【宅建過去問】(令和03年12月問07)遺言

遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 自筆証書によって遺言をする場合、遺言者は、その全文、日付及び氏名を自書して押印しなければならないが、これに添付する相続財産の目録については、遺言者が毎葉に署名押印すれば、自書でないものも認められる。
  2. 公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要であるが、推定相続人は、未成年者でなくとも、証人となることができない。
  3. 船舶が遭難した場合、当該船舶中にいて死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いがあれば、口頭で遺言をすることができる。
  4. 遺贈義務者が、遺贈の義務を履行するため、受遺者に対し、相当の期間を定めて遺贈の承認をすべき旨の催告をした場合、受遺者がその期間内に意思表示をしないときは、遺贈を放棄したものとみなされる。

正解:4

1 正しい

自筆証書遺言は、遺言者が、全文・日付・氏名を自署(=手書き)し、押印する方法で作成しなければなりません(民法968条1項)。ただし、自筆証書に添付する財産目録の作成は、自書以外の方法、例えば、パソコンを使用して作成したり、銀行通帳のコピーを使ったり、ということも可能です。この場合、財産目録の毎葉(それぞれのページ)に、遺言者が署名押印する必要があります(同条2項)。

■参照項目&類似過去問
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3種類の遺言(民法[32]2(1))
年-問-肢内容正誤
自筆証書遺言
1R03s-07-1自筆証書によって遺言をする場合、遺言者は、その全文、日付及び氏名を自書して押印しなければならないが、これに添付する相続財産の目録については、遺言者が毎葉に署名押印すれば、自書でないものも認められる。
227-10-1自筆証書の内容を遺言者が一部削除する場合、遺言者が変更する箇所に二重線を引いて、その箇所に押印するだけで、一部削除の効力が生ずる 。×
327-10-2自筆証書による遺言をする場合、遺言書の本文の自署名下に押印がなければ、自署と離れた箇所に押印があっても、押印の要件として有効となることはない 。×
422-10-1自筆証書遺言は、その内容をワープロ等で印字していても、日付と氏名を自署し、押印すれば、有効な遺言となる。×
517-12-1自筆証書遺言には証人二人以上の立会いが必要。×
公正証書遺言
1R03s-07-2公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要であるが、推定相続人は、未成年者でなくとも、証人となることができない。

2 正しい

公正証書遺言をする場合には、証人2人以上の立会いが必要です(民法969条1号)。
遺言の証人には欠格事由があります(同法974条)。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人・受遺者、これらの配偶者・直系血族

推定相続人は2に該当します。未成年でなくても、証人になることはできません。

■参照項目&類似過去問
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3種類の遺言(民法[32]2(1))
年-問-肢内容正誤
自筆証書遺言
1R03s-07-1自筆証書によって遺言をする場合、遺言者は、その全文、日付及び氏名を自書して押印しなければならないが、これに添付する相続財産の目録については、遺言者が毎葉に署名押印すれば、自書でないものも認められる。
227-10-1自筆証書の内容を遺言者が一部削除する場合、遺言者が変更する箇所に二重線を引いて、その箇所に押印するだけで、一部削除の効力が生ずる 。×
327-10-2自筆証書による遺言をする場合、遺言書の本文の自署名下に押印がなければ、自署と離れた箇所に押印があっても、押印の要件として有効となることはない 。×
422-10-1自筆証書遺言は、その内容をワープロ等で印字していても、日付と氏名を自署し、押印すれば、有効な遺言となる。×
517-12-1自筆証書遺言には証人二人以上の立会いが必要。×
公正証書遺言
1R03s-07-2公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要であるが、推定相続人は、未成年者でなくとも、証人となることができない。
証人・立会人の欠格事由(民法[32]2)
年-問-肢内容正誤
1R03s-07-2公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要であるが、推定相続人は、未成年者でなくとも、証人となることができない。
206-13-3遺言の証人には、遺言者の長女の夫も、なることができる。
×

3 正しい

船舶が遭難した場合、その船舶の中にいて死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いがあれば、口頭で遺言をすることができます(民法979条1項)。

4 誤り


当然のことですが、遺言が効力を発する時点で、すでに遺言者は亡くなっています。自分自身で遺贈の義務を果たすことは不可能です。そこで、遺贈義務者(原則的には、相続人)が代わって、遺贈を履行する義務を負います。
遺贈義務者は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、遺贈を承認するか放棄するか、を催告します(民法987条前段)。その期間内に受贈者が意思表示をしない場合、遺贈を承認したものとみなされます(同条後段)。
本肢は、「遺贈を放棄したものとみなされる」といいますが、これでは全く逆です。


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