【宅建過去問】(平成28年問04)抵当権
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- Aが甲土地に抵当権を設定した当時、甲土地上にA所有の建物があり、当該建物をAがCに売却した後、Bの抵当権が実行されてDが甲土地を競落した場合、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできない。
- 甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。
- AがEから500万円を借り入れ、これを担保するために甲土地にEを抵当権者とする第2順位の抵当権を設定した場合、BとEが抵当権の順位を変更することに合意すれば、Aの同意がなくても、甲土地の抵当権の順位を変更することができる。
- Bの抵当権設定後、Aが第三者であるFに甲土地を売却した場合、FはBに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。
正解:2
設定の確認
1 正しい
土地と土地上の建物が同一の所有者だったにもかかわらず、土地又は建物に設定された抵当権の実行によって、所有者が別々になると、土地上に建物を所有する権限が失われます。建物を取り壊すのはもったいないので、このような場合、建物について、地上権が設定されたものとみなします(民法388条)。これを法定地上権といいます。
例えば、下の図では、当初、土地・建物ともにAの所有だったのに、土地に設定された抵当権の実行により、土地の所有者がGに変わってしまっています。そこで、Aの建物が土地の不法占拠にならないよう、法定地上権を発生させます。これにより、Aは、Gの土地上に建物を保有し続けることができます。
本肢では、建物のある土地について抵当権を設定した後に建物を第三者に譲渡し、その後に土地が競売されていますが、この場合も、法定地上権が発生します(大連判大12.12.14)。したがって、本問のCは、法定地上権を有するわけです。Dは、Cに対して、甲土地の明渡しを求めることはできません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 30-06-1 | [Aが所有する甲土地上にBが乙建物を建築して所有権を登記していたところ、AがBから乙建物を買い取り、その後、Aが甲土地にCのために抵当権を設定し登記した。]Aが乙建物の登記をA名義に移転する前に甲土地に抵当権を設定登記していた場合、甲土地の抵当権が実行されたとしても、乙建物のために法定地上権は成立しない。 | × |
2 | 30-06-2 | [Aが所有する甲土地上にBが乙建物を建築して所有権を登記していたところ、AがBから乙建物を買い取り、その後、Aが甲土地にCのために抵当権を設定し登記した。]Aが乙建物を取り壊して更地にしてから甲土地に抵当権を設定登記し、その後にAが甲土地上に丙建物を建築していた場合、甲土地の抵当権が実行されたとしても、丙建物のために法定地上権は成立しない。 | ◯ |
3 | 30-06-3 | [Aが所有する甲土地上にBが乙建物を建築して所有権を登記していたところ、AがBから乙建物を買い取り、その後、Aが甲土地にCのために抵当権を設定し登記した。]Aが甲土地に抵当権を設定登記するのと同時に乙建物にもCのために共同抵当権を設定登記した後、乙建物を取り壊して丙建物を建築し、丙建物にCのために抵当権を設定しないまま甲土地の抵当権が実行された場合、丙建物のために法定地上権は成立しない。 | ◯ |
4 | 30-06-4 | [Aが所有する甲土地上にBが乙建物を建築して所有権を登記していたところ、AがBから乙建物を買い取り、その後、Aが甲土地にCのために抵当権を設定し登記した。]Aが甲土地に抵当権を設定登記した後、乙建物をDに譲渡した場合、甲土地の抵当権が実行されると、乙建物のために法定地上権が成立する。 | ◯ |
5 | 28-04-1 | [Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定]Aが甲土地に抵当権を設定した当時、甲土地上にA所有の建物があり、当該建物をAがCに売却した後、Bの抵当権が実行されてDが甲土地を競落した場合、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできない。 | ◯ |
6 | 21-07-1 | 土地及びその地上建物の所有者が同一である状態で、土地に1番抵当権が設定され、その実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。 | ◯ |
7 | 21-07-2 | 更地である土地の抵当権者が抵当権設定後に地上建物が建築されることを承認した場合であっても、土地の抵当権設定時に土地と所有者を同じくする地上建物が存在していない以上、地上建物について法定地上権は成立しない。 | ◯ |
8 | 21-07-3 | 土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば、土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。 | × |
9 | 21-07-4 | 土地の所有者が、当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。 | ◯ |
10 | 18-05-3 | 更地に一番抵当権設定後、二番抵当権設定前に土地上に建物が建築され、二番抵当権者が抵当権を実行した場合には、建物について法定地上権が成立する。 | × |
11 | 14-06-2 | 更地にAが抵当権を設定した後、建物が築造され、その後、Cが土地・建物の双方に抵当権を設定した場合、Aが抵当権を実行すると、建物につき法定地上権が成立する。 | × |
12 | 14-06-3 | 更地に一番抵当権設定後、二番抵当権設定前に土地上に建物が建築され、二番抵当権者が抵当権を実行した場合には、建物について法定地上権が成立する。 | × |
13 | 10-05-1 | (Aは、Bから借金をし、Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。)Bの抵当権の実行により、Cが建物、Dが土地を競落した場合、Dは、Cに対して土地の明渡しを請求することはできない。 | ◯ |
2 誤り
Bは甲土地に対して抵当権を有しているに過ぎず、甲土地上の建物について何らの権利を有していません。
