不動産登記の申請に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
- 信託の登記の申請は、当該信託による権利の移転又は保存若しくは設定の登記の申請と同時にしなければならない。
- 表題部に所有者として記録されている者の相続人は、所有権の保存の登記を申請することができる。
- 同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記原因及びその日付が同一である場合には、登記の目的が異なるときであっても、一つの申請情報で申請することができる。
正解:4
1 正しい
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない(不動産登記法60条)。
※単独で登記申請できる例として、以下のものがある。
単独申請できる場合 | 申請できる者 |
判決による登記 | 判決により登記手続きを命じられた相手方 |
相続・合併による権利の移転登記 | 登記権利者 |
登記名義人の氏名・名称・住所の変更・更正の登記 | 登記名義人 |
所有権の登記の抹消 (所有権移転の登記がない場合に限る) |
登記名義人 |
仮登記
|
仮登記の登記権利者 |
仮登記の抹消 |
|
収用による所有権の移転の登記 | 起業者 |
■参照項目&類似過去問
内容を見る
共同申請の原則(不動産登記法[03]1(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H18-15-1 | 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。 | ◯ |
2 | H04-14-3 | 抵当権の設定の登記の申請は、被担保債権の債権者が登記権利者、債務者が登記義務者となって行わなければならない。 | × |
2 正しい
信託の登記の申請は、当該信託による権利の移転又は保存・設定の登記の申請と同時にしなければならない(不動産登記法98条1項)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
信託に関する登記(不動産登記法[03]2(6))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-14-4 | 信託の登記は、受託者が単独で申請することができない。 | × |
2 | H26-14-3 | 信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。 | ◯ |
3 | H23-14-3 | 受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる。 | ◯ |
4 | H18-15-2 | 信託の登記の申請は、当該信託による権利の移転又は保存若しくは設定の登記の申請と同時にしなければならない。 | ◯ |
3 正しい
所有権の保存の登記ができるのは、以下の者である(不動産登記法74条1項)。
- 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
- 所有権を有することが確定判決によって確認された者
- 収用によって所有権を取得した者
したがって、「表題部に所有者として記録されている者の相続人」は、所有権保存登記をすることができる。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
所有権の保存の登記(不動産登記法[03]2(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H28-14-1 | 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、所有権の保存の登記を申請しなければならない。 | × |
2 | H19-16-1 | 表題部所有者であるAから土地を買い受けたBは、Aと共同してBを登記名義人とする所有権の保存の登記の申請をすることができる。 | × |
3 | H18-15-3 | 表題部に所有者として記録されている者の相続人は、所有権の保存の登記を申請することができる。 | ◯ |
4 | H12-14-1 | 所有権の登記がされていない建物について、その所有権が自己にあることを確定判決によって確認された者は、当該建物の所有権の保存の登記を申請することができる。 | ◯ |
5 | H12-14-2 | 土地の登記簿の表題部に被相続人が所有者として記載されている場合において、その相続人が複数あるときは、共同相続人の1人は、自己の持分についてのみ所有権の保存の登記を申請することができる。 | × |
6 | H12-14-3 | 土地収用法による収用によって、土地の所有権を取得した者は、直接自己名義に当該土地の所有権の保存の登記を申請することができる。 | ◯ |
7 | H09-14-1 | 建物を新築した場合、当該建物の所有者は、新築工事が完了した時から1ヵ月以内に、建物の所有権の保存の登記の申請をしなければならない。 | × |
8 | H07-16-3 | Aが一戸建ての建物を新築して建物の表題登記をし、これをBに売却したが、その後にAが死亡し、Cが相続した。Cは、申請情報と併せて相続を証する情報を提供して、C名義の所有権の保存の登記を申請することができる。 | ◯ |
9 | H07-16-4 | Aが一戸建ての建物を新築して建物の表題登記をし、これをBに売却したが、その後にAが死亡し、Cが相続した。Bは、申請情報と併せてCの承諾を証する情報を提供して、B名義の所有権の保存の登記を申請することができる。 | × |
10 | H06-16-2 | 土地の表題部にAが所有者として記載されている場合に、Bがその土地を買い受けたときは、Bは、申請情報と併せて売買契約書を登記原因証明情報として提供すれば、直接B名義の所有権保存の登記を申請することができる。 | × |
4 誤り
申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一つの不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について、①登記の目的、②登記原因、③登記の日付、が同一であるときは、一つの申請情報で申請することができる(不動産登記令4条)。
本肢のように「登記の目的」が異なる場合には、一つの申請情報で申請するこができない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
複数の不動産に関する登記申請
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H18-15-4 | 同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記原因及びその日付が同一である場合には、登記の目的が異なるときであっても、一つの申請情報で申請することができる。 | × |
2 | H01-15-1 | 同一の登記所の管轄に属する数個の不動産に関する登記を申請する場合、登記原因及び登記の目的が同一であるときに限り、同一の申請情報で登記を申請することができる。 | ◯ |
【無料公開講座】スリー・ステップ学習法
宅建学習のプロセスを3段階に分け、着実なステップアップを目指す『スリー・ステップ学習法』。この講座の特長を実際に理解・体験していただくための「無料公開講座」です。
この3段階で、着実に合格レベルに進むことができます。
- [Step.1]基本習得編で宅建合格に必要な基礎知識を学ぶ。
- [Step.2]一問一答編で「一問一答式」の本試験過去問で基礎知識を確認し、○×を見分ける解法テクニックを身に付ける。
- [Step.3]過去演習編で「四択問題」の解決法を学ぶ。
この3段階で、着実に合格レベルに進むことができます。