■講義編■民法[26]賃貸借契約
賃貸借契約というのは、お金を払って他人の物を借りる契約のことをいいます。DVDのレンタルも賃貸借契約ですし、土地や建物を借りるのも賃貸借契約です。
賃貸借契約は、売買契約と並んで頻出の契約で、民法に加えて、借地借家法という法律からも出題されます。まずは、民法で賃貸借契約の構造・基本を理解し、その上で、借地借家法の知識を上乗せしていきましょう。
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Contents
1.賃貸借契約とは
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-11-1 | [AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約を締結する。]本件契約が専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする場合には、公正証書によらなければ無効となる。 | × |
2 | 27-03-3 | 貸主と借主との間の契約は、賃貸借では諾成契約であり、使用貸借でも諾成契約である。 | ◯ |
3 | 17-15-1 | 動産の賃貸借契約は、当事者の合意のみで効力を生じるが、建物の賃貸借契約は、要式契約である。 | × |
2.賃貸借の存続期間
(1).民法上の賃貸借
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-11-1 | 賃貸借契約が建物を所有する目的ではなく、資材置場とする目的である場合、ケース①(期間50年)は期間の定めのない契約になり、ケース②(期間15年)では期間は15年となる。 | × |
2 | 29-11-2 | 賃借権の存続期間を10年と定めた場合、賃貸借契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。 | ◯ |
3 | 26-11-1 | 口頭による合意で存続期間を40年と定めた場合、期間は40年となる。 | × |
4 | 22-22-4 | 賃貸借の存続期間については、民法上は50年を超えることができないこととされているが、農地の賃貸借についても、50年までの存続期間が認められる。 | ◯ |
5 | 20-13-1 | 駐車場用地の賃貸借契約において、契約期間を60年と合意すればそのとおり有効である。 | × |
6 | 18-13-1 | 駐車場用地の賃貸借契約で契約期間を35年とした場合、期限は定めなかったものとみなされる。 | × |
(2).借地借家法上の制限
①借地権
②建物賃貸借
最短期間 (⇒借地借家法[05]1(1)) |
契約期間を1年未満と定めた場合 →期間の定めのない賃貸借とみなす |
最長期間 (⇒借地借家法[05]1(2)) |
民法の適用を排除 =50年超の契約も可能 |
3.賃借権の対抗要件
(1).対抗問題・対抗要件とは(⇒[07]1)
(2).民法上の対抗要件
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H29-11-1 | (A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(本件契約)が締結された。)Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。 | × |
2 | H28-14-2 | 登記することができる権利には、抵当権及び賃借権が含まれる。 | ◯ |
3 | H26-11-2 | 建物の所有を目的とせずに資材置場として借りている土地が第三者に売却された場合に賃借人であることを当該第三者に対抗する方法はない。 | × |
4 | H20-13-4 | 平置きの駐車場用地として利用するための土地の賃貸借契約を書面で行っても、賃借権の登記をしない場合、土地の譲受人に賃借権を対抗できない。 | ◯ |
(3).借地借家法上の対抗要件
①借地権(⇒借地借家法[02]1(2))
②建物賃貸借(⇒借地借家法[06]1(2))
(4).妨害停止・返還の請求
対抗要件を備えた賃借人の権利
4.賃貸人・賃借人の関係
(1).賃貸物の修繕
①賃貸人による修繕
賃貸人:使用・収益に必要な修繕をする義務
【例外】賃借人に帰責事由がある場合
賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするとき
→賃借人は、拒むことができない
②賃借人による修繕
- 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知or賃貸人がその旨を知った
→賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき - 急迫の事情があるとき
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
①賃貸人による修繕 | |||
1 | R05-09-3 | Bの責めに帰すべき事由によって甲建物の修繕が必要となった場合は、Aは甲建物を修繕する義務を負わない。 | ◯ |
2 | R04-08-1 | AがB所有の甲土地を建物所有目的でなく利用するための権原が、地上権である場合でも賃借権である場合でも、特約がなくても、BはAに対して、甲土地の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。 | × |
3 | H25-08-3 | 建物の賃貸人が必要な修繕義務を履行しない場合、賃借人は目的物の使用収益に関係なく賃料全額の支払を拒絶することができる。 | × |
4 | H25-08-4 | 建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできない。 | ◯ |
