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【宅建過去問】(平成02年問11)相続

Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

  1. Cが相続を放棄した場合、DとEの相続分は増えるが、Bの相続分については変わらない。
  2. Aが遺産をCに遺贈していた場合、その遺贈は、B、D及びEの遺留分を侵害した部分について、効力を生じない。
  3. Eの遺留分は、被相続人Aの財産の1/12の額である。
  4. Aの生前Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。

正解:2

1 正しい

相続分は、以下の手順で計算する。

  1. 配偶者と子全員で1:1に分配
  2. 子の間で人数にしたがって分配

本肢のように、子の1人であるCが相続を放棄した場合でも、それは2の段階の問題である。配偶者Bの取り分には変化がない。

■参照項目&類似過去問
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相続の計算問題(民法[31]2&3)
年-問-肢内容正誤
1R03-09-1Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり、Dには離婚した前妻Eとの間に子F及び子Gがいる。Fの親権はEが有し、Gの親権はDが有している。AとDが婚姻した後にDが死亡した場合における法定相続分は、Aが2分の1、Fが4分の1、Gが4分の1である。
2R02s-08-ア1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。×
3R02s-08-イ1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、B及びCがそれぞれ3,000万円、Dが6,000万円である。
4R02s-08-ウ1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。
5R02s-08-エ1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E及びFがそれぞれ3,000万円、Gが6,000万円である。×
629-06-1(Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった。)①BがAの配偶者でCがAの子である場合と②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。×
729-09-全計算問題
826-10-全計算問題
925-10-全計算問題
1024-10-1計算問題
1124-10-3計算問題
1216-12-全計算問題
1313-11-全計算問題
1408-10-全計算問題
1502-11-1(Aが死亡し、相続人として、妻Bと子C・D・Eがいる。)Cが相続を放棄した場合、DとEの相続分は増えるが、Bの相続分については変わらない。
1601-11-全計算問題

2 誤り

被相続人が相続人の一部の者に遺贈し、それが他の相続人の遺留分を侵害する場合であっても、その遺贈が当然に無効とされるわけではない(最判昭25.04.28)。
B・D・Eは、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できるに過ぎない(遺留分侵害額請求権。民法1046条)。

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遺留分侵害額請求(民法[33]3)
年-問-肢内容正誤
120-12-1相続人の一部の遺留分を侵害する被相続人の遺言は、その限度で当然に無効である。×
212-10-2Aは、「Aの財産をすべてBに遺贈する。CはBに対して遺留分侵害額の請求をしてはならない」旨の遺言をして、CをAの相続から排除することができる。
×
312-10-4Aは、「Aの乙建物を子Cに相続させる」旨の遺言をした場合で、子Bの遺留分を害しないとき、これをC単独の所有に帰属させることができる。
409-10-2遺留分侵害額の請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。
507-11-2[Aが死亡し、相続人はAの子であるC・Dのみ。]Aが遺産の全部をCに遺贈した場合、DからCに対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
602-11-2Aが遺産を子Cに遺贈していた場合、その遺贈は、配偶者B、子D及び子Eの遺留分を侵害した部分について、効力を生じない。×

3 正しい

遺留分を計算する場合、

  1. 相続人全体の遺留分を求め(民法1042条1項)、
  2. それを、各相続人に法定相続分に基いて分配する(同条2項)

という順序で分配する。
そして、 (1)は、以下のように求める。

本問の場合、

  1. 直系尊属以外の相続人が存在するから、被相続人の財産の1/2が相続人全体の遺留分となる。
  2. それを法定相続分に応じて分配するが、Eの法定相続分は、1/2×1/3=1/6である。

したがって、Eの遺留分は、1/2×1/6=1/12である。

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遺留分権利者(民法[33]2(1))
年-問-肢内容正誤
124-10-4甥姪は遺留分を主張できない。
218-12-2配偶者・子は遺留分主張可能。兄弟姉妹は不可。
317-12-4配偶者に全財産を相続させる遺言がある場合、子は遺留分権利者とならない。×
409-10-1配偶者・兄弟姉妹が遺留分を主張できる。×
504-13-2遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、被相続人の兄弟姉妹は、遺留分の保全に必要な限度で、遺留分侵害額の支払を請求することができる。×
602-11-3Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる場合、Eの遺留分は、被相続人Aの財産の1/12の額である。

4 正しい

家庭裁判所の許可を受ければ、相続の開始前に遺留分を放棄することができる(民法1049条1項)。しかし、この場合であっても、Dは、遺留分を放棄しただけであって、相続を放棄したわけではない。したがって、相続人である地位を失うわけではない。

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遺留分の放棄(民法[33]4)
年-問-肢内容正誤
1R04-02-1被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。
2R04-02-3相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。×
3H20-12-2相続開始前でも、書面で意思表示すれば、遺留分を放棄できる。×
4
H09-10-4相続開始前に、家裁の許可を得て遺留分を放棄した場合でも、遺産を相続する権利を失わない。
5H02-11-4被相続人の生前に相続人Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。

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