民法[15]債務不履行


建物の売買契約を締結した場合、買主は代金を支払う義務(債務)を負い、売主は建物を引き渡す義務を負います。期日になっても買主が代金を支払わなかったり(履行遅滞)、引渡しの前に売主の過失によって建物が燃えてしまった(履行不能)場合が、債務不履行の問題です。
債務不履行があった場合、債権者は、損害賠償を請求したり、契約を解除することができます。

1.債務不履行とは

(1).売買契約のイメージ(⇒[24]1(1)(2)

(2).債務不履行の類型
①履行遅滞のイメージ

②履行不能のイメージ

③不完全履行のイメージ

2.債務不履行の要件

(1).履行遅滞
①要件
  1. 履行期に履行が可能であるにも関わらず、履行期を過ぎても履行しないこと
  2. 不履行が違法であること

 

②不履行が違法でない場合
  1. 留置権の存在(⇒[14]1(1)
  2. 同時履行の抗弁権の存在(⇒[22]1(3)①
(2).履行不能

債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるとき

(3).不完全履行
  1. 債務が一応は履行されたこと
  2. 履行が本来の内容でないこと
    (例:種類・品質・数量が契約内容と不適合。⇒[24]3(1)
(4).履行遅滞中の履行不能

債務者が履行遅滞の責任を負っている
当事者双方の帰責事由がないのに履行不能に
→履行不能は、債務者の帰責事由によるものとみなす

★過去の出題例★

履行遅滞中の履行不能(民法[15]2(4))
履行遅滞中の履行不能(民法[23]2(2))
 年-問-肢内容正誤
108-11-4買主が代金の支払を終えたのに、物件の引渡しを請求しても売主が応じない場合、建物が地震で全壊したときは、買主は、契約を解除して代金返還を請求することができない。×
201-09-4所有権移転登記が完了し、引渡し期日が過ぎたのに、売主が売買契約の目的物である家屋の引渡しをしないでいたところ、その家屋が類焼によって滅失した場合、買主は、契約を解除することができる。

3.債務不履行の効果

(1).損害賠償の範囲

★過去の出題例★

損害賠償の範囲(民法[15]3(1))
 年-問-肢内容正誤
126-01-4債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみが賠償範囲に含まれる旨は、民法の条文に規定されている。×
222-06-1債権者は、債務の不履行によって通常生ずべき損害のうち、契約締結当時、両当事者がその損害発生を予見していたものに限り、賠償請求できる。×
322-06-2債権者は、特別の事情によって生じた損害のうち、契約締結当時、両当事者がその事情を予見していたものに限り、賠償請求できる。×
(2).損害賠償額の予定
①目的

損害額の算定→複雑
予定額で簡単に解決

②ルール

③予定という意味

実際の損害額の多少によらず、予定額で解決

④予定条項がない場合

実際に発生した損害額を賠償
損害額の証明が必要
★過去の出題例★

損害賠償額の予定(民法[15]3(2))
 年-問-肢内容正誤
126-01-2当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる旨は、民法の条文に規定されている。
216-04-3手付金相当額を損害賠償の予定と定めた場合、損害がその額を超えていても、その額以上に損害賠償請求することはできない。
314-07-1賠償額の予定条項があっても、債務者が履行遅滞について帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。
414-07-3裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。×
514-07-4賠償額の予定条項がある場合、債権者は履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額を主張・立証する必要はない。
606-06-4実際の損害額が違約金より少なければ、違約金の減額を求めることができる。×
704-07-4賠償額の予定がない場合、売主から解除する場合の損害賠償額は手付の倍額とされる。×
802-02-2賠償額の予定は、契約と同時にしなければならない。×
902-02-3賠償額の予定は、金銭以外のものですることができる。
1002-02-4賠償額を予定した場合、実際の損害額が予定額より大きいことを証明しても予定額を超えて請求することはできない。

4.過失相殺


★過去の出題例★

過失相殺(民法[15]4)
 年-問-肢内容正誤
127-01-4債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める旨は、民法の条文に規定されている。
222-06-4債務者から主張がなければ、裁判所は過失相殺を考慮することができない。×
314-07-2賠償額の予定があっても、裁判所は過失相殺の考慮が可能。

5.金銭債務の特則

★過去の出題例★
金銭債務の特則(民法[15]5)
 年-問-肢内容正誤
124-08-2貸主Aと借主Bとの間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年3パーセントの利率により算出する。
224-08-4当てにしていた入金がなかったため、借金が返済できなかった場合、債務不履行にはならない。×
302-02-1金銭債務の不履行については、債権者は、損害の証明をすることなく、損害賠償を請求できる。
法定利率(民法[15]5)
 年-問-肢内容正誤
128-01-1
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年3%とする旨が、民法の条文に規定されている。
224-08-2貸主Aと借主Bとの間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年3パーセントの利率により算出する。
303-09-1利率について別段の定めがないときは、貸主は、利息を請求することができない。×

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