5 | H17-15-2 | 賃貸人と賃借人との間で別段の合意をしない限り、動産の賃貸借契約の賃貸人は、賃貸物の使用収益に必要な修繕を行う義務を負うが、建物の賃貸借契約の賃貸人は、そのような修繕を行う義務を負わない。 | × |
6 | H01-06-1 | Aは、自己所有の建物をBに賃貸した。建物が老朽化してきたため、Aが建物の保存のために必要な修繕をする場合、Bは、Aの修繕行為を拒むことはできない。 | ◯ |
②賃借人による修繕 | |||
1 | R05-09-1 | 甲建物の修繕が必要であることを、Aが知ったにもかかわらず、Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。 | ◯ |
2 | R05-09-2 | 甲建物の修繕が必要である場合において、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず、Aが必要な修繕を直ちにしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。 | × |
3 | R05-09-4 | 甲建物の修繕が必要である場合において、急迫の事情があるときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。 | ◯ |
4 | R02s-12-1 | 賃貸借の目的物である建物の修繕が必要である場合において、賃借人Bが賃貸人Aに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらずAが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは自ら修繕をすることができる。 | ◯ |
(2).賃借人による費用の償還請求
①必要費
賃借人が支出した場合
→賃貸人に直ちに償還請求◯
②有益費
賃貸借契約終了時に価額の増加が現存する場合
→賃貸人は、支出金額or増加額(賃貸人が選択)を償還する義務を負う
★過去の出題例★
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
必要費 | |||
1 | 27-03-2 | 借主は、賃貸借契約では、貸主の負担に属する必要費を支出したときは、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
2 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
3 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
4 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
5 | 03-13-2 | 借主は、貸主の負担すべき必要費を支出したときは、直ちに、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
6 | 01-06-2 | 建物が老朽化してきたため、借主が貸主の負担すべき必要費を支出して建物の修繕をした場合、借主は、貸主に対して、直ちに修繕に要した費用全額の償還を請求することができる。 | ◯ |
有益費 | |||
1 | 03-13-3 | Aは、有益費を支出したときは、賃貸借終了の際、その価格の増加が現存する場合に限り、自らの選択によりその費した金額又は増加額の償還を請求することができる。 | × |
(3).賃借物の一部滅失
賃借物の一部が滅失等で使用収益できない場合
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] BがAから賃借する甲建物が第三者の不法行為により一部損壊した。 | |||
1 | 28-07-ア | BがAに対して支払う賃料は、Bからの請求がない場合であっても、甲建物の滅失した部分の割合に応じて当然に減額される。 | ◯ |
2 | 28-07-イ | Bは、甲建物の残りの部分だけでは賃借した目的を達することができない場合、Aとの賃貸借契約を解除することができる。 | ◯ |
5.賃借権の譲渡・転貸
(1).賃借権の譲渡・転貸とは
①賃借権の譲渡
②転貸
③賃借権の譲渡・転貸にあたるか
借地上の建物の譲渡 | 借地上の建物の賃貸 |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] 甲土地所有者AがBと締結した建物所有を目的とする賃貸借契約に基づいて、Bが甲土地上に乙建物を所有している。 | |||
1 | 17-13-1 | 乙建物が登記されている場合には、BがCと当該建物を譲渡する旨の合意をすれば、Aの承諾の有無にかかわらず、CはAに対して甲土地の借地権を主張できる。 | × |
2 | 07-07-2 | Bがその建物をCに譲渡する場合、特別の事情のない限り、Bは、Cに対する敷地の賃借権譲渡についてAの承諾を得る必要がある。 | ◯ |
3 | 05-10-2 | 乙建物に設定した抵当権が実行され、Dが甲建物を競落した。Dは、競落により建物を取得したのであるから、土地の賃借権も当然に取得し、Aに対抗することができる。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] 甲土地所有者AがBと締結した建物所有を目的とする賃貸借契約に基づいて、Bが甲土地上に乙建物を所有している。 | |||
1 | 26-07-1 | BがAに無断で乙建物をCに月額10万円の賃料で貸した場合、Aは、借地の無断転貸を理由に、甲土地の賃貸借契約を解除することができる。 | × |
