次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 建築物の壁又はこれに代わる柱は、地盤面下の部分又は特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した歩廊の柱その他これに類するものを除き、壁面線を越えて建築してはならない。
- 特別用途地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条第1項から第13項までの規定による用途制限を緩和することができる。
- 都市計画により建蔽率の限度が10分の8と定められている準工業地域においては、防火地域内にある耐火建築物については、法第53条第1項から第5項までの規定に基づく建蔽率に関する制限は適用されない。
- 田園住居地域内の建築物に対しては、法第56条第1項第3号の規定(北側斜線制限)は適用されない。
正解:4
1 正しい
壁面線とは、街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るために、道路から一定の距離のところに引く線のことをいいます(建築基準法46条1項)。壁面線が指定された場合、建築物は、その線より内側に建築しなければなりません(同法47条)。
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壁面線(建築基準法[03]5)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-18-1 | 建築物の壁又はこれに代わる柱は、地盤面下の部分又は特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した歩廊の柱その他これに類するものを除き、壁面線を越えて建築してはならない。 | ◯ |
2 | H30-19-4 | 容積率規制を適用するに当たっては、前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が一定の基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなす。 | ◯ |
3 | H20-20-4 | 隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、当該許可の範囲内において建蔽率による制限が緩和される。 | ◯ |
4 | H05-22-4 | 第一種低層住居専用地域において、特定行政庁は、壁面線を指定して、建築を制限することができる。 | ◯ |
2 正しい
特別用途地区とは、用途地域内の区域で、用途地域の指定を補完して定める地区をいいます(都市計画法9条14項)。
特別用途地区内においては、建築物の建築の制限・禁止について、地方公共団体の条例で定めます(建築基準法49条1項)。地方公共団体は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、用途制限を緩和することができます(同条2項)。
※特別用途地区と特定用途制限地域をゴチャゴチャにする問題が頻出です。比較・整理しておきましょう。
■参照項目&類似過去問
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特別用途地区・特定用途制限地域(都市計画法[02]3(2)、建築基準法[04]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
特別用途地区 | |||
1 | R05-15-3 | 特定用途制限地域は、用途地域が定められている土地の区域内において、都市計画に、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とされている。 | × |
2 | R02s-18-2 | 準都市計画区域については、都市計画に、特別用途地区を定めることができる。 | ◯ |
3 | R02s-18-2 | 特別用途地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条第1項から第13項までの規定による用途制限を緩和することができる。 | ◯ |
4 | R01-15-4 | 特別用途地区は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地区とされている。 | × |
5 | H26-18-3 | 特別用途地区内においては、地方公共団体は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条の規定による建築物の用途制限を緩和することができる。 | ◯ |
6 | H22-16-4 | 特定用途制限地域は、用途地域内の一定の区域における当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定めるものとされている。 | × |
7 | H21-19-4 | 特別用途地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条の規定による建築物の用途制限を緩和することができる。 | ◯ |
8 | H18-18-4 | 特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区である。 | ◯ |
9 | H14-18-3 | 特別用途地区は、文教地区、観光地区などの11類型の総称であり、主として用途地域による用途規制を強化したり、緩和することにより当該地区の特性にふさわしい特別の目的の実現を図るものである。 | × |
10 | H11-17-3 | 特別用途地区は、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るために定める地区であり、用途地域内においてのみ定めることができる。 | ◯ |
11 | H10-17-2 | 特別用途地区は、土地の利用の増進、環境の保護等を図るため定める地区であることから、その区域内においては、用途地域で定める建築物の用途に関する制限を強化することができるが、制限を緩和することはできない。 | × |
12 | H07-18-1 | 特別用途地区とは、一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため定める地区であり、用途地域が定められていない区域において定められるものである。 | × |
13 | H03-18-2 | 特別用途地区は、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区で、用途地域外であっても、定めることができる。 | × |
