【宅建過去問】(令和03年10月問05)未成年者・意思能力
次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 19歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。
- 養育費は、子供が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない期間を対象として支払われるものであるから、子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する。
- 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。
- 意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。
正解:4
1 誤り
成人年齢は、18歳です(民法4条)。したがって、19歳の者は、成年者ということになります。
成年者であれば、各種の契約を単独で有効に行うことができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R04-03-4 | 成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。 | ◯ |
2 | R03-05-1 | 19歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。 | × |
3 | R03-05-3 | 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。 | × |
4 | H28-02-1 | 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。 | × |
5 | H26-09-3 | 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。 | × |
6 | H26-09-4 | 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。 | ◯ |
7 | H25-02-2 | 営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。 | × |
8 | H22-01-1 | 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。 | × |
9 | H20-01-2 | 未成年者は、営業を許されているときであっても、その営業に関するか否かにかかわらず、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。 | × |
10 | H17-01-4 | 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方Bが未成年者であり、法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得ている場合、Bは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。 | × |
11 | H14-02-3 | 未成年者であっても、成年者を代理人とすれば、法定代理人の同意を得ることなく、土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。 | × |
12 | H11-01-1 | 満18歳に達した者は、成年とされる。 | ◯ |
13 | H01-03-2 | A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。 | × |
2 誤り
養育費とは、子供を監護・教育するために必要な費用をいいます。養育費が「子供が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない期間を対象として支払われるもの」であるのは事実です。
未成熟かどうか、は個別具体的に判断すべきことです。養育費の支払期限を「成人まで」と定めるのが一般的です。しかし、「子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する」などと一律に決まっているわけではありません。例えば、「大学卒業まで」などと定めることも可能です。
3 誤り
「営業を許された未成年者」ですから、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します(民法6条1項)。
しかし、「営業に関するか否かにかかわらず」というのであれば、話は違ってきます。営業に関しない場合であれば、他の未成年者と同じに扱われるからです。
負担付贈与は、贈与を受けるだけでなく、それに負担が伴うものです(同法553条)。例えば、「この家を上げるが、その代わりに死ぬまで生活の世話をしてくれ。」というような契約をいいます。負担を伴う以上、「単に権利を得、又は義務を免れる行為」(同法5条1項ただし書き)ということはできません。したがって、未成年者が単独で行うことはできません。法定代理人は、この行為を取り消すことができます(同条2項、同法120条)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R04-03-4 | 成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。 | ◯ |
2 | R03-05-1 | 19歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。 | × |
3 | R03-05-3 | 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。 | × |
4 | H28-02-1 | 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。 | × |
5 | H26-09-3 | 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。 | × |
6 | H26-09-4 | 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。 | ◯ |
7 | H25-02-2 | 営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。 | × |
8 | H22-01-1 | 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。 | × |
9 | H20-01-2 | 未成年者は、営業を許されているときであっても、その営業に関するか否かにかかわらず、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。 | × |
10 | H17-01-4 | 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方Bが未成年者であり、法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得ている場合、Bは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。 | × |
11 | H14-02-3 | 未成年者であっても、成年者を代理人とすれば、法定代理人の同意を得ることなく、土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。 | × |
12 | H11-01-1 | 満18歳に達した者は、成年とされる。 | ◯ |
13 | H01-03-2 | A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。 | × |
4 正しい
意思能力とは、自分のした法律行為の結果を判断できる能力のことをいいます。意思表示を欠く状態で行った法律行為は、無効です(民法3条の2)。後見開始の審判を受けているか否か、は結論に無関係です。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03-05-4 | 意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。 | ◯ |
2 | H30-03-4 | AとBとの間で、A所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。 | ◯ |
3 | H24-03-1 | 意思能力を欠く状態での意思表示は、無効である。 | ◯ |
4 | H20-01-1 | 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。 | ◯ |
5 | H19-01-4 | A所有の甲土地についてのAB間の売買契約が、Aが泥酔して意思無能力である間になされたものである場合、Aは、酔いから覚めて売買契約を追認するまではいつでも売買契約を取り消すことができ、追認を拒絶すれば、その時点から売買契約は効となる。 | × |
6 | H17-01-2 | 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方である買主Bが意思無能力者であった場合、Bは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。 | × |
7 | H15-01-1 | 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合、その親族が当該意思表示を取り消せば、取消しの時点から将来に向かって無効となる。 | × |
8 | H02-04-1 | A所有の土地が、AからBへと売り渡された。Aが成年被後見人の場合、Aは、契約の際完全な意思能力を有していてもAB間の契約を取り消し、Cに対して所有権を主張することができる。 | ◯ |
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