建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 区分所有者以外の者であって区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することはできないが、意見を述べることはできる。
- 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、共用部分(数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分)の規約を設定することができる。
- 共用部分は、区分所有者全員の共有に属するが、規約に特別の定めがあるときは、管理者を共用部分の所有者と定めることもできる。
- 管理組合法人を設立する場合は、理事を置かなければならず、理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
正解:2
1 正しい
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができます(区分所有法44条1項)。「区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者」というのは、例えば、区分所有者から専有部分を賃借している賃借人のことを指します。
占有者に認められるのは、意見陳述権だけです。議決権を行使することはできません。
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占有者の意見陳述権(区分所有法[04]3(1)③)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-13-1 | 区分所有者以外の者であって区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することはできないが、意見を述べることはできる。 | ◯ |
2 | R01-13-2 | 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。 | × |
3 | H25-13-1 | 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。 | × |
4 | H08-14-2 | 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べ、自己の議決権を行使することができる。 | × |
5 | H05-14-2 | 区分所有者から専有部分を賃借している者は、集会の会議の目的である事項について利害関係を有するときは、集会に出席することができるが、議決権を行使することはできない。 | ◯ |
6 | H02-14-3 | 区分所有法は、建物の区分所有者相互間の関係について規定しており、区分所有者から専有部分を賃借している者等の占有者の権利及び義務については、規定していない。 | × |
2 誤り
最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、規約を設定することができます。設定できる事項は、以下のものに限られます(区分所有法32条)。
本肢では、「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分」である共用部分、つまり法定共用部分(構造上の共用部分)に関する規約を設定しようとしています(同法4条1項)。しかし、法定共用部分に関しては、区分所有法で規定されているわけです(それが「法定」の意味!)。そもそも、規約で、区分所有法と異なる扱いを定めることはできません。
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公正証書による規約の設定(区分所有法[03]2)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-13-2 | 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、共用部分(数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分)の規約を設定することができる。 | × |
2 | H21-13-4 | 他の区分所有者から区分所有権を譲り受け、建物の専有部分の全部を所有することとなった者は、公正証書による規約の設定を行うことができる。 | × |
3 | H19-15-2 | 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、建物の共用部分を定める規約を設定することができる。 | ◯ |
4 | H13-15-1 | 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、共用部分の全部について持分割合を定める規約を設定することができる。 | × |
5 | H02-14-2 | 規約は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議でのみ設定することができ、最初に建物の専有部分の全部を所有する分譲業者は、規約を設定することはできない。 | × |
3 正しい
共用部分は、区分所有者全員の共有に属します(区分所有法11条1項本文)。
この原則については、規約で別段の定めをすることができます(同条2項)。例えば、規約に特別の定めを置いて、管理者を共用部分の所有者にすることも可能です(同法27条1項)。これが管理所有です。
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共用部分の共有関係(区分所有法[01]3(2)(3))
管理所有(区分所有法[02]2(4))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-13-4 | 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が8人である場合、3人が反対したときは変更することができない。 | ◯ |
2 | R03s-13-3 | 共用部分は、区分所有者全員の共有に属するが、規約に特別の定めがあるときは、管理者を共用部分の所有者と定めることもできる。 | ◯ |
3 | R02-13-4 | 一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するが、規約で別段の定めをすることにより、区分所有者全員の共有に属するとすることもできる。 | ◯ |
4 | H25-13-4 | 一部共用部分は、区分所有者全員の共有に属するのではなく、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。 | ◯ |
5 | H17-14-1 | 共用部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の所有とすることができる。 | ◯ |
6 | H06-14-1 | 共有部分は、区分所有者全員の共有の登記を行わなければ、第三者に対抗することができない。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-13-3 | 共用部分は、区分所有者全員の共有に属するが、規約に特別の定めがあるときは、管理者を共用部分の所有者と定めることもできる。 | ◯ |
2 | R02s-13-2 | 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。 | ◯ |
3 | H28-13-2 | 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。 | ◯ |
4 | H17-14-1 | 共用部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の所有とすることができる。 | ◯ |
4 正しい
管理組合法人には、理事を置く必要があります(区分所有法49条1項)。
理事が数人いる場合、規約に別段の定めがなければ、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決定します(同条2項)。
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管理組合・管理組合法人(区分所有法[02]1)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-13-4 | 管理組合(法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。 | ◯ |
2 | R03s-13-4 | 管理組合法人を設立する場合は、理事を置かなければならず、理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。 | ◯ |
3 | H26-13-1 | 区分所有者の団体は、区分所有建物が存在すれば、区分所有者を構成員として当然に成立する団体であるが、管理組合法人になることができるものは、区分所有者の数が30人以上のものに限られる。 | × |
4 | H11-15-2 | 区分所有者は、建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体である管理組合を構成することができるが、管理組合の構成員となるか否かは各区分所有者の意思にゆだねられる。 | × |
5 | H02-14-1 | 区分所有法第3条に規定する団体(管理組合)は、区分所有者が2人以上であるとき、所定の手続きを経て法人となることができるが、その際監事を置かなければならない。 | ◯ |
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