特定用途制限地域 | |||
1 | R05-15-3 | 特定用途制限地域は、用途地域が定められている土地の区域内において、都市計画に、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とされている。 | × |
2 | R03s-15-3 | 第一種低層住居専用地域については、都市計画に特定用途制限地域を定めることができる場合がある。 | × |
3 | R01-15-4 | 特別用途地区は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地区とされている。 | × |
4 | H25-15-2 | 用途地域の一つである特定用途制限地域は、良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。 | × |
5 | H22-16-4 | 特定用途制限地域は、用途地域内の一定の区域における当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定めるものとされている。 | × |
3 正しい
以下の建築物については、建蔽率の制限が適用されません(建築基準法53条6項)。言い換えれば、建蔽率10/10(100%)です。
※「準工業地域」であることは結論に関係がありません。仮に「商業地域」であれば。建蔽率が8/10に固定されています(建築基準法53条1項4号)。したがって、②③の条件をみたせば、建蔽率は無制限になります。
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建蔽率が無制限になる場合(建築基準法[05]2(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
①建蔽率8/10の地域で、②防火地域内にある③耐火建築物 | |||
1 | R02s-18-3 | 都市計画により建蔽率の限度が10分の8と定められている準工業地域においては、防火地域内にある耐火建築物については、法第53条第1項から第5項までの規定に基づく建蔽率に関する制限は適用されない。 | ◯ |
2 | H25-18-2 | 建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率の制限は適用されない。 | ◯ |
3 | H23-19-4 | 建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率の限度が10分の9に緩和される。 | × |
4 | H20-20-1 | 建蔽率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率による制限は適用されない。 | ◯ |
5 | H13-21-4 | 商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率の制限を受けない。 | ◯ |
6 | H11-21-4 | 商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、容積率制限は適用されない。 | × |
7 | H03-23-1 | 第一種中高層住居地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物についても、建蔽率の制限は、適用される。 | ◯ |
8 | H02-24-3 | 第一種低層住居専用地域内の建築物については、建蔽率に係る制限は、適用されない。 | × |
9 | H01-20-1 | 防火地域内で、かつ、準工業地域内にある耐火建築物については、建蔽率制限は適用されない。 | × |
特定行政庁が許可したもの | |||
1 | H28-19-3 | 公園内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものについては、建蔽率の制限は適用されない。 | ◯ |
2 | H01-20-2 | 公園内にある建築物で、特定行政庁が、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものについては、建蔽率制限は適用されない。 | ◯ |
3 | H01-20-3 | 用途地域の指定のない区域内にある建築物で、安全上、防火上及び衛生上支障のないものについては、建蔽率制限は適用されない。 | × |
その他のヒッカケ | |||
1 | H01-20-4 | 街区の角にある敷地で特定行政庁が指定するものの内にある耐火建築物については、建蔽率制限は適用されない。 | × |
4 誤り
北側斜線制限が適用される用途地域は、低層住居専用地域グループ(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)、第一種・二種中高層住居専用地域です(建築基準法56条1項3号)。
■参照項目&類似過去問
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北側斜線制限(建築基準法[07]3(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-18-4 | 田園住居地域内の建築物に対しては、法第56条第1項第3号の規定(北側斜線制限)は適用されない。 | × |
2 | H25-18-3 | 建築物が第二種中高層住居専用地域及び近隣商業地域にわたって存する場合で、当該建築物の過半が近隣商業地域に存する場合には、当該建築物に対して法第56条第1項第3号の規定(北側斜線制限)は適用されない。 | × |
3 | H20-21-3 | 建築物が第一種中高層住居専用地域と第二種住居地域にわたる場合で、当該建築物の敷地の過半が第二種住居地域内に存するときは、当該建築物に対して法第56条第1項第3号の規定による北側高さ制限は適用されない。 | × |
4 | H18-22-1 | 第二種中高層住居専用地域内における建築物については、法第56条第1項第3号の規定による北側斜線制限は適用されない。 | × |
5 | H16-20-2 | 建築物が第二種低層住居専用地域と第一種住居地域にわたる場合、当該建築物の敷地の過半が第一種住居地域であるときは、北側斜線制限が適用されることはない。 | × |
6 | H05-23-3 | 北側斜線制限(建築基準法第56条第1項第3号の制限をいう。)は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域内に限り、適用される。 | ◯ |
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