借主Aは、B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し、敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが、当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
- 賃貸借契約が終了した場合、建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず、Aの建物明渡しはBから敷金の返還された後に行えばよい。
- 賃貸借契約期間中にBが建物をCに譲渡した場合で、Cが賃貸人の地位を承継したとき、敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。
- 賃貸借契約期間中にAがDに対して賃借権を譲渡した場合で、Bがこの賃借権譲渡を承諾したとき、敷金に関する権利義務は当然にDに承継される。
- 賃貸借契約が終了した後、Aが建物を明け渡す前に、Bが建物をEに譲渡した場合で、BE間でEに敷金を承継させる旨を合意したとき、敷金に関する権利義務は当然にEに承継される。
正解:2
1 誤り
敷金は目的物(建物)明渡義務を履行するまでの賃貸人の賃借人に対する全ての債権を担保するものである。したがって、明渡義務が先履行義務であり、明渡すまでは敷金の返還請求権が発生しない(民法622条の2第1項)
したがって、建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たない(最判昭49.09.02)。
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同時履行の抗弁権:敷金に関連する債務([22]2(3)①)
同時履行の抗弁権:敷金に関連する債務([26]8(2))
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年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-12-4 | 甲建物の賃借人Aが賃貸人Bに対して敷金を差し入れている場合、本件契約が期間満了で終了するに当たり、Bは甲建物の返還を受けるまでは、Aに対して敷金を返還する必要はない。 | ◯ |
2 | R03-01-2 | 賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、1個の双務契約によって生じた対価的債務の関係にあるものといえる。 | × |
3 | R03-01-4 | 賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務の間に同時履行の関係を肯定することは、家屋の明渡しまでに賃貸人が取得する一切の債権を担保することを目的とする敷金の性質にも適合する。 | × |
4 | R02-04-3 | 賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。 | ◯ |
5 | H27-08-ア | マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。 | × |
6 | H15-11-1 | 建物の賃貸借契約が終了した場合、建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず、賃借人の建物明渡しは賃貸人から敷金の返還された後に行えばよい。 | × |
7 | H13-09-3 | 賃貸借契約が終了した場合、建物明渡債務と敷金返還債務とは常に同時履行の関係にあり、Aは、敷金の支払と引換えにのみ建物を明け渡すと主張できる。 | × |
2 正しい
賃貸人たる地位が譲受人に移転したときは、敷金の返還に関する債務は、譲受人が承継する(民法605条の2第3項)。
※賃借権の譲渡(肢3)の場合との違いに注意!!
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賃貸人の変更と敷金(民法[26]8(3)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-12-2 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約が締結された。甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。 | ◯ |
2 | 20-10-2 | 賃貸中の建物が譲渡された場合、賃借人の承諾がなくても、敷金返還債務は新所有者に承継される。 | ◯ |
3 | 15-11-2 | 賃貸借契約期間中に建物が譲渡された場合で、譲受人が賃貸人たる地位を承継したとき、敷金に関する権利義務も当然承継される。 | ◯ |
4 | 15-11-4 | 賃貸借契約が終了した後、借主が建物を明け渡す前に、貸主が建物を第三者に譲渡した場合で、貸主と譲受人との間で譲受人に敷金を承継させる旨を合意したとき、敷金に関する権利義務は当然に譲受人に承継される。 | × |
5 | 11-14-4 | 賃貸借契約期間中に建物が売却され、賃貸人たる地位を譲受人に承継した場合、賃借人の承諾がない限り敷金返還債務は承継されない。 | × |
6 | 06-10-3 | 貸主が第三者に建物を譲渡し、譲受人が賃貸人となった場合、貸主に差し入れていた敷金は、借主の未払賃料を控除した残額について、権利義務関係が譲受人に承継される。 | ◯ |
7 | 02-13-2 | 賃借人が賃貸人に敷金を差し入れていた場合、建物の譲受人は、賃貸人からその敷金を受領しない限り、賃借人に対する敷金返還債務を引き継がない。 | × |
3 誤り
賃貸借契約期間中に賃借権の譲渡が生じた場合において、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾したとしても、敷金に関する権利義務は当然には新賃借人に承継されない(最判昭53.12.22)。
※賃貸人の地位の移転(肢2)の場合との違いに注意!!
■参照項目&類似過去問
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賃借人の変更と敷金(民法[26]8(3)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 20-10-3 | 賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権は、旧賃借人から新賃借人に承継されない。 | ◯ |
2 | 15-11-3 | 賃借権の譲渡を賃貸人が承諾した場合、敷金に関する権利義務は当然新賃借人に承継される。 | × |
3 | 06-10-4 | 借主が未払賃料を支払って、貸主の承諾を得て賃借権を第三者に譲渡した場合、借主が譲受人に敷金返還請求権を譲渡する等しなくても、敷金に関する権利義務関係は、譲受人に承継される。 | × |
4 誤り
賃貸借契約が終了した後、賃借人が建物を明け渡す前に、賃貸人が建物を第三者に譲渡した場合において、賃貸人と第三者で第三者に敷金を承継させる旨を合意したとしても、敷金に関する権利義務は第三者に承継されない(最判昭48.02.02)。
■参照項目&類似過去問
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賃貸人の変更と敷金(民法[26]8(3)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-12-2 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約が締結された。甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。 | ◯ |
2 | 20-10-2 | 賃貸中の建物が譲渡された場合、賃借人の承諾がなくても、敷金返還債務は新所有者に承継される。 | ◯ |
3 | 15-11-2 | 賃貸借契約期間中に建物が譲渡された場合で、譲受人が賃貸人たる地位を承継したとき、敷金に関する権利義務も当然承継される。 | ◯ |
4 | 15-11-4 | 賃貸借契約が終了した後、借主が建物を明け渡す前に、貸主が建物を第三者に譲渡した場合で、貸主と譲受人との間で譲受人に敷金を承継させる旨を合意したとき、敷金に関する権利義務は当然に譲受人に承継される。 | × |
5 | 11-14-4 | 賃貸借契約期間中に建物が売却され、賃貸人たる地位を譲受人に承継した場合、賃借人の承諾がない限り敷金返還債務は承継されない。 | × |
6 | 06-10-3 | 貸主が第三者に建物を譲渡し、譲受人が賃貸人となった場合、貸主に差し入れていた敷金は、借主の未払賃料を控除した残額について、権利義務関係が譲受人に承継される。 | ◯ |
7 | 02-13-2 | 賃借人が賃貸人に敷金を差し入れていた場合、建物の譲受人は、賃貸人からその敷金を受領しない限り、賃借人に対する敷金返還債務を引き継がない。 | × |
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