【宅建過去問】(令和03年10月問09)相続

Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり、Dには離婚した前妻Eとの間に子F及び子Gがいる。Fの親権はEが有し、Gの親権はDが有している。AとDが婚姻した後にDが死亡した場合における法定相続分として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが2分の1、Fが4分の1、Gが4分の1
  2. Aが2分の1、Cが6分の1、Fが6分の1、Gが6分の1
  3. Aが2分の1、Gが2分の1
  4. Aが2分の1、Cが4分の1、Gが4分の1

正解:1

設定の確認

法定相続人の決定

被相続人Dの配偶者であるAは、法定相続人です(民法890条)。
また、DのであるFとGも法定相続人です(同法887条1項)。問題文に「Fの親権はEが有し、Gの親権はDが有している。」とあります。しかし、親権というのは、子の利益のために、監護・教育を行い、子の財産を管理する権限という意味です。相続とは関係がありません。Dが親権を有しているかどうか、とは無関係に、FとGは、Dの子として、いずれも同様に扱います。

以上より、Dの法定相続人は、A・F・Gの3人です。これだけで、正解は肢1に決まります。

※Cは、法定相続人ではありません。Cは、Aの子です。被相続人Dとの血縁はなく、また、養子縁組に関する情報もありません。したがって、Cは、Dの子ではなく、法定相続人にはなりません。

※「離婚した元配偶者(本問のE)が相続する。」というヒッカケ・パターンもあります。しかし、相続開始時に配偶者でなければ、法定相続人にはなりません。

法定相続分の決定

確認のため、そして、今後の本試験対策として、法定相続分についても押さえておきましょう。
被相続人の配偶者と子(直系卑属)が法定相続人となる場合、法定相続分は、配偶者が1/2、子が全体で1/2です(民法900条1号)。ここで、Aの法定相続分は1/2と決まります。
子全体の法定相続分をFとGで人数割りします(同条4号本文)。F、Gの法定相続分は、それぞれ1/4です。
法定相続分まで検討しても、正解が肢1であることが確認されただけでした。


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【宅建過去問】(令和03年10月問09)相続” に対して7件のコメントがあります。

  1. ms より:

    家坂先生
    いつもわかりやすい解説をして頂きありがとうございます。

    Dから見たCについては、非嫡出子とはまた違うのでしょうか?

    また、非嫡出子の場合、嫡出子同様の相続分を有するとなっているのですが、調べると認知が必要と書いており、宅建において認知について書いていなくても通常通り相続分を有するものと考えて良いのでしょうか。
    ご教示頂けると幸いです。

    1. 家坂 圭一 より:

      ms様

      ご質問ありがとうございます。

      下にある、さえさんへの回答にも書きましたが、CがDの子となるのは、以下の2つのケースに限られます。

      1. CがDの実子である場合
      2. CがDの養子である場合

      嫡出子」か「非嫡出子」か、というのは、CがDの「実子」である場合の区別です。それぞれ、以下の意味です。

      1. 嫡出子=婚姻関係にある男女の間に生まれた子
      2. 非嫡出子=婚姻関係にない男女の間に生まれた子

      問題文の設定には、「Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり」とあります。
      つまり、Cは、母Aと父Bとの実子です。
      (嫡出子か非嫡出子か、は分かりません。いずれにせよ、本問の解答には必要のない情報です。)

      逆にいえば、Dの実子ではないことになります(嫡出子でも非嫡出子でもありません)。

      以上より、CがDの子となり、Dを相続できるるのは、CがDの養子である場合に限られます。

      1. ms より:

        家坂先生
        ご丁寧な解説をして頂きありがとうございます。

        モヤモヤしていた疑問をすっきりと解消することが出来ました。
        今後ともよろしくお願い致します。

        1. 家坂 圭一 より:

          ms様

          返信ありがとうございます。
          問題を解くためには、

          • 問題文をよく読むこと
          • 登場人物の関係図を描くこと

          が前提になります。

          本問では、冒頭に「Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり」と書かれています。
          「AB間の子であるCが、AD間の非嫡出子である。」
          などということは、そもそもあり得ません。
          図で描いてみれば、このことはさらに明らかです。

          上の2つの注意点を絶対に忘れないようにしましょう。

  2. さえ より:

    理解が悪くてすみません。
    Cが相続しないことが今ひとつピンときません。
    AとBは結婚したんですよね。
    同じ戸籍に入ってるなら、
    Cは、ABの子供にならないのでしょうか。
    養子縁組しないと子にならないのはなぜですか?

    1. 家坂 圭一 より:

      さえ様

      ご質問ありがとうございます。

      CがDの子となるのは、以下の2つのケースに限られます。

      1. CがDの実子である場合
      2. CがDの養子である場合

      まず1.についてですが、Cは、母Aと父Bとの実子です。Dとは血縁関係がありません。
      したがって、2.のケース、つまりCがDと養子縁組していない以上、CがDの子となることはありません。

      具体的な例で考えると分かりやすいかも知れません。

      私の父は3年前に亡くなり、母は現在独身です。
      私は、母が希望するのであれば、誰と再婚しても構わないと考えています。

      さえさんの考え方だと、この場合でも、私は、自動的に母の再婚相手の子となるわけです。

      しかし、この歳になって、今さら新しい父親は必要ありません。
      その人の財産を相続したいとも思いません。

      私が養子縁組しない限り、再婚相手の子にはならない。
      このほうが合理的な制度だと思います。

      1. 森岡由里 より:

        ありがとうございました。
        先生のお話でやっと腑に落ちました。
        そういえば、自分の両親は、両もらいでしたが、祖父が亡くなって、婿である父も養子になっていたことが分かりました。
        先生のおかげで長年の疑問が晴れました。重ねてありがとうございました。

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