2 | 18-14-1 | Bが、Aの承諾を得ることなくCに対して借地上の建物を賃貸し、それに伴い敷地であるその借地の利用を許容している場合でも、Aとの関係において、借地の無断転貸借とはならない。 | ◯ |
3 | 07-07-4 | CがBからその建物を賃借する場合、特別の事情がない限り、Cは、その賃借についてAの承諾を得なければならない。 | × |
(2).無断譲渡・転貸の禁止
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-06-2 | Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲土地につき、資材置場とする目的で期間を2年として、AB間で、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合について考える。Bは、①ではAの承諾がなければ甲土地を適法に転貸することはできないが、②ではAの承諾がなくても甲土地を適法に転貸することができる。 | ◯ |
2 | R04-08-2 | AがB所有の甲土地を建物所有目的でなく利用するための権原が、①地上権である場合と②賃借権である場合について考える。CがBに無断でAから当該権原を譲り受け、甲土地を使用しているときは、①でも②でも、BはCに対して、甲土地の明渡しを請求することができる。 | ◯ |
3 | R03s-09-2 | AがBに対してA所有の甲建物を①売却又は②賃貸した。①ではBはAの承諾を得ずにCに甲建物を賃貸することができ、②ではBはAの承諾を得なければ甲建物をCに転貸することはできない。 | ◯ |
[共通の設定] A所有の甲建物につき、Bが賃貸借契約を締結している。 | |||
4 | R02s-12-2 | BがAに無断でCに当該建物を転貸した場合であっても、Aに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、Aは賃貸借契約を解除することができない。 | ◯ |
5 | H27-09-2 | 賃貸人が転貸借について承諾を与えた場合には、賃貸人は、断転貸を理由としては賃貸借契約を解除することはできないが、賃借人と賃貸借契約を合意解除することは可能である。 | ◯ |
6 | H27-09-3 | 土地の賃借人が無断転貸した場合、賃貸人は、賃貸借契約を民法第612条第2項により解除できる場合とできない場合があり、土地の賃借人が賃料を支払わない場合にも、賃貸人において法定解除権を行使できる場合とできない場合がある。 | ◯ |
7 | H25-11-1 | BがAに断で甲建物をCに転貸した場合には、転貸の事情のいかんにかかわらず、AはAB間の賃貸借契約を解除することができる。 | × |
8 | H21-12-1 | BがAに無断で甲建物を転貸しても、Aに対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは、Aは賃貸借契約を解除できない。 | ◯ |
9 | H18-10-1 | AがBの承諾なく当該建物をCに転貸しても、この転貸がBに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、BはAの無断転貸を理由に賃貸借契約を解除することはできない。 | ◯ |
10 | H06-12-1 | AC間の転貸借がBの承諾を得ていない場合でも、その転貸借がBに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、Bの解除権は発生しない。 | ◯ |
(3).転貸の効果
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] AがBに甲建物を月額10万円で賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をCに適法に月額15万円で転貸している。 | |||
1 | R02s-06-4 | BがAに約定の賃料を支払わない場合、Cは、Bの債務の範囲を限度として、Aに対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負い、Bに賃料を前払いしたことをもってAに対抗することはできない。 | ◯ |
2 | 28-08-2 | BがAに対して甲建物の賃料を支払期日になっても支払わない場合、AはCに対して、賃料10万円をAに直接支払うよう請求することができる。 | ◯ |
3 | 23-07-1 | BがAに対して賃料を支払わない場合、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求することができる。 | ◯ |
4 | 16-13-1 | 転借人Cは、賃貸人Aに対しても、月10万円の範囲で、賃料支払債務を直接に負担する。 | ◯ |
5 | 10-06-2 | Cは、Aから請求があれば、CがBに支払うべき転借料全額を直接Bに支払うべき義務を負う。 | × |
6 | 01-06-4 | BがAの承諾を得て第三者Cに建物を転貸した場合、Aは、Cに対して直接賃料を請求することができる。 | ◯ |
(4).転貸の終了
①合意解除
転借人には対抗できない
【例外】賃貸人が債務不履行による解除権(⇒②)を有していた場合
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
[共通の設定] Aは、Bに対し建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。 | |||
1 | R02s-06-1 | Aは、Bとの間の賃貸借契約を合意解除した場合、解除の当時Bの債務不履行による解除権を有していたとしても、合意解除したことをもってCに対抗することはできない。 | × |
