建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 居室の内装の仕上げには、ホルムアルデヒドを発散させる建築材料を使用することが認められていない。
- 4階建ての共同住宅の敷地内には、避難階に設けた屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が2m以上の通路を設けなければならない。
- 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が防火構造であるものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
- 建築主は、3階建ての木造の共同住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該共同住宅を使用することができる。
正解:4
1 誤り
建築基準法は、アスベスト(石綿)やクロルピリホス(シロアリ駆除剤)、ホルムアルデヒド(接着剤)の使用を規制しています(建築基準法28条の2、令20条の5)。
このうち、アスベストとクロルピリホスは、その使用自体がほぼ全面的に禁止されています(建築基準法28条の2、令20条の6)。それに対し、ホルムアルデヒトについては、使用面積の規制というアプローチがとられており(令20条の7)、使用自体を禁止しているわけではありません。本肢は、「使用することが認められていない」とする点が誤りです。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-17-4 | 石綿等をあらかじめ添加した建築材料は、石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除き、使用してはならない。 | ◯ |
2 | R03-17-1 | 居室の内装の仕上げには、ホルムアルデヒドを発散させる建築材料を使用することが認められていない。 | × |
3 | 25-17-ウ | 石綿以外の物質で居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質は、ホルムアルデヒドのみである。 | × |
4 | 19-21-2 | 居室を有する建築物の建築に際し、飛散又は発散のおそれがある石綿を添加した建築材料を使用するときは、その居室内における衛生上の支障がないようにするため、当該建築物の換気設備を政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。 | × |
5 | 16-21-4 | 居室を有する建築物は、住宅等の特定の用途に供する場合に限って、その居室内においてホルムアルデヒド及びクロルピリホスの発散による衛生上の支障がないよう、建築材料及び換気設備について一定の技術的基準に適合するものとしなければならない。 | × |
2 誤り
共同住宅は、特殊建築物に該当します(建築基準法別表第一(い)欄(一)項)。4階建て以上の特殊建築物については、その敷地内に、避難階に設けた屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員1.5m以上の通路を設ける必要があります(同法35条、令125条)。
3 誤り
防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものは、外壁を隣地境界線に接して設けることができます(建築基準法63条)。
本肢は「防火構造」とする点が誤りです。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-17-3 | 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が防火構造であるものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。 | × |
2 | H28-18-1 | 防火地域にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。 | ◯ |
3 | H23-18-4 | 防火地域にある建築物は、外壁が耐火構造であっても、その外壁を隣地境界線に接して設けることはできない。 | × |
4 | H15-20-4 | 防火地域内において、地階を除く階数が5(高さ25m)、延べ面積が800㎡で共同住宅の用途に供する鉄筋コンクリート造の建築物で、その外壁が耐火構造であるものを建築しようとしている。当該建築物は、外壁を隣地境界線に接して設けることができる。 | ◯ |
5 | H09-23-3 | 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。 | ◯ |
4 正しい
直接に問われているのは、検査済証交付前に建築物が使用できるかどうか、です。その前提になるのは、「建築確認が必要かどうか」という知識なので、まずは、その点を確認しましょう。
■建築物の種類
共同住宅という建築物の用途は、特殊建築物に該当します(建築基準法6条1項1号)。しかし、床面積が不明なので、建築確認の要否を検討するにあたって、特殊建築物と扱うべきかどうかは、情報不足で判断できません。
■建築確認の要否
大規模建築物を新築するのですから、建築確認を受ける必要があります。
特殊建築物や大規模建築物は、検査済証の交付を受けた後でなければ、使用することができません(同法7条の6第1項本文)。
ただし、以下の場合は、例外です(同項ただし書き)。
-
- 特定行政庁が、仮使用を承認したとき
- 完了検査申請の受理日から7日経過したとき
本肢では、「特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認め」ています。つまり、例外の1に該当するわけです。建築主は、その共同住宅を仮使用することができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-17-2 | 延べ面積が500㎡を超える建築物について、大規模な修繕をしようとする場合、都市計画区域外であれば建築確認を受ける必要はない。 | × |