したがって、甲土地上の建物が焼失して火災保険に基づく損害保険金が発生したとしても、Bは、損害保険金を請求することができません。
※甲土地上の建物に抵当権を設定した場合であれば、抵当権者は、建物焼失時の火災保険金に対して、抵当権を行使することができます。これを物上代位といいます(民法372条、304条1項)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 28-04-2 | [Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定]甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。 | × |
2 | 24-07-3 | 火災保険に基づく損害保険金請求権は、物上代位の対象となる。 | ◯ |
3 | 22-05-2 | 火災保険に基づく損害保険金請求権は、物上代位の対象となる。 | ◯ |
4 | 21-05-1 | 火災保険に基づく損害保険金請求権は、抵当権・先取特権による物上代位の対象となる。 | ◯ |
5 | 17-05-3 | 火災保険に基づく損害保険金請求権は、物上代位の対象となる。 | ◯ |
6 | 07-06-3 | 第三者の不法行為により建物が焼失したので抵当権設定者がその損害賠償金を受領した場合、抵当権者は、損害賠償金に対して物上代位をすることができる。 | × |
3 正しい
抵当権の順位は、抵当権者の合意によって変更することができます(民法374条1項本文)。ただし、利害関係者がいるときは、その承諾を得る必要があります(同項ただし書き)。
ここでいう利害関係者とは、順位の変更により自らの地位に影響を受ける者、例えば、転抵当権者のことをいいます。債務者や抵当権設定者は、利害関係者に該当しません。したがって、Aの同意がなくても、抵当権の順位を変更することが可能です。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 28-04-3 | 一番抵当権者と二番抵当権者が抵当権の順位を変更することに合意すれば、抵当権設定者の同意がなくても、抵当権の順位を変更することができる。 | ◯ |
2 | 25-05-4 | 抵当権を登記した後は、抵当権の順位を変更できない。 | × |
3 | 20-04-3 | 設定時に後順位となった抵当権者が、先順位の抵当権者に優先して弁済を受ける方法はない。 | × |
4 | 13-07-4 | 抵当権者間の合意で抵当権の順位を変更できるが、登記をしなければ効力を生じない。 | ◯ |
4 正しい
Fは、抵当権付きの土地を購入した人、すなわち、抵当不動産の第三取得者です。したがって、抵当権消滅請求をすることができます(民法379条)。
抵当権消滅請求は、まず第三取得者(F)が抵当権者(B)に対し、民法383条所定の書類を送付することで始まります。
■参照項目&類似過去問
内容を見る[共通の設定]
Bは、B所有の甲土地にAから借り入れた金員の担保として抵当権が設定され、その旨の登記がなされた。その後、Bは、第三者であるCに甲土地を売却した。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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代価弁済 | |||
1 | R04-04-1 | Bから甲土地を買い受けたCが、Aの請求に応じてその代価を弁済したときは、本件抵当権はCのために消滅する。 | ◯ |
2 | H27-06-3 | 抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する 。 | ◯ |
抵当権消滅請求 | |||
1 | R04-04-4 | X所有の甲土地にBのAに対する債務を担保するためにAの抵当権が設定され、その旨の登記がなされた。BがXから甲土地を買い受けた場合、Bは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Aに対して抵当権消滅請求をすることができる。 | × |
2 | H28-04-4 | Aの抵当権設定後、Bが第三者であるCに甲土地を売却した場合、CはAに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。 | ◯ |
3 | H27-06-2 | 抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。 | × |
4 | H21-06-1 | 抵当権の被担保債権につき保証人となっている者は、抵当不動産を買い受けて第三取得者になれば、抵当権消滅請求をすることができる。 | × |
5 | H21-06-2 | 抵当不動産の第三取得者は、当該抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生した後でも、売却の許可の決定が確定するまでは、抵当権消滅請求をすることができる。 | × |
6 | H21-06-3 | 抵当不動産の第三取得者が抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に民法383条所定の書面を送付すれば足り、その送付書面につき事前に裁判所の許可を受ける必要はない。 | ◯ |
7 | H21-06-4 | 抵当不動産の第三取得者から抵当権消滅請求にかかる民法383条所定の書面の送付を受けた抵当権者が、同書面の送付を受けた後2か月以内に、承諾できない旨を確定日付のある書面にて第三取得者に通知すれば、同請求に基づく抵当権消滅の効果は生じない。 | × |
8 | H21-10-4 | Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した。A所有の甲土地に売買契約の内容に適合しない抵当権の登記があり、Bが当該土地の抵当権消滅請求をした場合には、Bは当該請求の手続が終わるまで、Aに対して売買代金の支払を拒むことができる。 | ◯ |
9 | H02-06-2 | Aは、BからBの所有地を2,000万円で買い受けたが、当該土地には、CのDに対する1,000万円の債権を担保するため、Cの抵当権が設定され、その登記もされていた。Aは、売買契約の内容に適合しない抵当権が存在する場合は、その消滅を請求することができ、その手続きが終わるまで、Bに対し、代金の支払いを拒むことができる。 | ◯ |