【宅建過去問】(平成23年問39)8つの規制

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宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。

  1. A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で売買契約を締結したが、B社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、B社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、B社から1,000万円の違約金を受け取った。
  2. A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの間で、割賦販売の契約をしたが、Cが賦払金の支払を遅延した。A社は20日の期間を定めて書面にて支払を催告したが、Cがその期間内に賦払金を支払わなかったため、契約を解除した。
  3. A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。
  4. A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、「不適合による契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。

正解:2

設定の確認

1 違反しない

A社もB社も宅建業者という業者間取引について問われています。
損害賠償額の予定等に関する制限は8つの規制の1つであり、業者間取引には適用されません(宅建業法38条、78条2項)。したがって、売買代金の20%(3,000万×20%=600万円)を超える損害賠償額の予定や違約金の定めも許されます。1,000万円の違約金を定め、それを受け取ったとしても、宅建業法に違反しません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
業者間取引と損害賠償額の予定(宅建業法[17]3)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者である買主Cとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1H30-29-2【建物(代金2,000万円)】
A及びCがともに宅地建物取引業者である場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除があったときの損害賠償の額を600万円とする特約を定めた。
2H27-39-3AとCとの間で締結した建築工事完了前の建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を代金の額の30%と定めることができる。
3H24-38-ア【分譲マンション(代金3,000万円)】
A社は、Cとの当該売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めることができない。
×
4H23-39-1A社は、買主C社との間で宅地(代金3,000万円)の売買契約を締結したが、C社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、C社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、C社から1,000万円の違約金を受け取った。
5H17-43-1【マンション(代金3,000万円)】
Aは、Cとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めた。この特約は無効である。
×
6H17-43-3【マンション(代金3,000万円)】
Aは、Cとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額の定めをしなかった場合、実際に生じた損害額1,000万円を立証により請求することができる。
7H16-40-2宅地建物取引業者Aが自ら完成前の物件の売主となり、宅地建物取引業者Cに売却する場合、法第38条に基づく損害賠償額の予定等の制限に関する規定が適用される。
×
8H08-48-3宅地建物取引業者でないAが、A所有のマンションを宅地建物取引業者Bの媒介により宅地建物取引業者Cに売却し、その後Cが宅地建物取引業者Dに転売する。AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「違約金の額を代金の額の3割とする」旨の特約をしても、その特約は、それぞれ代金の額の2割を超える部分については無効である。
×
9H02-40-3【マンション(代金4,000万円)】
Aは、Cと、売買契約において損害賠償額の予定の定めをしなかったが、Cが債務を履行しなかったので、3,000万円を損害賠償金として受領した。
×

2 違反する

買主Cは、宅建業者ではありません。したがって、8つの規制の1つである「割賦販売契約の解除等の制限」が適用されます。
つまり、賦払金の支払の義務が履行されない場合でも、

  1. 30日以上の相当の期間を定めて支払を書面で催告し、
  2. その期間内にその義務が履行されないとき

でなければ、

  1. 契約を解除したり、
  2. 支払時期の到来していない賦払金の支払を請求する

ことはできません(宅建業法42条1項)。


本肢では、「20日の期間を定めて書面にて支払を催告」しています。「30日以上の期間」を定めていないので、宅建業法違反です。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
割賦販売契約の解除等の制限(宅建業法[20]2)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1R02-32-3AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。×
2H28-29-エAは、自ら売主となるマンションの割賦販売の契約について、宅地建物取引業者でない買主から賦払金が支払期日までに支払われなかったので、直ちに賦払金の支払の遅延を理由として契約を解除した。×
3H23-39-2Aは、Bとの間で、割賦販売の契約をしたが、Bが賦払金の支払を遅延した。Aは20日の期間を定めて書面にて支払を催告したが、Bがその期間内に賦払金を支払わなかったため、契約を解除した。×
4H14-41-4買主Bとの割賦販売契約において、「Bが割賦金の支払を40日以上遅延した場合は、催告なしに契約の解除又は支払時期の到来していない割賦金の支払を請求することができる」と定めた契約書の条項は有効である。×

3 違反しない

買主Dは、宅建業者ではありません。したがって、8つの規制の1つである「所有権留保等の禁止」が適用されます。
つまり、売主である宅建業者は、代金の30%超を受領するまでに、登記など売主の義務を履行する必要があります(宅建業法43条1項本文)。
本肢の買主が支払ったのは、代金3,000万円のうち300万円であり、代金の10%です。したがって、A社が所有権の登記名義を移転しなかったとしても、宅建業法に違反しません。

