【宅建過去問】(平成14年問07)損害賠償額の予定
AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。
- Bが、Aの過失を立証して、過失相殺の主張をしたとき、裁判所は損害額の算定にその過失を考慮することができる。
- 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。
- Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。
正解:3
1 正しい
損害賠償義務は、履行遅滞があった場合に限って発生する。このことは損害賠償額の予定条項(民法420条)があったからといって変わるものではない。
したがってBは、自己に帰責事由のないことを主張・立証すれば免責される。
■参照項目&類似過去問
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損害賠償額の予定(民法[15]3(2))
損害賠償(債務者の帰責事由)(民法[15]3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H26-01-2 | 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。 | ◯ |
2 | H16-04-3 | 手付金相当額を損害賠償の予定と定めた場合、損害がその額を超えていても、その額以上に損害賠償請求することはできない。 | ◯ |
3 | H14-07-1 | 賠償額の予定条項があっても、債務者が履行遅滞について帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。 | ◯ |
4 | H14-07-3 | 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。 | × |
5 | H14-07-4 | 賠償額の予定条項がある場合、債権者は履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額を主張・立証する必要はない。 | ◯ |
6 | H06-06-4 | 実際の損害額が違約金より少なければ、違約金の減額を求めることができる。 | × |
7 | H04-07-4 | 賠償額の予定がない場合、売主から解除する場合の損害賠償額は手付の倍額とされる。 | × |
8 | H02-02-2 | 賠償額の予定は、契約と同時にしなければならない。 | × |
9 | H02-02-3 | 賠償額の予定は、金銭以外のものですることができる。 | ◯ |
10 | H02-02-4 | 賠償額を予定した場合、実際の損害額が予定額より大きいことを証明しても予定額を超えて請求することはできない。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-04-4 | 契約に基づく債務の履行が契約の成立時に不能であったとしても、その不能が債務者の責めに帰することができない事由によるものでない限り、債権者は、履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害の賠償を請求することができる。 | ◯ |
2 | R02s-07-2 | 甲土地の売買契約における売主Aが買主Bに甲土地の引渡しをすることができなかった場合、その不履行がAの責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、BはAに対して、損害賠償の請求をすることができる。 | ◯ |
3 | H26-01-3 | 債務の履行のために債務者が使用する者の故意又は過失は、債務者の責めに帰すべき事由に含まれる旨が、民法の条文に規定されている。 | × |
4 | H23-02-4 | Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。停止条件が成就しなかった場合で、かつ、そのことにつきAの責に帰すべき事由がないときでも、AはBに対し売買契約に基づき買主としての債務不履行による損害賠償責任を負う。 | × |
5 | H14-07-1 | AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする。賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。 | ◯ |
6 | H11-10-4 | Bが、甲建物の引渡し後、建物の柱の数本に、しろありによる被害があることを発見した場合は、AがAB間の契約締結時にこのことを知っていたときでないと、Bは、Aに損害賠償の請求をすることはできない。 | × |
2 正しい
賠償額の予定条項がある場合でも、債権者に過失があったときは、これを斟酌(考慮)すべきである(最判平06.04.21)。
したがって、過失相殺(民法418条)が行われることになる。
■参照項目&類似過去問
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過失相殺(民法[15]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H27-01-4 | 債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。 | ◯ |
2 | H22-06-4 | 債務者から主張がなければ、裁判所は過失相殺を考慮することができない。 | × |
3 | H14-07-2 | 賠償額の予定があっても、裁判所は過失相殺の考慮が可能。 | ◯ |
3 誤り
賠償額の予定がある場合であっても、裁判所がその額を増減することは可能である(民法420条1項)。
増減をすることができるのが、暴利行為にあたる場合に限られるわけではない。
※令和2年の民法改正による変更点である。
■参照項目&類似過去問
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損害賠償額の予定(民法[15]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H26-01-2 | 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。 | ◯ |
2 | H16-04-3 | 手付金相当額を損害賠償の予定と定めた場合、損害がその額を超えていても、その額以上に損害賠償請求することはできない。 | ◯ |
3 | H14-07-1 | 賠償額の予定条項があっても、債務者が履行遅滞について帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。 | ◯ |
4 | H14-07-3 | 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。 | × |
5 | H14-07-4 | 賠償額の予定条項がある場合、債権者は履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額を主張・立証する必要はない。 | ◯ |
6 | H06-06-4 | 実際の損害額が違約金より少なければ、違約金の減額を求めることができる。 | × |
7 | H04-07-4 | 賠償額の予定がない場合、売主から解除する場合の損害賠償額は手付の倍額とされる。 | × |
8 | H02-02-2 | 賠償額の予定は、契約と同時にしなければならない。 | × |
9 | H02-02-3 | 賠償額の予定は、金銭以外のものですることができる。 | ◯ |
10 | H02-02-4 | 賠償額を予定した場合、実際の損害額が予定額より大きいことを証明しても予定額を超えて請求することはできない。 | ◯ |
4 正しい
賠償額の予定条項がある場合、債権者は債務不履行があったことを主張・立証すれば足りる。
この場合、債務者は、損害の有無・多少を問わず、予定の賠償額を支払わなければならない(大判大11.07.26)。
■参照項目&類似過去問
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損害賠償額の予定(民法[15]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H26-01-2 | 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。 | ◯ |
2 | H16-04-3 | 手付金相当額を損害賠償の予定と定めた場合、損害がその額を超えていても、その額以上に損害賠償請求することはできない。 | ◯ |
3 | H14-07-1 | 賠償額の予定条項があっても、債務者が履行遅滞について帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。 | ◯ |
4 | H14-07-3 | 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。 | × |
5 | H14-07-4 | 賠償額の予定条項がある場合、債権者は履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額を主張・立証する必要はない。 | ◯ |
6 | H06-06-4 | 実際の損害額が違約金より少なければ、違約金の減額を求めることができる。 | × |
7 | H04-07-4 | 賠償額の予定がない場合、売主から解除する場合の損害賠償額は手付の倍額とされる。 | × |
8 | H02-02-2 | 賠償額の予定は、契約と同時にしなければならない。 | × |
9 | H02-02-3 | 賠償額の予定は、金銭以外のものですることができる。 | ◯ |
10 | H02-02-4 | 賠償額を予定した場合、実際の損害額が予定額より大きいことを証明しても予定額を超えて請求することはできない。 | ◯ |
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