2 | R03-17-4 | 建築主は、3階建ての木造の共同住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該共同住宅を使用することができる。 | ◯ |
3 | H30-18-2 | 防火地域内にある3階建ての木造の建築物を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であれば、その工事が完了した際に、建築主事又は指定確認検査機関の完了検査を受ける必要はない。 | × |
4 | H27-17-2 | 都市計画区域外において高さ12m、階数が3階の木造建築物を新築する場合、建築確認が必要である。 | ◯ |
5 | H22-18-1 | 当該建築物が木造であり、都市計画区域外に建築する場合は、確認済証の交付を受けなくとも、その建築工事に着手することができる。 | × |
6 | H21-18-ア | 準都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)内に建築する木造の建築物で、2の階数を有するものは、建築確認を必要としない。 | × |
7 | H16-21-2 | 木造3階建て、延べ面積500㎡、高さ15mの一戸建て住宅について大規模の修繕をする場合は、建築確認を受ける必要はない。 | × |
8 | H11-20-1 | 木造3階建て、延べ面積が300㎡の建築物の建築をしようとする場合は、建築確認を受ける必要がある。 | ◯ |
9 | H10-20-1 | 木造3階建てで、高さ13mの住宅を新築する場合には、建築確認を受けなければならない。 | ◯ |
10 | H08-23-1 | 木造3階建(延べ面積300㎡)の住宅を新築する場合、建築主は、新築工事に着手する前に建築確認を受けるとともに、当該住宅を新築する旨を都道府県知事に届け出なければならない。 | ◯ |
11 | H07-23-1 | 地上2階地下1階建で、延べ面積が200㎡の木造住宅を改築しようとする場合において、その改築に係る部分の床面積の合計が20㎡であるときは、建築確認を受ける必要がある。 | ◯ |
12 | H04-21-1 | [木造3階建て、延べ面積400㎡、高さ12mの一戸建て住宅の建築]この建物を新築する場合は、建築主事の確認を受ける必要があるが、大規模の修繕をする場合は、建築確認を受ける必要はない。 | × |
13 | H03-21-1 | 都市計画区域内(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)における、木造2階建て、延べ面積90㎡の共同住宅の新築に当たっては、建築基準法の確認を要しない。 | × |
14 | H03-21-2 | 木造1階建て、床面積250㎡のバーの改築に当たっては、建築基準法の確認を要しない。 | × |
15 | H02-21-1 | 高さが14mの木造の建築物を改築する場合、改築に係る部分の床面積が100㎡のときでも、建築確認を受けなければならない。 | ◯ |
16 | H01-23-1 | 都市計画区域内の木造2階建て、延べ面積300㎡、高さ6mの一戸建ての住宅について、大規模の模様替をしようとする場合、建築確認を受ける必要はない。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-17-4 | 建築主は、3階建ての木造の共同住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該共同住宅を使用することができる。 | ◯ |
2 | H29-18-1 | 鉄筋コンクリート造であって、階数が2の住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。 | ◯ |
3 | H10-20-1 | 木造3階建てで、高さ13mの住宅を新築する場合には、建築確認を受けなければならない。 | ◯ |
4 | H08-23-1 | [木造3階建(延べ面積300㎡)の住宅を新築する場合]建築主は、新築工事に着手する前に建築確認を受けるとともに、当該住宅を新築する旨を都道府県知事に届け出なければならない。 | ◯ |
5 | H07-23-4 | 都市計画区域内において建築物を新築する場合には、当該建築物の用途、構造又は規模にかかわらず、建築主事の確認を受ける必要がある。 | ◯ |
6 | H05-21-3 | 鉄骨2階建て、高さ8m、延べ面積150㎡の住宅の新築については、建築確認を受けなければならない。 | ◯ |
7 | H04-21-1 | 木造3階建て、延べ面積400㎡、高さ12mの一戸建て住宅を新築する場合は、建築確認を受ける必要があるが、大規模の修繕をする場合は、建築確認を受ける必要はない。 | × |
8 | H03-21-1 | 都市計画区域内(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)における、木造2階建て、延べ面積90㎡の共同住宅の新築に当たっては、建築基準法の確認を要しない。 | × |
9 | H02-21-3 | 都市計画区域内(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)において、延べ面積が10㎡の倉庫を新築する場合、建築確認を受けなければならない。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-17-4 | 建築主は、3階建ての木造の共同住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該共同住宅を使用することができる。 | ◯ |
2 | H29-18-1 | 鉄筋コンクリート造であって、階数が2の住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。 | ◯ |
3 | H08-23-4 | 木造3階建(延べ面積300㎡)の住宅を新築する場合、建築主は、検査済証の交付を受けた後でなければ、建築主事の検査の申請が受理された日から7日を経過したときでも、仮に、当該住宅を使用し、又は使用させてはならない。 | × |
4 | H01-23-2 | 都市計画区域内の木造2階建て、延べ面積300㎡、高さ6mの一戸建ての住宅を新築する場合、検査済証の交付を受けた後でなければ使用してはならない。 | × |