【宅建過去問】(令和01年問10)抵当権の処分

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債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額2,400万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額3,000万円)をそれぞれ有しているが、BはDの利益のために抵当権の順位を譲渡した。甲土地の競売に基づく売却代金が6,000万円であった場合、Bの受ける配当額として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 600万円
  2. 1,000万円
  3. 1,440万円
  4. 1,600万円

正解:1

抵当権の処分がなかった場合

最初に、抵当権の順位の譲渡がなかった場合に、誰がいくらの配当を受けるのか、を確認しておきましょう。これが出発点になります。
本問の場合、競売に基づく売却代金は、6,000万円です。
したがって、一番抵当権者のBは2,000万円、二番抵当権者のCは2,400万円とそれぞれ債権額全額の配当を受けることができます。しかし、三番抵当権者のDは、債権額(3,000万円)の一部である1,600万円の配当しか受けることができません。ここまでで6,000万円の売却代金を配当し終わりました。Dの残りの債権(1,400万円)は、この抵当権では担保されないことになります。

抵当権の順位の譲渡

BがDの利益のために、抵当権の順位を譲渡した場合、BD間では、D→Bの優先順位で配当がなされます。
具体的な計算手順は、以下の通りです。

    1. B・Dの本来の配当額を合計する(2,000万円+1,600万円=3,600万円)。
    2. この金額を、まずDに配当する(3,000万円)。
    3. 残りの600万円は、Bに配当される。

以上より、Bの受ける配当額は、600万円です。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
抵当権の処分(民法[12]6)
年-問-肢内容正誤
1R05-10計算問題
2R01-10計算問題
3H27-07計算問題
4H18-05-1計算問題
5H26-04-4普通抵当権では抵当権の順位を譲渡できるが、元本の確定前の根抵当権では根抵当権の順位を譲渡できない。
6H10-05-3抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる。

>>令和01年の問題一覧へ

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【宅建過去問】(令和01年問10)抵当権の処分” に対して4件のコメントがあります。

  1. nao より:

    家坂先生
    御忙しい中、ご対応下さりありがとうございました。
    一旦B・D間の配当範囲内で分けて、計算しないと答え出せないですね。
    先生の例題を拝見し納得しました。
    本試験で出ても対応できるよう、頑張ります。
    ありがとうございました。

    1. 家坂 圭一 より:

      nao様

      ご返信ありがとうございます。
      まずは、[Step.1]基本習得編で「抵当権の処分(抵当権の譲渡・放棄、抵当権の順位の譲渡・放棄)」の意味を再確認しましょう。
      その上で、以下の類題も解いてみてください。

      ここまで押さえておけば、
      「今年、抵当権の譲渡が出るといいなー」
      と思うレベルに到達します。

  2. nao より:

    御忙しい中恐れ入りますが教えて下さい。
    抵当権の順位についての計算のところです。

    ご説明下さっている文章を必要な個所のみコピペしてます。
          ↓↓↓
    『BがDの利益のために、抵当権の順位を譲渡した場合、BD間では、D→Bの優先順位で配当がなされます。
    具体的な計算手順は、以下の通りです。
    B・Dの本来の配当額を合計する(2,000万円+1,600円=3,600万円)。』
                     ↑
    ここの計算は、単純に6,000万円より差し引いてはならないのでしょうか。
    (6,000万-(3,000万+2,400万)=600万)
    もしよろしければ、あえてB・Dの本来の配当額を足すことを、
    教えて下さい。まだまだ理解できてなくて申し訳ありません。
    よろしくお願いいたします。

    1. 家坂 圭一 より:
      1.抵当権の譲渡とは

      一番抵当権者Bと三番三版抵当権者Dとの間で「抵当権の順位の譲渡」というのは、
      1)BとDが配当を受けるべきだった額を
      2)本来の順序を変更して、D→Bの順序で配当する、
      という意味です。
      したがって、「本来の配当されるはずだった額」を求めない限り、抵当権の順位の譲渡をした後に配当される額を計算することができません。

      2.naoさんの計算法について

      (6,000万-(3,000万+2,400万)=600万)
      が成り立つのは、一部のケースに限られます。
      つまり、この計算方法は、常に使える方法ではありません。

      本問と設定を一部だけ変えた例で試してみましょう。

      債権者Bが一番抵当権(債権額5,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額1,400万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額1,000万円)
      ※これ以外の設定は、本問と全く同じとします。

      この場合、naoさんの計算方法だと、Bの配当額は、
      6,000万-(1,400万+1,000万)=3,600万円
      ということですよね。
      (私の理解が違っていたら教えてください。)

      しかし、正しくは、

      1. B・Dの本来の配当額を合計する(5,000万円+0円=5,000万円)。
      2. この金額を、まずDに配当する(1,000万円)。
      3. 残りの4,000万円は、Bに配当される。

      以上より、Bの受ける配当額は、4,000万円です。

      3.復習の課題

      「抵当権の順位の譲渡や放棄」など「抵当権の処分」については、以下のところで丁寧に説明しています。
      (計算問題も取り上げています。)
      この機会に確認しておきましょう。

      ■民法[12]抵当権
      6.抵当権の処分
      (1).転抵当
      (2).その他の処分

      悩んだとき、疑問に思ったときが、苦手論点を克服し、得点源に変える最大のチャンスです。
      面倒がらず、この機会に[Step.1]基本習得編や[Step.2]実戦応用編にさかのぼって確認しておきましょう。
      「これが本試験で出たらいいなー。」まで到達すれば、万全です。

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