印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の契約書又は受取書(領収書)はいずれも書面により作成されたものとする。
- 印紙税の課税文書である不動産譲渡契約書を作成したが、印紙税を納付せず、その事実が税務調査により判明した場合は、納付しなかった印紙税額と納付しなかった印紙税額の10%に相当する金額の合計額が過怠税として徴収される。
- 「Aの所有する甲土地(価額3,000万円)とBの所有する乙土地(価額3,500万円)を交換する」旨の土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は3,500万円である。
- 「Aの所有する甲土地(価額3,000万円)をBに贈与する」旨の贈与契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、3,000万円である。
- 売上代金に係る金銭の受取書(領収書)は記載された受取金額が3万円未満の場合、印紙税が課されないことから、不動産売買の仲介手数料として、現金49,500円(消費税及び地方消費税を含む。)を受け取り、それを受領した旨の領収書を作成した場合、受取金額に応じた印紙税が課される。
正解:2
1 誤り
課税文書の作成者が印紙税を納付せず、そのことが税務調査により判明した場合、印紙税の額と、その2倍に相当する金額との合計額(印紙税額の3倍)が過怠税として徴収されます(印紙税法20条1項)。
※自主的に申告した場合であれば、過怠税は印紙税額の1.1倍相当額です。
■参照項目&類似過去問
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過怠税(税・鑑定[05]5(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | H28-23-1 | 印紙税の課税文書である不動産譲渡契約書を作成したが、印紙税を納付せず、その事実が税務調査により判明した場合は、納付しなかった印紙税額と納付しなかった印紙税額の10%に相当する金額の合計額が過怠税として徴収される。 | × |
2 | H21-24-4 | 印紙をはり付けることにより印紙税を納付すべき契約書について、印紙税を納付せず、その事実が税務調査により判明した場合には、納付しなかった印紙税額と同額に相当する過怠税が徴収される。 | × |
3 | H05-30-1 | 印紙により印紙税を納付すべき文書について印紙税を納付しなかった課税文書の作成者が、自主的に所轄税務署長に対し、印紙税を納付していない旨の申出をした場合、過怠税は、納付しなかった印紙税額の3倍の金額である。 | × |
2 正しい
交換契約書の記載金額は、以下のルールで決まります(印紙税基本通達23条)。
本肢では双方の金額が記載されていますから、高いほうの金額(3,500万円)を記載金額と扱います。
■参照項目&類似過去問
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交換契約書(税・鑑定[05]3(1)①)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | R02-23-2 | 「Aの所有する土地(価額5,000万円)とBの所有する土地(価額4,000万円)とを交換する」旨の土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は4,000万円である。 | × |
2 | H28-23-2 | 「Aの所有する甲土地(価額3,000万円)とBの所有する乙土地(価額3,500万円)を交換する」旨の土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は3,500万円である。 | ◯ |
3 | H23-23-4 | 「Aの所有する土地(価額7,000万円)とBの所有する土地(価額1億円)とを交換し、AはBに差額3,000万円支払う」旨を記載した土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、3,000万円である。 | × |
4 | H18-27-1 | 「Aの所有する土地(価額1億7,000万円)とBの所有する土地(価額2億円)とを交換し、AはBに差額3,000万円支払う」旨を記載した土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、2億円である。 | ◯ |
5 | H05-30-3 | 「評価額1億円の土地と評価額1億5,000万円の土地を交換し、差額5,000万円を現金で支払う」旨を記載した土地交換契約書は、記載金額5,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として、印紙税が課せられる。 | × |
3 誤り
贈与契約においては、譲渡の対価たる金額がないわけですから、契約金額がないものとして取り扱います(印紙税基本通達23条)。したがって、贈与契約の契約書は、記載金額のない不動産の譲渡に関する契約書と扱われ、印紙税が課税されます。
「記載金額3,000万円」と扱うわけではありません。
■参照項目&類似過去問
