【宅建過去問】(令和04年問23)印紙税

印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の覚書又は契約書はいずれも書面により作成されたものとする。

  1. 土地を8,000万円で譲渡することを証した覚書を売主Aと買主Bが作成した場合、本契約書を後日作成することを文書上で明らかにしていれば、当該覚書には印紙税が課されない。
  2. 一の契約書に甲土地の譲渡契約(譲渡金額6,000万円)と、乙建物の譲渡契約(譲渡金額3,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。
  3. 当初作成した土地の賃貸借契約書において「契約期間は5年とする」旨の記載がされていた契約期間を変更するために、「契約期間は10年とする」旨を記載した覚書を貸主Cと借主Dが作成した場合、当該覚書には印紙税が課される。
  4. 駐車場経営者Eと車両所有者Fが、Fの所有する車両を駐車場としての設備のある土地の特定の区画に駐車させる旨の賃貸借契約書を作成した場合、土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。

正解:3

1 誤り

印紙税課税の対象となる「契約書」というのは、
(1).契約の成立・更改
(2).契約の内容の変更・補充
の事実を証する文書をいいます。仮契約書、覚書、副本など、名称は問いません。
本肢の「覚書」は、(1)のうち、契約成立の事実を証する文書です。したがって、「契約書」に該当し、印紙税の課税対象となります。本契約書などの正式文書を後日作成することとなっている場合でも、課税義務を免れることはできません(印紙税基本通達58条)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
仮契約書・覚書(税・鑑定[05]3(1)④)
年-問-肢内容正誤
仮契約書
1H23-23-2本契約書を後日作成することを文書上で明らかにした、土地を8,000万円で譲渡することを証した仮契約書には、印紙税は課されない。×
2H16-28-1後日、本契約書を作成することを文書上で明らかにした、土地を1億円で譲渡することを証した仮契約書には、印紙税は課されない。×
覚書
1R04-23-1土地を8,000万円で譲渡することを証した覚書を売主と買主が作成した場合、本契約書を後日作成することを文書上で明らかにしていれば、当該覚書には印紙税が課されない。×
2R04-23-3当初作成した土地の賃貸借契約書において「契約期間は5年とする」旨の記載がされていた契約期間を変更するために、「契約期間は10年とする」旨を記載した覚書を貸主と借主が作成した場合、当該覚書には印紙税が課される。
3H23-23-1当初作成した土地の賃貸借契約書において記載がされていなかった「契約期間」を補充するために「契約期間は10年とする」旨が記載された覚書を作成したが、当該覚書にも印紙税が課される。
副本
1H04-29-1不動産の売買契約書を2通作成し、1通には正本、他の1通には副本と表示した場合、副本には、印紙税は課税されない。
×

2 誤り

一つの契約書に複数の契約に関する金額が記載されている場合、記載された契約の種類によって扱いが異なります。

本肢は、一つの契約書に「複数の譲渡契約」について記載されたケースです。この場合、記載された金額の合計額を文書の記載金額と扱います。
甲土地の譲渡金額6,000万円と乙建物の譲渡金額3,000万円を合計した9,000万円が契約書の記載金額です。

※複数の記載金額が、土地の譲渡契約と建物の建築請負契約に関するものである場合、高いほうの金額が記載金額と扱われます。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
一つの契約書に複数の金額が記載されている場合(税・鑑定[05]3(1)③)
年-問-肢内容正誤
同種の契約
1R04-23-2一の契約書に甲土地の譲渡契約(譲渡金額6,000万円)と、乙建物の譲渡契約(譲渡金額3,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。×
2H23-23-3「甲土地を6,000万円、乙建物を3,500万円、丙建物を1,500万円で譲渡する」旨を記載した契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、6,000万円である。×
3H16-28-4「甲土地を5,000万円、乙土地を4,000万円、丙建物を3,000万円で譲渡する」旨を記載した契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、9,000万円である。×
一つの契約書に土地の譲渡契約と建物の建築請負契約を記載した場合
1R05-23-2一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額5,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額6,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1億1,000万円である。×
2H25-23-3一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額4,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額5,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、5,000万円である。
3H17-27-2一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額3,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額2,000万円)をそれぞれ記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の契約金額は、5,000万円である。×
4H12-27-2土地の譲渡契約(記載金額5,000万円)と建物の建築工事請負契約(記載金額3,000万円)を1通の契約書にそれぞれ区分して記載した場合、その契約書の記載金額は8,000万円である。×