※残金につき担保(抵当権・保証人)を用意する見込みがない場合も、例外的に所有権留保等が許されます(宅建業法43条1項ただし書き)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
所有権留保等の禁止(宅建業法[20]3)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1R04-43-4Aが建物の割賦販売を行った場合、当該建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の10分の3を超える額の支払を受けた後は、担保の目的で当該建物を譲り受けてはならない。
2R03-42-1Aが、Bとの間で、土地付建物(代金3,200万円)について割賦販売の契約を締結し、当該土地付建物を引き渡した場合、Aは、Bから800万円の賦払金の支払を受けるまでに、当該土地付建物に係る所有権の移転登記をしなければならない。
×
3H23-39-3A社は、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、宅地(代金3,000万円)の割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Bは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。
4H21-37-4Aは、Bとの間で宅地の割賦販売の契約(代金3,000万円)を締結し、当該宅地を引き渡した。この場合において、Aは、Bから1,500万円の賦払金の支払を受けるまでに、当該宅地に係る所有権の移転登記をしなければならない。
×
5H15-35-2宅地建物取引業者Aは、自ら売主としてBと4,000万円の宅地の割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えた。残代金1,000万円が未払であったため、Bは代金債務を保証する保証人を立てたが、Aは、宅地の所有権の登記をB名義のままにしておいた。
×
6H08-46-2宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でない買主Bと宅地(価格5,000万円)の売買契約を締結した。売買契約が「宅地の引渡しまでに代金の一部として1,000万円支払う」条件の割賦販売であった場合で、Bが1,000万円を支払い、Aが宅地を引き渡すときは、Aは、登記その他引渡し以外の売主の義務も履行しなければならない。
×

4 違反しない

A社もE社も宅建業者という業者間取引について問われています。
契約不適合担保責任に関する特約の制限は8つの規制の1つであり、業者間取引には適用されません(宅建業法40条、78条2項)。したがって、特約を自由に定めることが可能です。契約不適合担保期間を負う期間を「引渡しから1年」とする旨の特約をしても、宅建業法には違反しません。

※買主が宅建業者でない場合、「不適合について通知する期間を発見から2年以上」とする特約以外で、民法よりも買主に不利なものは無効となります。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
業者間取引と契約不適合担保責任(宅建業法[16]3)

[共通の設定]
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者である買主Cとの間で宅地又は建物の売買契約を締結した。
年-問-肢内容正誤
1H29-38-4宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約を定めたが、買主が宅地建物取引業者であり、当該責任に関する特約を自由に定めることができるため、37条書面にその内容を記載しなかった。×
2H25-36-4宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者間での宅地の売買の媒介に際し、当該売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約はあったが、宅地建物取引業者間の取引であったため、当該特約の内容について37条書面への記載を省略した。
×
3H24-39-2当該建物が中古建物である場合、Aは、宅地建物取引業者である買主Cとの間で、「中古建物であるため、Aは、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、その不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を定めることは、宅地建物取引業法の規定に違反しない。
4H23-39-4Aは、Cとの間で、売買契約を締結したが、当該宅地の契約不適合についてAが負う担保責任について、「契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。
5H18-38-4宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する。AはBと売買契約を締結する際、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約をした。
6H18-41-3宅地建物取引業者Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取引業者と、「Aは当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わない」旨の特約を記載した売買契約を締結した。
7H13-42-4宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者Cと建物の売買契約を締結しようとしている。AC間で、建物の譲渡価格について値引きをするかわりに、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合についてCがAに通知すべき期間については、引渡しの日から6月間とする特約を結ぶ場合、この特約は有効である。
8H08-48-2宅地建物取引業者でないAが、A所有のマンションを宅地建物取引業者Bの媒介により宅地建物取引業者Cに売却し、その後Cが宅地建物取引業者Dに転売する。AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を売主が負うべき期間を引渡しの日から1年とする」旨の特約をしても、その特約は、CD間では有効であるが、AC間では無効である。
9H02-40-1Aは、宅地建物取引業者であるCと、当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、当該マンションの引渡しの日から1年とする特約を結んだ。
10H01-44-1宅地建物取引業者相互間の宅地の売買において、売主は、売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任は一切負わないとの特約をした。

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