【宅建過去問】(令和04年問07)失踪宣告(組合せ問題)
不在者Aが、家庭裁判所から失踪宣告を受けた。Aを単独相続したBは相続財産である甲土地をCに売却(以下この問において「本件売買契約」という。)して登記も移転したが、その後、生存していたAの請求によって当該失踪宣告が取り消された。本件売買契約当時に、Aの生存について、(ア)Bが善意でCが善意、(イ)Bが悪意でCが善意、(ウ)Bが善意でCが悪意、(エ)Bが悪意でCが悪意、の4つの場合があり得るが、これらのうち、民法の規定及び判例によれば、Cが本件売買契約に基づき取得した甲土地の所有権をAに対抗できる場合を全て掲げたものとして正しいものはどれか。
- (ア)、(イ)、(ウ)
- (ア)、(イ)
- (ア)、(ウ)
- (ア)
正解:4
設定の確認
失踪宣告とは
どこにいるか分からない人(不在者)でも、死亡が確認されていなければ、権利能力を失いません。その人の財産を処分したり、その人と離婚したり、という手続を勝手に進めることは不可能です。
そのような場合のために、失踪宣告という仕組みが用意されています。
不在者の生死が7年間明らかでない場合には、家庭裁判所がその人の失踪を宣告します(民法30条1項)。そうすると、不在後7年経過したときに、その人が死亡したものとみなされます(同法31条)。死亡したと扱うわけですから、財産の相続や配偶者の再婚が可能になります。
失踪宣告の取消し
失踪宣告を受けた人が実際には生きていた!ということもあるでしょう。その場合、家庭裁判所は、失踪宣告を取消ししなければなりません(民法32条1項前段)。
この場合、問題になるのが、失踪宣告を受けてからその宣告が取り消されるまでの間にした行為の効力です。この問題について、「その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。」という条文があります(同項後段)。判例は、行為が契約のように双方当事者がある場合、「双方の善意」が必要としています(大判昭13.02.07)。したがって、Cが甲土地の所有権をAに対抗できるのは、B・C双方が善意である(ア)のケースだけです。正解は、肢4。
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