3 正しい

(肢1参照。)
本肢の「覚書」は、(2)のうち、契約内容変更の事実を証する文書です。したがって、「契約書」に該当し、印紙税の課税対象となります。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
仮契約書・覚書(税・鑑定[05]3(1)④)
年-問-肢内容正誤
仮契約書
1H23-23-2本契約書を後日作成することを文書上で明らかにした、土地を8,000万円で譲渡することを証した仮契約書には、印紙税は課されない。×
2H16-28-1後日、本契約書を作成することを文書上で明らかにした、土地を1億円で譲渡することを証した仮契約書には、印紙税は課されない。×
覚書
1R04-23-1土地を8,000万円で譲渡することを証した覚書を売主と買主が作成した場合、本契約書を後日作成することを文書上で明らかにしていれば、当該覚書には印紙税が課されない。×
2R04-23-3当初作成した土地の賃貸借契約書において「契約期間は5年とする」旨の記載がされていた契約期間を変更するために、「契約期間は10年とする」旨を記載した覚書を貸主と借主が作成した場合、当該覚書には印紙税が課される。
3H23-23-1当初作成した土地の賃貸借契約書において記載がされていなかった「契約期間」を補充するために「契約期間は10年とする」旨が記載された覚書を作成したが、当該覚書にも印紙税が課される。
副本
1H04-29-1不動産の売買契約書を2通作成し、1通には正本、他の1通には副本と表示した場合、副本には、印紙税は課税されない。
×

4 誤り

賃貸借関連の文書については、以下の表で、課税・非課税を整理しています。

賃貸借関連の文書

それでは、駐車場を借りたときの契約書は、建物賃貸借契約書と土地賃貸借契約書のどちらに当たるのでしょうか。
土地賃貸借契約書と判断されるのは、「更地」を賃貸借する場合です。それ以外の場合、つまり、駐車区画に分かれていたり、駐車設備を使わせたりする場合は、施設の賃貸借契約書と判断します。これは建物の賃貸借契約書と同じ扱いですから、印紙税は課税されません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
賃貸借関連の文書(税・鑑定[05]3(1)②)
年-問-肢内容正誤
建物賃貸借契約書
1H02-30-1「月額家賃10万円、契約期間2年間、権利金60万円、敷金30万円とする」旨を記載した建物の賃貸借契約書については、印紙税は課税されない。
土地賃貸借契約書・地上権設定契約書
1R04-23-4駐車場経営者Aと車両所有者Bが、Bの所有する車両を駐車場としての設備のある土地の特定の区画に駐車させる旨の賃貸借契約書を作成した場合、土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。×
2R02-23-4「契約期間は10年間、賃料は月額10万円、権利金の額は100万円とする」旨が記載された土地の賃貸借契約書は、記載金額1,300万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。×
3H13-27-3土地の賃貸借契約書で「賃借料は月額10万円、契約期間は10年間とし、権利金の額は100万円とする」旨が記載された契約書は、記載金額1,200万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。×
4H04-29-3「地上権存続期間50年、地上権設定の対価1億円、地代年2,000万円とする」旨の地上権設定契約書は、記載金額1億円の地上権の設定に関する契約書として、印紙税が課税される。
5H02-30-4「月額賃料20万円、契約期間2年間、権利金100万円、保証金100万円とする」旨を記載した土地の賃貸借契約書については、記載金額680万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として、印紙税が課税される。×
権利金の領収証
1H17-27-3A社の発行する「土地の賃貸借契約に係る権利金として、B社振出しの令和xx年4月1日付No.1234の手形を受領した。」旨が記載された領収書は、記載金額のない売上代金に係る有価証券の受取書として印紙税が課される。×

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