【宅建過去問】(令和03年10月問33)重要事項説明書(35条書面)

宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明における水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。以下この問において同じ。)の長が提供する図面(以下この問において「水害ハザードマップ」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

  1. 宅地建物取引業者は、市町村が、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことを確認できた場合は、重要事項説明書にその旨記載し、重要事項説明の際に提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨を説明すればよい。
  2. 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む「洪水」、「雨水出水(内水)」、「高潮」の水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明の際にいずれか1種類の水害ハザードマップを提示すればよい。
  3. 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、売買又は交換の媒介のときは重要事項説明の際に水害ハザードマップを提示しなければならないが、貸借の媒介のときはその必要はない。
  4. 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明書に水害ハザードマップを添付すれば足りる。

正解:1

はじめに

水害ハザードマップ上の所在地」から、丸々1問の出題です(宅建業法35条1項14号、規則16条の4の3第3号の2)。
まずは、基本知識を整理しておきましょう。

■取引物件に関する事項

「水害ハザードマップ上の所在地」は、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域と同じグループ、つまり、「災害の際に素早く避難できるよう避難所・避難ルートなどの情報を確認しておかなければならない!」というグループです。
したがって、売買でも貸借でも、宅地でも建物でも、すべてのパターンで重要事項とされています。

■重要事項説明書での扱い

重要事項説明書のサンプルを見ておくと、具体的なイメージがつかめるでしょう。「水害ハザードマップ」とまとめていますが、その中には、「洪水」「雨水出水(内水)」「高潮」の3種類が含まれています。

■参照項目&類似過去問(全選択肢合わせて)
内容を見る
取引物件に関する重要事項(⑨水害ハザードマップ上に表示されているときは、その所在地)(宅建業法[11]2(2)⑨)
年-問-肢内容正誤
1R04-36-3賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。×
2R03s-44-ア賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。
3R03-33-1宅地建物取引業者は、市町村が、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことを確認できた場合は、重要事項説明書にその旨記載し、重要事項説明の際に提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨を説明すればよい。
4R03-33-2宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む「洪水」、「雨水出水(内水)」、「高潮」の水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明の際にいずれか1種類の水害ハザードマップを提示すればよい。
×
5R03-33-3宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、売買又は交換の媒介のときは重要事項説明の際に水害ハザードマップを提示しなければならないが、貸借の媒介のときはその必要はない。
×
6R03-33-4宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明書に水害ハザードマップを添付すれば足りる。
×

1 正しい

宅地や建物が存する市町村に照会し、市町村が、取引対象となる宅地や建物の位置を含むハザードマップを作成せず、又は公開していないことが確認された場合、その時点で宅建業者の調査義務は果たされたことになります。この場合、重要事項説明書には、水害ハザードパップが存在しない旨を記載し、説明することになります(解釈・運用の考え方)。

2 誤り

市町村が「洪水」、「雨水出水(内水)」、「高潮」という3種類の水害ハザードマップを作成している場合、その全てについて、重要事項説明書に記載し、説明する必要があります。
「いずれか1種類の水害ハザードマップ」の説明だけでは、それ以外の災害に対処することができないため、不十分です。

3 誤り

(「はじめに」の表を参照。)
水害ハザードマップ上の所在地は、水害の際に避難するために必要な情報です。その人が宅地や建物の所有者であっても、賃借人であっても、この情報を知っておく必要があるわけです。
本肢は、宅地又は建物の「貸借の媒介のときはその必要はない」とする点が誤りです。

4 誤り

宅建業者に要求されているのは、「水害ハザードマップ上の所在地」について、重要事項説明書に記載し、説明することです。水害ハザードマップの添付は、この記載や説明を充実させるための手段に過ぎません。
水害ハザードマップ上の所在地を示すこともなく、重要事項説明書にも記載しないまま、ただ単に「水害ハザードマップを添付」するだけでは、義務を果たしたことにはなりません。


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