2 | 28-08-4 | AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることができない。 | ◯ |
3 | 27-09-1 | 土地の賃借人が無断転貸した場合において賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため賃貸人が無断転貸を理由に賃貸借契約を解除できないときであっても、賃貸借契約を合意解除したときは、賃貸人は転借人に対して賃貸土地の明渡しを請求することができる。 | × |
4 | 27-09-4 | 土地の賃借人が無断転貸した場合、転借人は、賃貸人と賃借人との間で賃貸借契約が合意解除されたとしても、賃貸人からの賃貸土地の明渡し請求を拒絶することができる場合がある。 | ◯ |
5 | 23-07-3 | Aが、Bとの賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がない限り、Cに対して、合意解除の効果を対抗することができない。 | ◯ |
6 | 16-13-3 | AB間で賃貸借契約を合意解除しても、転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り、賃貸人Aは、転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。 | ◯ |
7 | 10-06-1 | AとBとが賃貸借契約を合意解除した場合、BC間の転貸借契約は、その前提を失うため、特別の事情のある場合を除き、当然に終了する。 | × |
8 | 06-12-2 | AB間の賃貸借が合意解除によって終了すれば、CがBの承諾を得て転借していても、特段の事由のない限り、AC間の転貸借は終了し、Cの権利は、消滅する。 | × |
9 | 04-11-4 | 賃貸人の承諾を得て、賃借人から建物を転借している場合、賃貸借契約が合意解除されても、転借人の権利は、特段の事由がある場合を除き、消滅しない。 | ◯ |
②債務不履行による解除
転貸借も終了
転借人に賃料代払いの機会を与える必要なし
★過去の出題例★
[共通の設定]
Aは、Bに対し甲建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-12-3 | 建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。 | × |
2 | H28-08-1 | Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。 | × |
3 | H28-08-3 | AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。 | ◯ |
4 | H26-07-3 | BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸した場合、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても、AはCに解除を対抗することができない。 | × |
5 | H25-11-2 | Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。 | × |
6 | H23-07-4 | Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。 | × |
7 | H18-10-2 | BがAの承諾を受けてCに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由に解除され、AがCに対して目的物の返還を請求しても、BC間の転貸借契約は原則として終了しない。 | × |
8 | H16-13-4 | 賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は、転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。 | × |
9 | H10-06-3 | Aは、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を解除しようとする場合、Cに対して、3ヵ月以前に通知し、Bに代わって賃料を支払う機会を与えなければならない。 | × |
10 | H10-06-4 | Aが、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を適法に解除した場合、Cは、BC間の転貸借契約に基づく転借権をAに対抗することができない。 | ◯ |
6.賃貸人たる地位の移転
(1).状況
(2).方法
①移転の方法
(a).賃借人Bが対抗要件を備えている場合
→賃貸人たる地位は、当然にCに移転する
(b).賃借人Bが対抗要件を備えていない場合
→賃貸人たる地位は、譲渡人Aと譲受人Cの合意があれば、Cに移転する
②賃貸人たる地位の留保
譲渡人Aが引き続き賃貸人の地位にとどまること
(a).方法
譲渡人Aと譲受人Cの間に2つの合意が必要
- 賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨の合意
- その不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意
(b).三者の関係
転貸借の関係
(c).譲渡人・譲受人間の賃貸借が終了した場合
賃貸人たる地位は、譲受人に移転
(3).対抗
譲受人Cが賃貸人たる地位を賃借人Bに対抗する方法
→所有権の移転の登記が必要
(4).賃貸人の債務の承継
賃貸人たる地位の移転
→賃貸人の債務も譲受人Cに移転
①費用償還債務(⇒4(2))
