民法[14]根抵当権

住宅ローンなどに使われる一般的な抵当権以外に、根抵当権という権利もあります。
例えば、「メーカーと小売店との継続的取引について担保を用意する」ような場合に利用されるシステムです。正確な言葉でいえば、「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するための抵当権」となります。ややこしいところですが、理解しておきましょう。

1.根抵当権とは

(1).条文

一定の範囲に属する不特定の債権を
極度額の限度において
担保するための抵当権

(2).必要性
①普通抵当権
[例]住宅ローン

②継続的取引の場合
[例]メーカーと小売店の間の取引

③普通抵当権と根抵当権の比較

2.根抵当権の設定

(1).被担保債権の範囲

一定の範囲に属する不特定の債権
◯商品供給取引
◯銀行取引
◯将来発生する債権
×「AのBに対するすべての債権」(包括根抵当権)
★過去の出題例★

民法[14]2(1)
根抵当権:被担保債権の特定
 年-問-肢内容正誤
126-04-1普通抵当権では被担保債権の特定が必要だが、根抵当権ではあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権にできる。×
215-06-1普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権の特定が必要である。×
315-06-2普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。
412-05-1根抵当権は、根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権をすべて担保するという内容で、設定することができる。×
508-07-1根抵当権は、将来有することとなる不特定の貸付金債権であっても、一定の種類の取引によって生ずるものに限定されているときは、設定することができる。
603-07-2不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても存在するものがある。
(2).極度額
①極度額とは

債権者と債務者間の取引上の限度額

②極度額を超えた場合


★過去の出題例★

民法[14]2(2)
根抵当権:極度額
 年-問-肢内容正誤
123-04-1極度額の範囲内でも、遅延損害金として満期となった最後の2年分の利息しか請求できない。×
219-08-3極度額を超えても、遅延損害金として満期となった最後の2年分の利息を請求できる。×
319-08-4(Aは、自己所有の甲不動産につき、B信用金庫に対し、極度額を3,000万円、被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」とする第1順位の根抵当権を設定し、その旨の登記をした。)Aが友人CのためにB信用金庫との間で保証契約を締結し保証債務を負担した場合、B信用金庫のAに対するこの保証債権は、「信用金庫取引による債権」に含まれ、この根抵当権で担保される。
415-06-4普通抵当権でも、根抵当権でも、遅延損害金は最後の2年分の利息の範囲内に限られる。×
512-05-3極度額が1億円の場合、根抵当権者は、元本1億円とそれに対する最後の2年分の利息及び損害金の合計額につき、優先弁済を主張できる。×
608-07-2極度額に加え、遅延損害金として満期となった最後の2年分の利息を請求できる。×
708-07-3確定期日後の利息・損害金も極度額の範囲で優先弁済される。

3.根抵当権権(元本確定前)の変更・処分

(1).変更


★過去の出題例★

民法[14]3(1)
根抵当権:変更

 年-問-肢内容正誤
被担保債権の範囲・債務者の変更
119-08-1元本確定前に、被担保債権の範囲を変更するには、後順位抵当権者の承諾が必要である。×
201-05-2根抵当権者は、後順位抵当権者の承諾を得ることなく、担保すべき債権の範囲を変更できる。
極度額の変更
112‐05‐2根抵当権の極度額は、いったん登記がされた後は、後順位担保権者その他の利害関係者の承諾を得た場合でも、増額することはできない。×
201-05-4根抵当権者は、元本の確定後においても、利害関係を有する者の承諾を得て、根抵当権の極度額の変更をすることができる。
(2).処分


★過去の出題例★

民法[14]3(2)
根抵当権:処分

 年-問-肢内容正誤
転抵当以外の処分の禁止
126-04-4普通抵当権では抵当権の順位を譲渡できるが、元本の確定前の根抵当権では根抵当権の順位を譲渡できない。
201-05-1根抵当権者は、元本の確定前において、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その順位を譲渡することができる。×
根抵当権の譲渡
101-05-3根抵当権者は、元本の確定前において、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部を譲渡することができる。

4.根抵当権(元本確定前)の性質

(1).付従性

なし
被担保債権が消滅しても、根抵当権は消滅しない

(2).随伴性

なし
被担保債権を取得しても、根抵当権を行使できない
★過去の出題例★

民法[14]4(2)
根抵当権:随伴性
 年-問-肢内容正誤
123-04-2元本確定前に被担保債権を譲り受けても、根抵当権を行使できない。
219-08-2元本確定前に被担保債権を譲り受けた者は、確定日付のある証書で債権譲渡通知をすれば、根抵当権を行使できる。×
315-06-3普通抵当権にも、根抵当権にも、随伴性がある。×
412-05-4元本確定前に被担保債権を譲り受けても、根抵当権を行使できない。
(3).[比較]普通抵当権(⇒[13]3(1)、4(3)

5.元本の確定

(1).元本の確定とは
①意味

被担保債権を確定すること

②確定の結果

元本確定後の根抵当権≒普通抵当権

(2).元本の確定請求

元本確定期日の定めがない場合

(3).極度額の減額請求

元本の確定後は、
1. 現に存する債務の額
2. 以後2年間に生ずべき利息
の合計額まで減額請求可
★過去の出題例★

民法[14]5
根抵当権:元本の確定

 年-問-肢内容正誤
元本の確定請求
123-04-3根抵当権設定者は、元本の確定請求ができない。×
208-07-4根抵当権設定者は、設定時より3年経過すれば元本確定請求が可能。請求の2週間後に確定。
極度額の減額請求
123-04-4根抵当権設定者は、元本の確定後であっても、極度額の減額を請求できない。×

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