【宅建過去問】(平成29年問01) 代理・復代理
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- 売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。
- 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
- 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。
- 夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。
正解:3
1 正しい
売買契約締結の代理権を与えられたということは、買主との間で、「売る」「買う」といった意思表示のやり取りをする権限を持っているということです(民法99条1項)。
この代理人は、相手方からの「売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限」も持っている、と考えるほうが自然です(取消しの意思表示だけは、本人に宛ててしなければならない、というのはヘンです)。
判例の結論も同じです(最判昭34.02.13)。
2 正しい
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができません(民法104条)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 29-01-2 | 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。 | ◯ |
2 | 29-01-3 | 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。 | × |
3 | 24-02-4 | 法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。 | ◯ |
4 | 21-02-3 | 任意代理人は、自ら選任・監督すれば、本人の意向にかかわらず復代理人を選任できる。 | × |
5 | 19-02-1 | 任意代理人は、やむを得ない事由があれば、本人の許諾を得なくても復代理人を選任できる。 | ◯ |
6 | 19-02-2 | 任意代理人が、復代理人の選任につき本人の許諾を得たときは、選任に過失があったとしても責任を負わない。 | × |
7 | 19-02-4 | 任意代理人が復代理人を適法に選任したときは、復代理人は本人に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、代理人の代理権は消滅する。 | × |
8 | 13-08-4 | 任意代理人は、やむを得ない事情があっても、本人の承諾がなければ、復代理人を選任できない。 | × |
9 | 12-01-2 | 任意代理人は、自己の責任により、自由に復代理人の選任ができる。 | × |
3 誤り
委任による代理関係において、受任者(代理人)は、委任事務に当たって受け取った物を委任者(本人)に引き渡す義務を負います(民法646条1項)。代理人と復代理人との間にも同様の委任関係がありますから、復代理人は、受領物を代理人に引き渡す義務を負っています。さらに、復代理人は、本人に対して、代理人と同一の義務を負います(同法107条2項)。ということは、復代理人は、受領物を本人に引き渡す義務も負っていることになります。つまり、復代理人は、受領物を(1)代理人に引き渡す義務と(2)本人に引き渡す義務の2つの義務を負っているわけです。
本肢の復代理人は、受け取った物(金銭)を(1)代理人に引き渡しています。これにより、代理人に対する受領物引渡義務は消滅します。それでは、(2)本人に引き渡す義務は、どうなるでしょうか。こちらの義務も消滅する、と考えるのが自然です。受領物を代理人に引渡したにもかかわらず、本人にも引き渡す義務がある、というのは、復代理人に二重の負担を課すことになるからです。また、例えば、引渡しの対象が不動産だったような場合を考えると、代理人・本人の双方に引き渡すのは、そもそも不可能です。
※これと同じ結論の判例がありますが(最判昭51.04.09)、それを知らないと解けない、というほどの問題ではありません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 29-01-2 | 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。 | ◯ |
2 | 29-01-3 | 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。 | × |
3 | 24-02-4 | 法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。 | ◯ |
4 | 21-02-3 | 任意代理人は、自ら選任・監督すれば、本人の意向にかかわらず復代理人を選任できる。 | × |
5 | 19-02-1 | 任意代理人は、やむを得ない事由があれば、本人の許諾を得なくても復代理人を選任できる。 | ◯ |
6 | 19-02-2 | 任意代理人が、復代理人の選任につき本人の許諾を得たときは、選任に過失があったとしても責任を負わない。 | × |
7 | 19-02-4 | 任意代理人が復代理人を適法に選任したときは、復代理人は本人に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、代理人の代理権は消滅する。 | × |
8 | 13-08-4 | 任意代理人は、やむを得ない事情があっても、本人の承諾がなければ、復代理人を選任できない。 | × |
9 | 12-01-2 | 任意代理人は、自己の責任により、自由に復代理人の選任ができる。 | × |
4 正しい
日常家事に関する事項というのは、例えば、生活必需品を買う、とか、子供の教育費用を払う、といった事項のことをいいます。日常家事に関する法律行為から生じた債務について、民法は、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。」と定めています(同法761条。左図)。この連帯責任を根拠に、夫婦は日常家事についてお互いに代理権を有する、と考えるのが判例の立場です(最判昭44.12.18、右図)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H29-01-4 | 夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。 | ◯ |
2 | H16-02-1 | B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した。AとBとが夫婦であり契約に関して何ら取り決めのない場合には、不動産売買はAB夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内にないとCが考えていた場合も、本件売買契約は有効である。 | × |