②敷金返還債務(⇒8)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-12-3 | 賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。 | ◯ |
2 | R03-12-2 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約が締結された。甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。 | ◯ |
3 | R02s-06-3 | AはBにA所有の甲建物を賃貸し、BはAの承諾を得てCに適法に甲建物を転貸し、Cが甲建物に居住している。AがDに甲建物を売却した場合、AD間で特段の合意をしない限り、賃貸人の地位はDに移転する。 | ◯ |
4 | 24-06-2 | 甲土地の賃借人であるBが、甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したCは、所有権移転登記を備えていないときであっても、Bに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。 | × |
5 | 16-03-2 | Aは、自己所有の建物をCに売却したが、Cはまだ所有権移転登記を行っていない。BがAからこの建物を賃借し、引渡しを受けて適法に占有している場合、Cは、Bに対し、この建物の所有権を対抗でき、賃貸人たる地位を主張できる。 | × |
6 | 07-07-1 | BがAの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている。Aがその土地をCに譲渡する場合、賃貸人の義務の移転を伴うから、Aは、その譲渡についてBの承諾を必要とする。 | × |
7 | 07-07-3 | BがAの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている。CがAからその土地の譲渡を受けた場合、Cは、登記を移転していなくても賃貸人たる地位の取得をBに対抗することができる。 | × |
7.賃貸借契約の終了
(1).期間の定めのない賃貸借
各当事者は、いつでも解約の申入れ可能
(2).契約終了までの期間
(3).原状回復義務
①賃借人の原状回復義務
賃借物の受領後に生じた損傷を原状に回復する義務
契約終了時には、当然に発生
②例外
- 通常の使用収益によって生じた損耗(通常損耗)や経年劣化
- 賃借人に帰責事由がない損傷
③通常損耗補修特約
賃借人に予期しない特別の負担を与える
→明確な合意が必要
★過去の出題例★
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-04-1 | 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、通常の使用及び収益によって生じた損耗も含めてその損傷を原状に復する義務を負う。 | × |
2 | R02-04-2 | 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、その損傷を原状に復する義務を負う。 | × |
3 | H30-08-1 | 賃借物件を賃借人がどのように使用しても、賃借物件に発生する損耗による減価の回収は、賃貸人が全て賃料に含ませてその支払を受けることにより行っている。 | × |
4 | H30-08-2 | 通常損耗とは、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する。 | ◯ |
5 | H30-08-3 | 賃借人が負担する通常損耗の範囲が賃貸借契約書に明記されておらず口頭での説明等もない場合に賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになる。 | ◯ |
6 | H30-08-4 | 賃貸借契約に賃借人が原状回復義務を負う旨が定められていても、それをもって、賃借人が賃料とは別に通常損耗の補修費を支払う義務があるとはいえない。 | ◯ |
7 | H29-04-4 | 賃借人の原状回復義務の対象となる損傷からは、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化が除かれる。 | ◯ |
8 | H20-10-1 | 賃貸借が終了した場合、貸主が借主に対し、社会通念上通常の使用をした場合に生じる通常損耗について原状回復義務を負わせることは、補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているなど、その旨の特約が明確に合意されたときでもすることができない。 | × |
(4).賃借物の全部滅失
賃貸借は、当然に終了
8.敷金
(1).敷金とは
①定義
賃料債務など賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保するために
賃借人が賃貸人に交付する金銭
(名目は問わない)
②敷金契約の性質
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-01-1 | 賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもって家屋につき留置権を取得する余地はない。 | ◯ |
2 | R03-01-2 | 賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、1個の双務契約によって生じた対価的債務の関係にあるものといえる。 | × |
3 | R03-01-3 | 賃貸借における敷金は、賃貸借の終了時点までに生じた債権を担保するものであって、賃貸人は、賃貸借終了後賃借人の家屋の明渡しまでに生じた債権を敷金から控除することはできない。 | × |
