【宅建過去問】(令和03年12月問14)不動産登記法
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
- 共用部分である旨の登記がある建物について、合併の登記をすることができる。
- 登記官は、表示に関する登記について申請があった場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。
- 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。
正解:2
1 正しい
表題登記とは、表示に関する登記のうち、当該不動産について表題部に最初にされる登記のことをいいます(不動産登記法2条20号)。つまり、その不動産に関する最初の登記ということになります。
①新たに生じた土地又は②表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月(1か月)以内に、表題登記を申請する義務を負います(同法36条)。
※不動産の所有権取得者に表題登記が義務付けられるのは、この登記がないと、その不動産が登記記録上存在しないことになってしまうからです。表題登記がなければ、その後の表示に関する登記も、権利に関する登記も一切不可能になってしまいます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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両者の比較 | |||
1 | R03s-14-1 | 表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。 | ◯ |
2 | R03s-14-3 | 登記官は、表示に関する登記について申請があった場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。 | ◯ |
登記の契機 | |||
1 | H30-14-1 | 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。 | ◯ |
2 | H30-14-2 | 表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。 | ◯ |
3 | H30-14-4 | 所有権の登記名義人は、その住所について変更があったときは、当該変更のあった日から1月以内に、変更の登記を申請しなければならない。 | × |
4 | H06-15-4 | 建物の分割の登記は、表題部に記載した所有者又は所有権の登記名義人の申請によるほか、登記官が職権ですることもできる。 | × |
5 | H05-15-1 | 登記は、当事者の申請又は官公署の嘱託がある場合でなければ、することができない。 | × |
6 | H05-16-1 | 建物の新築による建物の表題登記は、管轄を誤って登記されたものであっても、登記が完了すれば、職権によって抹消されることはない。 | × |
7 | H03-16-4 | 建物の滅失の登記は、登記官の職権によってすることができる。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-14-1 | 表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。 | ◯ |
2 | H26-14-2 | 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。 | ◯ |
3 | H06-15-2 | 抵当権設定の登記のある土地の分筆の登記を申請する場合、抵当権者の分筆に関する承諾を証する情報又はその者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を、申請情報と併せて提供しなければならない。 | × |
2 誤り
建物の合併の登記とは、以下のものをいいます(不動産登記法54条1項3号)。本肢で問われているのは、2の区分建物の合併です。
- 表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記
- 表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記
共用部分である旨の登記がある建物については、合併の登記をすることができません(同法56条1号)。
3 正しい
「登記官による調査」は、初めて出題された論点です。
しかし、表示に関する登記については、登記官に職権による登記まで認められています(肢1の表参照。不動産登記法28条)。だとすれば、不動産の所有者が申請してきた場合に登記官が調査ができる(同法29条1項)のは当然のこと、と推測できたのではないでしょうか。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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両者の比較 | |||
1 | R03s-14-1 | 表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。 | ◯ |
2 | R03s-14-3 | 登記官は、表示に関する登記について申請があった場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。 | ◯ |
登記の契機 | |||
1 | H30-14-1 | 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。 | ◯ |
2 | H30-14-2 | 表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。 | ◯ |
3 | H30-14-4 | 所有権の登記名義人は、その住所について変更があったときは、当該変更のあった日から1月以内に、変更の登記を申請しなければならない。 | × |
4 | H06-15-4 | 建物の分割の登記は、表題部に記載した所有者又は所有権の登記名義人の申請によるほか、登記官が職権ですることもできる。 | × |
5 | H05-15-1 | 登記は、当事者の申請又は官公署の嘱託がある場合でなければ、することができない。 | × |
6 | H05-16-1 | 建物の新築による建物の表題登記は、管轄を誤って登記されたものであっても、登記が完了すれば、職権によって抹消されることはない。 | × |
7 | H03-16-4 | 建物の滅失の登記は、登記官の職権によってすることができる。 | ◯ |
4 正しい
区分建物を新築した場合、表題登記を申請する義務を負うのは、新築した建物を取得した者(原始取得者)です。
この原始取得者について、表題登記を申請する前に一般承継があった場合、一般承継人も、被承継人を表題部所有者として表題登記を申請することができます(不動産登記法47条2項)。
※一般承継とは、個人の場合の相続や法人の場合の合併のことをいいます。
※区分建物以外のケースと違って、表題登記がない建物を取得した譲受人には、申請の義務がありません(不動産登記法47条1項)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-14-4 | 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。 | ◯ |
2 | H24-14-3 | 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。 | ◯ |
3 | H13-14-1 | 表題登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は、当該区分建物の表題登記を申請する義務はない。 | ◯ |