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贈与契約書(税・鑑定[05]3(1)①)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | R05-23-3 | 「Aの所有する甲土地(時価2,000万円)をBに贈与する」旨を記載した贈与契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、2,000万円である。 | × |
2 | H28-23-3 | 「Aの所有する甲土地(価額3,000万円)をBに贈与する」旨の贈与契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、3,000万円である。 | × |
3 | H21-24-2 | 「時価3,000万円の土地を無償で譲渡する」旨を記載した贈与契約書は、記載金額3,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として印紙税が課される。 | × |
4 | H17-27-1 | 「時価3,000万円の土地を贈与する。」旨を記載した契約書について、印紙税の課税標準となる当該契約書の契約金額は、3,000万円である。 | × |
5 | H05-30-2 | 「時価1億円の土地を贈与する」旨を記載した契約書は、記載金額のない不動産の譲渡に関する契約書として、印紙税が課せられる。 | ◯ |
4 誤り
売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書は、記載された受取金額が5万円未満の場合、非課税です(印紙税額の一覧表17号)。
本肢の領収書の記載金額は49,500円(5万円未満)ですから、印紙税は課税されません。
■参照項目&類似過去問
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非課税文書(税・鑑定[05]3(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | H28-23-4 | 売上代金に係る金銭の受取書(領収書)は記載された受取金額が3万円未満の場合、印紙税が課されないことから、不動産売買の仲介手数料として、現金49,500円(消費税及び地方消費税を含む。)を受け取り、それを受領した旨の領収書を作成した場合、受取金額に応じた印紙税が課される。 | × |
2 | H18-27-4 | 給与所得者が自宅の土地建物を譲渡し、代金8,000万円を受け取った際に作成した領収書には、金銭の受取書として印紙税が課される。 | × |
3 | H13-27-4 | 給与所得者である個人Aが生活の用に供している土地建物を株式会社であるB社に譲渡し、代金1億円を受け取った際に作成する領収書は、金銭の受取書として印紙税が課される。 | × |
4 | H11-28-1 | 個人が生活の用に供している自宅の土地建物を譲渡し、代金1億円を受け取った際に作成する領収証には、印紙税は課税されない。 | ◯ |
5 | H02-30-1 | 「月額家賃10万円、契約期間2年間、権利金60万円、敷金30万円とする」旨を記載した建物の賃貸借契約書については、印紙税は課税されない。 | |
消費税の扱い(税・鑑定[05]3(1)①)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | R02-23-1 | 「建物の電気工事に係る請負代金は1,100万円(うち消費税額及び地方消費税額100万円)とする」旨を記載した工事請負契約書について、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1,100万円である。 | × |
2 | H28-23-4 | 売上代金に係る金銭の受取書(領収書)は記載された受取金額が3万円未満の場合、印紙税が課されないことから、不動産売買の仲介手数料として、現金49,500円(消費税及び地方消費税を含む。)を受け取り、それを受領した旨の領収書を作成した場合、受取金額に応じた印紙税が課される。 | × |
3 | H25-23-4 | 「建物の電気工事に係る請負金額は2,200万円(うち消費税額及び地方消費税額が200万円)とする」旨を記載した工事請負契約書について、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、2,200万円である。 | × |
4 | H18-27-2 | 建物の建築工事請負契約に際して、請負人C社が「請負金額2,200万円(うち消費税及び地方消費税の金額200万円)を受領した」旨を記載した領収書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該領収書の記載金額は、2,200万円である。 | × |
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設問肢4の記載
>売上代金に係る金銭の受取書(領収書)は記載された受取金額が3万円未満の場合、印紙税が課されないことから、
こちら、「3万円未満の場合は」印紙税が課税されない、という出題文の前提そのものが誤りという理解でよろしいでしょうか。
はい、ご理解の通りです。
印紙税が課されないのは、記載された受取金額が「5万円未満」の場合です。「3万円未満」ではありません。
そのため、記載金額が49,500円の領収書について、「印紙税が課される」という結論も誤っています。
参照項目は、以下のところです。
■税・鑑定[05]印紙税
3.課税・非課税
(2).非課税文書