4 | R03-01-4 | 賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務の間に同時履行の関係を肯定することは、家屋の明渡しまでに賃貸人が取得する一切の債権を担保することを目的とする敷金の性質にも適合する。 | × |
5 | 13-09-4 | 貸主は、借主の、賃貸借契約終了時までの未払賃料と契約終了後明渡しまでの期間の賃料相当損害額の双方を、敷金から控除できる。 | ◯ |
6 | 10-03-1 | 賃借人は、建物賃貸借契約が終了し、建物の明渡しが完了した後でなければ、敷金返還請求権について質権を設定することはできない。 | × |
7 | 10-03-4 | 敷金返還請求権に質権を設定した者が、賃借人に対し質権実行通知をしたとき、賃借人は、通知受領後明渡し完了前に発生する賃料相当損害金については敷金から充当することができなくなる。 | × |
8 | 06-10-2 | 借主の債権者が敷金返還請求権を差し押さえたときは、貸主は、その範囲で、未払賃料の弁済を敷金から受けることができなくなる。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 13-09-2 | 敷金返還請求権は、賃貸借契約と不可分であり、借主は、貸主の承諾があったとしても、これを借主の債権者に対して担保提供することができない。 | × |
2 | 10-09-1 | 賃借人は、建物賃貸借契約が終了し、建物の明渡しが完了した後でなければ、敷金返還請求権について質権を設定することはできない。 | × |
3 | 10-09-4 | 敷金返還請求権に質権を設定した者が、賃借人に対し質権実行通知をしたとき、賃借人は、通知受領後明渡し完了前に発生する賃料相当損害金については敷金から充当することができなくなる。 | × |
(2).同時履行の抗弁権(⇒[22]2(3)①(b))
(3).当事者の変更と敷金
①賃貸人の変更(⇒6(4))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-12-2 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約が締結された。甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。 | ◯ |
2 | 20-10-2 | 賃貸中の建物が譲渡された場合、賃借人の承諾がなくても、敷金返還債務は新所有者に承継される。 | ◯ |
3 | 15-11-2 | 賃貸借契約期間中に建物が譲渡された場合で、譲受人が賃貸人たる地位を承継したとき、敷金に関する権利義務も当然承継される。 | ◯ |
4 | 15-11-4 | 賃貸借契約が終了した後、借主が建物を明け渡す前に、貸主が建物を第三者に譲渡した場合で、貸主と譲受人との間で譲受人に敷金を承継させる旨を合意したとき、敷金に関する権利義務は当然に譲受人に承継される。 | × |
5 | 11-14-4 | 賃貸借契約期間中に建物が売却され、賃貸人たる地位を譲受人に承継した場合、賃借人の承諾がない限り敷金返還債務は承継されない。 | × |
6 | 06-10-3 | 貸主が第三者に建物を譲渡し、譲受人が賃貸人となった場合、貸主に差し入れていた敷金は、借主の未払賃料を控除した残額について、権利義務関係が譲受人に承継される。 | ◯ |
7 | 02-13-2 | 賃借人が賃貸人に敷金を差し入れていた場合、建物の譲受人は、賃貸人からその敷金を受領しない限り、賃借人に対する敷金返還債務を引き継がない。 | × |
②賃借人の変更
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 20-10-3 | 賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権は、旧賃借人から新賃借人に承継されない。 | ◯ |
2 | 15-11-3 | 賃借権の譲渡を賃貸人が承諾した場合、敷金に関する権利義務は当然新賃借人に承継される。 | × |
3 | 06-10-4 | 借主が未払賃料を支払って、貸主の承諾を得て賃借権を第三者に譲渡した場合、借主が譲受人に敷金返還請求権を譲渡する等しなくても、敷金に関する権利義務関係は、譲受人に承継される。 | × |
(4).敷金の充当
①賃貸人による充当
賃借人が金銭債務を不履行
→敷金から充当◯
②賃借人からの充当
賃借人が金銭債務を不履行
→敷金から充当を請求×
★過去の出題例★
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-04-4 | 賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することができる。 | × |
2 | H28-01-2 | 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づく金銭債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。 | ◯ |
3 | H13-09-1 | 賃貸借契約期間中でも、貸主の返済能力に客観的な不安が生じた場合は、借主は、賃料支払債務と敷金返還請求権とを対当額にて相殺することができる。 | × |
4 | H06-10-1 | 借主は、貸主に対し、未払賃料について敷金からの充当を主張することができる。 | × |
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---|---|---|
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