したわけではありません。相続人の地位を失うわけではないので、被相続人の遺産を相続する権利を失いません。
※この場合の相続人は、「被相続人が『特定の相続人に全財産を相続させる。』というような遺言を残したとしても、私は遺留分を要求したりしません。しかし、特に遺言がなければ、法定相続分通りの相続をします。」という状況です。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
遺留分の放棄(民法[33]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-02-1 | 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。 | ◯ |
2 | R04-02-3 | 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。 | × |
3 | H20-12-2 | 相続開始前でも、書面で意思表示すれば、遺留分を放棄できる。 | × |
4 | H09-10-4 | 相続開始前に、家裁の許可を得て遺留分を放棄した場合でも、遺産を相続する権利を失わない。 | ◯ |
5 | H02-11-4 | 被相続人の生前に相続人Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。 | ◯ |
4 正しい
遺留分を主張することができるのは、法定相続人のうち、被相続人の配偶者・直系卑属・直系尊属に限られます(民法1042条1項)。兄弟姉妹は、法定相続人であっても、遺留分権利者ではありません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
遺留分権利者(民法[33]2(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 24-10-4 | 甥姪は遺留分を主張できない。 | ◯ |
2 | 18-12-2 | 配偶者・子は遺留分主張可能。兄弟姉妹は不可。 | ◯ |
3 | 17-12-4 | 配偶者に全財産を相続させる遺言がある場合、子は遺留分権利者とならない。 | × |
4 | 09-10-1 | 配偶者・兄弟姉妹が遺留分を主張できる。 | × |
5 | 04-13-2 | 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、被相続人の兄弟姉妹は、遺留分の保全に必要な限度で、遺留分侵害額の支払を請求することができる。 | × |
6 | 02-11-3 | Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる場合、Eの遺留分は、被相続人Aの財産の1/12の額である。 | ◯ |
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