民法[26]契約の解除

解除とは、契約の一方当事者の意思表示によって、いったんは有効に成立した契約の効力を解消し、その契約が初めから存在しなかった状態にすることをいいます。
例えば、土地の売買契約をしたのに約束した期日になっても買主が代金を支払わない、とします。この場合、売主は、買主に対し相当期間を定めて催告し、それでも買主が履行しない場合には、契約を解除することができます。

1.契約の解除とは

(1).意味

契約の一方当事者の意思表示によって、
いったんは有効に成立した契約の効力を解消し、
その契約が初めから存在しなかった状態にする

(2).具体例

土地の売買契約において買主に債務不履行(代金の一部未払い)があった場合、売主から契約を解除することができる

2.解除の要件

(1).履行遅滞の場合
①履行遅滞の要件(⇒[16]2(1)

②解除権発生の要件



★過去の出題例★

民法[26]2(1)
解除の要件(履行遅滞)
 年-問-肢内容正誤
122-12-2賃貸借契約において、借主が貸主との間の信頼関係を破壊し、契約の継続を著しく困難にした場合であっても、売主が契約解除するためには、催告が必要である。×
218-08-2売主が一旦履行を提供すれば、これを継続しなくても、買主に対し相当期間を定めて履行を催告し、期間内に履行しないときは解除できる。
310-08-1売主が履行期に引渡しをしない場合、買主は代金支払債務の履行の提供をしなくても、催告のうえ契約を解除できる。×
408-09-1建物の買主は、自らの履行期前でも、代金を提供して物件の引渡しを請求し、売主が応じない場合は、契約を解除できる。×
508-09-3売主が、買主の代金支払いの受領を拒否していないが、履行期に物件の引渡しをしない場合、買主は、売主に催告するだけで売買契約を解除できる。×
605-07-1売主が履行の提供をしても、買主が代金支払いをしない場合、売主は、相当期間を定めて履行を催告し、期間内に履行がない場合は、契約解除と損害賠償請求ができる。
705-07-2催告期間が不相当に短いときでも、催告から客観的に相当の期間を経過しても買主の履行がないときは、売主は、改めて催告しなくても、その契約を解除することができる。
805-07-4売主が履行の提供をしても、買主が代金支払いをしない場合、売主が相当期間を定めて履行を催告する際に「履行がないときは、解除の意思表示なしに解除する」と意思表示をしても、解除の際には、改めて解除の意思表示が必要である。×
904-08-2買主が支払期日に代金を支払わない場合、売主は、不動産の引渡しについて履行の提供をしなくても、催告をすれば、当該契約を解除することができる。×
1001-09-3所有権移転登記後、引渡し前に、売買契約の目的物である家屋が、売主の失火によって焼失した場合、その契約は失効する。×
(2).履行不能の場合
①履行不能の要件(⇒[16]2(2)

②解除権発生の要件

履行不能=解除権発生(催告不要)

★過去の出題例★

民法[26]2(2)
履行不能による解除権
 年-問-肢内容正誤
110-08-3(Aが、Bに建物を3,000万円で売却した。)Bが代金を支払った後Aが引渡しをしないうちに、Aの過失で建物が焼失した場合、Bは、Aに対し契約を解除して、代金の返還、その利息の支払い、引渡し不能による損害賠償の各請求をすることができる。
(3).履行遅滞となった後、目的物が滅失した場合


■危険負担の問題ではない⇒[25]4(2)
★過去の出題例★

民法[26]2(3)
解除の要件:履行遅滞となった後、目的物が滅失した場合
 年-問-肢内容正誤
108-11-4買主が代金の支払を終えたのに、物件の引渡しを請求しても売主が応じない場合、建物が地震で全壊したときは、買主は、契約を解除して代金返還を請求することができない。×
201-09-4所有権移転登記が完了し、引渡し期日が過ぎたのに、売主が売買契約の目的物である家屋の引渡しをしないでいたところ、その家屋が類焼によって滅失した場合、買主は、契約を解除することができる。

3.解除権の行使

(1).意思表示

・意思表示が必要
・撤回できない
★過去の出題例★

民法[26]3(1)
解除権の行使:意思表示
 年-問-肢内容正誤
114-08-1売買契約の解除権を有する売主は、契約を解除せず、買主に対して代金の支払いを請求し続けることができる。
205-07-3解除権を行使した場合、その意思表示を撤回することはできない。
304-08-3解除権行使の条件がみたされても、解除の意思表示をしない限り、契約は解除されない。
(2).解除権の不可分性
①原則

当事者の全員から、当事者の全員に対して意思表示が必要

②【例外】共有物に関する賃貸借契約の解除


契約の解除
=利用・改良行為
→過半数で決定
★過去の出題例★

民法[26]3(2)①
解除権の不可分性
 年-問-肢内容正誤
117-08-3解除権者が死亡し、共同相続があった場合、共同相続人のうち1人だけでは契約を解除できず、共同相続人全員が共同で解除する必要がある。
217-08-4解除の相手方が死亡し、共同相続があった場合、解除権者が解除するには共同相続人全員に対して行わなければならない。
例外:共有物に関する賃貸借契約の解除
119-04-2共有物に関する賃貸借契約の解除は、共有者の持分の過半数で決定できる。
203-05-2共有物に関する賃貸借契約の解除は、共有者(持分1/3)が単独ですることができる。×

