建物滅失時の対抗要件(借地借家法)
めでたく
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
正月の間に昨年中に撮った写真を整理していたら、借地借家法の勉強になりそうな一枚を発見したのです。
また、このブログに「目で見る宅建(メデタク)」という、おめでたいコーナーがあったことを思い出しました。
ということで、発見した写真を使って「メデタク」に記事を書き、新年を祝うことにしましょう。
一枚の写真
記載を読むと
この写真は、2017年4月2日に、東京都台東区駒形の路上で撮影したものです。
写真の表題には、「【借地借家法10条2項の掲示】」とあります。さらに、表題の下の記述を見ると、以下のように記載されています。
この土地については、(1)の者が借地権を有しており、その上に借地権所有者の(2)の建物が建っておりましたが、(3)の日に滅失しました。借地権者は、(3)の日から2年が経過するまでに建物を新たに築造する予定ですので、借地借家法第10条2項の規定に基づき掲示をします。
写真の意味は
これは、借地借家法で勉強する「建物滅失時の対抗要件」の実例ですね。テキストでは、借地借家法第2章「借地権の効力」の(3)で説明しています。
登記記録も何も調べていませんが、以下のような流れだったのではないでしょうか。
- 土地所有者CからB銀行が土地を借り受け、土地上に銀行店舗(甲建物)を建築した。
- B銀行は、甲建物に関し登記した。
- Aホテルは、B銀行からこの建物を買い受けた。
- A・Bは、借地権の譲渡についてCの承諾を受けた。
- 甲建物の登記は、BからAに移転した。
- Aが甲建物を取り壊した。
写真の後の話
Aホテルによる建築計画は順調に進んでいるようで、2017年3月9日には起工式を迎えています。2018年8月のオープンを目指して、工事が進んでいるようです。
■台東区第8弾ホテル アパホテル〈浅草駅前〉本日起工式開催(エキサイトニュース)
本試験での出題例
この知識に関する宅建本試験での出題例をまとめておきましょう。
●平成24年問11肢2
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、建物が全焼した場合でも、借地権者は、その土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば、借地権を第三者に対抗することができる場合がある。
(Aが、Bに、A所有の甲地を建物の所有を目的として賃貸し、Bがその土地上に乙建物を新築し、所有している。)
乙建物が滅失した場合でも、Bが借地借家法に規定する事項を甲地の上の見やすい場所に掲示したときは、Bは、甲地に賃借権の登記をしていなくても、滅失のあった日から2年間は、甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたDに対し、甲地の賃借権を対抗できる。
(Aは、建物の所有を目的としてBから土地を貸借し、建物を建築して所有しているが、その土地の借地権については登記をしていない。)
本件建物が火事により滅失した場合、建物を新たに築造する旨を本件土地の上の見やすい場所に掲示していれば、Aは、本件建物について登記していなかったときでも、借地権をCに対抗することができる。
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