【宅建過去問】(令和06年問02)委任契約・準委任契約

委任契約・準委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 売主が、売買契約の付随義務として、買主に対して、マンション専有部分内の防火戸の操作方法につき説明義務を負う場合、業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。
  2. 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
  3. 委任契約で本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理人に代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。
  4. 委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。

正解:4

はじめに

委任契約というのは、「当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約」です(民法643条)。

委任契約の成立(民法[29]1(1)

法律行為以外を委託する契約を準委任契約といいます。この場合も、委任契約と全く同じルールに従います(同法656条)。

準委任契約民法[29]1(2)

1 正しい

どんなケースか

あるマンションで火災が発生し、死亡者が出ました。売却されたマンション専有部分には、北区画と南区角との間に電動の防火壁がありました。しかし、引渡しの時点で、防火壁の電源スイッチは切られており、買主には、スイッチの位置すら分からない状況でした。結局、防火壁は作動せず、マンションは、北区画だけでなく、南区角まで焼失してしまいました。
この場合、売主だけではなく、売買契約を媒介した宅建業者にも責任があるか、が問われたわけです。

判例の考え方

媒介した宅建業者が売主の全額出資の下に設立された会社であり、売主から委託を受け、買主の購入から引渡しまで売主と一体となって一切の事務を行い、買主は、この業者を信頼して契約を締結し、引渡しを受けた、などの事情を考えると、この媒介業者には、買主に対し、防火戸の操作方法について説明すべき信義則上の義務がある、としました。

■参照項目&類似過去問

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委任契約とは(民法[29]1(1))
年-問-肢内容正誤
1R06-02-1売主が、売買契約の付随義務として、買主に対して、マンション専有部分内の防火戸の操作方法につき説明義務を負う場合、業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。
2R06-02-4委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。×
3H23-08-2Aは、B所有の甲不動産の売却について、売買契約が締結されるに至った場合には売買代金の2%の報酬の支払いを受けるとして、Bから買主のあっせんの依頼を受けた。Aがあっせんした買主Cとの間で1,000万円の売買契約が成立したのでAがBに対して報酬として20万円の支払いを求める場合、AのBに対する債権は、契約に基づいて発生する。×
4H14-10-1不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には、委任者は受任者に対して委任状を交付しないと、委任契約は成立しない。×

2 正しい

委任は、委任者と受任者の信任関係をベースにするものです。したがって、受任者が自ら委任された事務を処理する必要があり、他人に復委任することは、原則として、認められません。

復受任者の選任(民法[29]1(3)①

例外的に復委任が認められるのは、以下のケースに限られます(民法644条の2)。

  1. 委任者の許諾を得たとき
  2. やむを得ない事由があるとき
■参照項目&類似過去問
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復受任者の選任(民法[29]1(3))
年-問-肢内容正誤
1R06-02-2受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2H07-09-4Aは、Bにマンションの一室を賃貸するに当たり、管理を業としないCとの間で管理委託契約を締結して、Cに賃料取立て等の代理権を与えた。Cは、地震のため重傷を負った場合、Aの承諾を得ることなく、Dに委託して賃料の取立てをさせることができる。

3 正しい

委任契約の終了事由(原則)
 ◯:終了する
×:終了しない
死亡破産後見開始
受任者
委任者×
委任の終了事由(民法[29]3(2)①
判例の考え方

判例で問題になったのは、死後事務委任契約です。これは、「自分が死んだら、◯◯して欲しい。」と委託する契約です。
民法のルールを絶対視すると、このような契約をしても、委任者が死亡した時点で、契約は終了ということになってしまいます。しかし、判例(最判平04.09.22)は、そのようには考えませんでした。
死後事務委任契約は、「委任者の死亡によっても契約を終了させない旨の合意」が前提であり、このような合意は有効であるとしたのです。つまり、委任者が死亡しても、代理権は消滅しません。

■参照項目&類似過去問
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委任契約:終了(民法[29]3(2))
年-問-肢内容正誤
1R06-02-3委任契約で本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理人に代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。
2R03-03-アAがBとの間でB所有建物の清掃に関する準委任契約を締結していた場合、Aの相続人は、Bとの間で特段の合意をしなくても、当該準委任契約に基づく清掃業務を行う義務を負う。×
3R02-05-4AとBとの間で締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた。Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。
×
4H18-09-2委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。
5H18-09-3委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで、委任事務を処理する義務を負う。×
6H18-09-4委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。
7H13-06-1委任契約において、委任者又は受任者が死亡した場合、委任契約は終了する。
8H09-09-4有償の準委任契約は、受託者の死亡によって終了し、受託者の相続人はその地位を相続しない。
9H07-09-3委任者が死亡したとき、委託契約は終了するが、急迫の事情がある場合においては、受任者は、その管理業務を行う必要がある。

4 誤り

「はじめに」でも触れましたが、委任契約というのは、「当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約」です(民法643条)。この選択肢がいうような内容ではありません。
「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」という選択肢は、請負契約に関する説明です(同法632条)。

請負契約の成立(民法[28]1

※委任契約の受任者は、原則として無報酬です(民法648条1項)。「報酬を支払うことを約さなければ」という記述だけ見ても、本肢が誤っていることが分かります。

■参照項目&類似過去問
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委任契約とは(民法[29]1(1))
年-問-肢内容正誤
1R06-02-1売主が、売買契約の付随義務として、買主に対して、マンション専有部分内の防火戸の操作方法につき説明義務を負う場合、業務において密接な関係にある売主から委託を受け、売主と一体となって当該マンションの販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者も、買主に対して、防火戸の操作方法について説明する信義則上の義務を負うことがある。
2R06-02-4委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。×
3H23-08-2Aは、B所有の甲不動産の売却について、売買契約が締結されるに至った場合には売買代金の2%の報酬の支払いを受けるとして、Bから買主のあっせんの依頼を受けた。Aがあっせんした買主Cとの間で1,000万円の売買契約が成立したのでAがBに対して報酬として20万円の支払いを求める場合、AのBに対する債権は、契約に基づいて発生する。×
4H14-10-1不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には、委任者は受任者に対して委任状を交付しないと、委任契約は成立しない。×

委任契約の報酬(民法[29]2(1))

[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢内容正誤
1R06-02-4委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。×
2R02-05-1Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。
3R02-05-3Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。×
4H14-10-2Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。
5H09-09-3Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bの責に帰すべからざる事由により本件管理委託契約が履行の中途で終了したときは、Bは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
6H07-09-1Bは、Aとの間で特約がなくても、Aに対して報酬の請求をすることができる。×

請負契約とは(民法[28]1)
年-問-肢内容正誤
1R06-02-4委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。×


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