4.解除の効果

(1).解除の効果

契約が初めから存在しなかった状態に戻る

①原状回復義務


★過去の出題例★

民法[26]4(1)①
解除の効果:原状回復義務
 年-問-肢内容正誤
121-08-2解除するまでの間に目的物を使用し収益を上げた場合でも、その利益を償還する義務はない。×
210-08-2解除するまでの間に目的物を使用した場合、目的物の返還だけでなく、使用料相当額を支払う必要がある。
②同時履行の抗弁権(⇒[24]2(1)①

原状回復義務相互の関係
=同時履行の関係
→双方に同時履行の抗弁権あり

★過去の出題例★

民法[24]2(3)
同時履行の抗弁権:契約の解除・取消し

民法[26]4(1)②も同様)
 年-問-肢内容正誤
127-08-イマンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない 。×
221-08-3債務不履行による解除の場合、債務不履行をした側の原状回復義務が先履行となり、同時履行の抗弁権を主張できない。×
315-09-4売買契約が詐欺を理由として有効に取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。
414-01-2詐欺による有効な取消しがなされたときには、登記の抹消と代金の返還は同時履行の関係になる。
511-08-2解除の際、一方当事者が原状回復義務の履行を提供しないとき、相手方は原状回復義務の履行を拒むことができる。
604-08-2買主が支払期日に代金を支払わない場合、売主は、不動産の引渡しについて履行の提供をしなくても、催告をすれば、当該契約を解除することができる。×
704-08-4第三者の詐欺を理由に買主が契約を取り消した場合、登記の抹消手続を終えなければ、代金返還を請求することができない。×
(2).損害賠償請求

解除に加えて、損害賠償請求も可能

★過去の出題例★

民法[26]4(2)
解除の効果:損害賠償請求
 年-問-肢内容正誤
121-08-4解除後、原状回復義務履行時までに目的物の価格が下落し損害を受けた場合、損害賠償請求はできない。×
217-09-2解除に加え、損害賠償請求はできない。×
314-08-2解除に加え、損害賠償請求ができる。
408-09-4解除に加え、損害賠償請求ができる。
505-07-1解除に加え、損害賠償請求ができる。
(3).第三者との関係
①解除後の第三者(⇒[08]2(3)①

状況 考え方
★過去の出題例★
民法[08]2(3)①
対抗問題:解除後の第三者

民法[26]4(3)①も同内容)
 年-問-肢内容正誤
120-02-3復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後の第三者に、所有権を主張できる。×
219-06-2復帰的物権変動につき未登記の売主は、登記を経た解除後の第三者に、所有権を対抗できない。
316-09-4復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後に物権を賃借し対抗要件を備えた賃借人に対し、賃借権の消滅を主張できる。×
413-05-3解除後に解除につき善意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できる。
508-05-4解除後に解除につき悪意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できない。×
②解除前の第三者(⇒[08]2(3)②

★過去の出題例★
民法[26]4(3)②
対抗問題:解除前の第三者

民法[08]2(3)②も同内容)
 年-問-肢内容正誤
121-08-1解除前の第三者が登記を備えている場合、その第三者が悪意であっても、売主は所有権を主張できない。
216-09-1建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結し登記をした後で、売主が売買契約を解除しても、売主は抵当権の消滅を主張できない。
316-09-2建物の買主がその建物を賃貸し引渡しを終えた後で、売主が売買契約を解除した場合、売主は賃借権の消滅を主張できる。×
416-09-3建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結したが、登記をする前に、売主が売買契約を解除した場合、抵当権設定契約は無効となる。×
514-08-4買主が土地を転売した後、売買契約を解除しても、未登記の第三者の土地を取得する権利を害することはできない。×
613-05-2買主が土地を転売した後、売買契約を解除した場合、登記を受けた第三者は、所有権を売主に対抗できる。
708-05-3解除前の第三者が登記を備えていても、その第三者が解除原因につき悪意であった場合には、売主に対し所有権を対抗できない。×
803-04-2解除前の第三者が登記を備えていても、売主は第三者に対し所有権を対抗できる。×
901-03-3売主が買主の債務不履行を理由に売買契約を解除した場合、売主は、その解除を、解除前に転売を受け、解除原因について悪意ではあるが、所有権の移転登記を備えている第三者に対抗することができる。×

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【動画講義を御覧になる方法】
【必須資料】『一問一答式問題』(権利関係)
DVD通信講座「実戦応用編講座」(全22巻)22,000円(税別)
ニコニコチャンネル1講義100円or月額1,500円(税別)

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