【宅建過去問】(平成09年問10)遺留分
遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているのはどれか。
- 被相続人Aの配偶者BとAの弟Cのみが相続人であり、Aが他人Dに遺産全部を遺贈したとき、Bの遺留分は遺産の3/8、Cの遺留分は遺産の1/8である。
- 遺留分侵害額の請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。
- 相続が開始して9年6箇月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6箇月以内であれば、遺留分侵害額の請求をすることができる。
- 被相続人Eの生前に、Eの子Fが家庭裁判所の許可を得て遺留分の放棄をした場合でも、Fは、Eが死亡したとき、その遺産を相続する権利を失わない。
正解:1
1 誤り
兄弟姉妹には遺留分がない(民法1042条1項)。したがって、本肢のCは、遺留分を主張できず、遺留分を有するのは、配偶者Bのみである。
※配偶者のみが遺留分権利者の場合、遺留分(全体)は、被相続人の財産の1/2である(民法1042条1項2号)。そして、遺留分権利者はBだけだから、その全てがBの遺留分となる。
■参照項目&類似過去問
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遺留分権利者(民法[33]2(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 24-10-4 | 甥姪は遺留分を主張できない。 | ◯ |
2 | 18-12-2 | 配偶者・子は遺留分主張可能。兄弟姉妹は不可。 | ◯ |
3 | 17-12-4 | 配偶者に全財産を相続させる遺言がある場合、子は遺留分権利者とならない。 | × |
4 | 09-10-1 | 配偶者・兄弟姉妹が遺留分を主張できる。 | × |
5 | 04-13-2 | 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、被相続人の兄弟姉妹は、遺留分の保全に必要な限度で、遺留分侵害額の支払を請求することができる。 | × |
6 | 02-11-3 | Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる場合、Eの遺留分は、被相続人Aの財産の1/12の額である。 | ◯ |
2 正しい
遺留分侵害額請求権は、受贈者または受遺者に対する意思表示によって行使すれば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はない(民法1046条。最判昭41.07.14)。
■参照項目&類似過去問
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遺留分侵害額請求(民法[33]3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 20-12-1 | 相続人の一部の遺留分を侵害する被相続人の遺言は、その限度で当然に無効である。 | × |
2 | 12-10-2 | Aは、「Aの財産をすべてBに遺贈する。CはBに対して遺留分侵害額の請求をしてはならない」旨の遺言をして、CをAの相続から排除することができる。 | × |
3 | 12-10-4 | Aは、「Aの乙建物を子Cに相続させる」旨の遺言をした場合で、子Bの遺留分を害しないとき、これをC単独の所有に帰属させることができる。 | ◯ |
4 | 09-10-2 | 遺留分侵害額の請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。 | ◯ |
5 | 07-11-2 | [Aが死亡し、相続人はAの子であるC・Dのみ。]Aが遺産の全部をCに遺贈した場合、DからCに対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。 | ◯ |
6 | 02-11-2 | Aが遺産を子Cに遺贈していた場合、その遺贈は、配偶者B、子D及び子Eの遺留分を侵害した部分について、効力を生じない。 | × |
3 正しい
遺留分侵害額請求権は、以下の場合に時効消滅する(民法1048条)。
本肢のケースでは、6か月以内に減殺請求をすれば、上の1と2の双方をみたしている。
■参照項目&類似過去問
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遺留分侵害額請求の期間制限(民法[33]3(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 20-12-3 | [Aには、相続人となる子BとCがいる。]Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは遺留分侵害額を請求することができる。 | ◯ |
2 | 09-10-3 | 相続が開始して9年6箇月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6箇月以内であれば、遺留分侵害額の請求をすることができる。 | ◯ |
4 正しい
家庭裁判所の許可を受ければ、相続の開始前に遺留分を放棄することができる(民法1049条1項)。しかし、この場合であっても、Fは、遺留分を放棄しただけであって、相続を放棄したわけではない。したがって、相続人である地位を失うわけではない。
■参照項目&類似過去問
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遺留分の放棄(民法[33]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-02-1 | 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。 | ◯ |
2 | R04-02-3 | 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。 | × |
3 | H20-12-2 | 相続開始前でも、書面で意思表示すれば、遺留分を放棄できる。 | × |
4 | H09-10-4 | 相続開始前に、家裁の許可を得て遺留分を放棄した場合でも、遺産を相続する権利を失わない。 | ◯ |
5 | H02-11-4 | 被相続人の生前に相続人Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。 | ◯ |
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